ブライダル・ラプソディー

葉月凛

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「あっ……んんんっ」

 滑りをまとった指が、くちゅりと音を立てて奈津の中に入る。一番初めに指が差し込まれるこの瞬間、ふっと気が遠のくような浮遊感を伴う甘い快感が奈津は好きだった。もちろん初めから好きだった訳ではなく、回数を重ねるうちに徐々に体が覚えていった感覚だ。

「んっ……んん」

 ひくひくと、軽くイっているような中の収縮を感じているのか、成瀬はいつもそこでしばらく待ってくれる。それから慣れた指がいいところをぐり、と押さえ、ゆるゆると出入りするのだった。

「ああ……あ、あっ」

 蜜がとろりと溢れている奈津自身にも、成瀬のもう片方の手が絡む。あっという間に息が荒くなる奈津に、成瀬の口端がさらに上がった。

「気持ちいいか?」
「……ん、気持ち、い……」

 成瀬の愛撫に慣れた奈津の体は、瞬く間に蕩けてゆく。そんな奈津に目を細めて指を引き抜くと、成瀬は自身の下着をスウェットの下衣ごと脱ぎ捨てた。

 その中心はいつにも増して反り返り、隆々と天を向いている。奈津の足の間に膝立ちになると、血管の浮いた逞しい雄に直接ローションをとろりと垂らした。

「………」

 これから自分の中に入るそれを、奈津は熱に浮かされたように見つめる。自分のものとは比べ物にならない長大な楔に、それがもたらすとてつもない快感に、奈津の鼓動はとくとくと早まってゆく。

 奈津の視線を意識するように、成瀬は猛り切った雄を自身の手でゆっくりとしごいた。口元に笑みを浮かべ、ぬらぬらと妖しく光るそれを右手で握り、見せつけるようにゆっくりと上下に動かす。

「………」

 奈津は、こくりと唾を飲み込んだ。
 まるで自慰をしているような成瀬のその姿は、おそろしく扇情的だった。

「は、……はっ」

 成瀬の息遣いが、次第に荒くなる。徐々に早くなる右手の動きに、奈津の鼓動も上がってゆくようだった。奈津は体の奥がじくじくと痛むように切なくなった。成瀬に蕩かされた入口が無意識に収縮する。

 ああ、早く──入れて、欲しい……

「……ふ、」

 無意識に伸びた奈津の手が、その熱い先端に届くと、成瀬が息を詰めた。動かしていた右手が止まると同時に、その切先からぽたぽたと先走りが滴り落ちた。

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