ブライダル・ラプソディー

葉月凛

文字の大きさ
121 / 160

121

しおりを挟む
「寝るんじゃ、なかったんですか……」

 奈津の小さな問い掛けに、首元に巻き付いていた左腕がするりと抜けた。

「──気が変わった」
「っ、」

 体を起こした成瀬に、ごろりと仰向けに転がされる。無造作に掛け布団を足元まで剥ぐと、その手で奈津の中心をするりと撫で上げ、パジャマのボタンを弾きかけて、その手を離す。その口端が、微かに上がった。

「──自分で脱いで」
「え?」

 見上げる成瀬の瞳の色が、深みを増す。

「ボタン、自分で外して」
「……あの、あっ」

 する、と股間を撫でられて、びくりと体が揺れた。そこは、先程の僅かな刺激でゆるく反応を示していた。

「ほら、早く」
「んっ、ん……」

 薄いパジャマの上から奈津自身を撫でる刺激が、弱すぎてもどかしくなる。

 奈津はこれまで、こういった行為の時に自分から脱いだことはなかった。いつも、気が付けば成瀬に脱がされているのだ。

「ん……んん、」
「ほら……脱げよ、奈津」

 もどかしい刺激と成瀬の目線に捉えられたまま、奈津は胸元の一番上のボタンを1つ、外した。成瀬の切長の瞳が、少し細められる。

「………」

 息を詰めながら、もう1つ、外す。──更に、もう1つ。

「……たまんねぇな」

 最後の1つが外れると、成瀬の手が伸びてきた。パジャマの前をはだけさせるように胸元を大きくひと撫でし、覆い被さってくる。奈津は思わず、その背中に手を回した。脇腹をじかに這う成瀬の熱い手に、ぞくぞくと肌が粟立つ。

(ああ……気持ちいい)

 奈津は成瀬のスウェットの下に手を差し込み、その広い背中を撫でてしがみついた。成瀬の熱い唇が首元を吸う。

「ああ……成瀬、さ……んん」
「ほら、どうして欲しい?」
「ん、ん……」

 逞しい太ももに奈津自身を擦り上げられ、その腰がもどかしく揺れた。

「奈津?」
「ん……さわっ……て」
「……こうか?」

 パジャマに差し込まれた成瀬の手が、下着越しの奈津自身を捉えて這い回る。

「ああ……気持ちい……ん」

 熱い唇が、奈津の息を飲み込むように重ねられる。差し込まれた舌はもっと熱く、奈津は夢中でそれに応える。

「んっ、んん……」

 熱い口づけに夢中になっている間に下着ごとパジャマを下ろされ、両足を開くように立てられる。体を起こした成瀬は、もうその手にいつものボトルを傾けていた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

処理中です...