ブライダル・ラプソディー

葉月凛

文字の大きさ
83 / 160

83

しおりを挟む
 熱い切先が、直接肌に触れる。
 あ、と思ったのは一瞬だった。

「んあぁっ! あっ、はっ」

 背後から固く猛ったものを当てがわれたかと思うと、そのままずぶりと後孔を貫かれて奈津はのけ反った。数刻前の余韻を残すその場所は、待っていたかのようにあっさりと、成瀬のものを飲み込んだ。

 指とは比べものにならない快感が、体内にぶわりと弾けるように広がった。

「んんっ! ……んっ、はっ……あ」

 そのままゆっくりと腰を使われ、今度はじわじわと愉悦の波が押し寄せてくる。

(……気持ちいい……)

 首に巻きついた成瀬の左手の指が奈津の口の中に入り、右手が勃ち上がった欲望に絡みついた。

 背を向けているため縋りつくものがなく、首に回された成瀬の腕をぎゅっと掴む。気持ちのいいところを、成瀬のものがゆっくりと行き来する。

 成瀬の動きに合わせて、奈津の腰がゆるゆると揺らめいた。

「いいのか? ……ここか?」
「あ……あ……」

 鼻から抜けるような甘さを孕んだ成瀬の声に、ぞくりと震えた。こういう行為の時の、掠れたような成瀬の声は腰にくる。耳元で囁いた唇は、そのまま耳朶を柔らかく喰んだ。ずくずくとした甘い痺れが、背筋を這い上がる。

「ほら、いいならいいって言わないと……やめるぞ?」
「ん……きもち、い……」
「もっとか?」
「………」
「奈津?」
「……もっ、と……し……」
「いい子だ」
「はあぁっ!」

 律動の速度が、一気に増した。

 腰を送り込まれるたびにずくりと生まれる甘く痺れた快感は、一瞬で体の中を駆け抜ける。その余韻を感じる間もなく次の快感が体内を駆け抜ける。
 背後から断続的に送り込まれる甘苦しい衝撃を、奈津はのけ反りながら受け止めた。

「あぁっ……あっ、あっあっ」

 打ちつけられる速度が早まってゆく。奈津自身に絡みついた長い指も、その動きに合わせて激しく上下した。射精感が押し寄せる。限界が近い。

「奈津、奈津……ああ、たまらない」
「ああぁっ!」
「んっ……」

 一瞬息を詰めた成瀬が中で果てたのを追い掛けるように、奈津も達した。

 体の奥に、びくびくと脈打つ振動と共にじわりと熱を感じる。握りしめられた成瀬の右手の中にどくりと出された白濁は、さすがにごく少量だった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

処理中です...