6 / 203
第一章 異世界に来ちゃった
目が覚めた
うぅ……体が痛い……。俺どうしたんだっけ……。
もぞもぞ動くとまたも鳴る忌々しい鎖に、一瞬忘れかけていた現状を思い出して飛び起きた。
そうだ!何か良くわからない事になった上に殺されかけたんだった!何を暢気に寝てるんだ俺!無防備にも程があるぞ!
一際大きな音を立てる鎖に恨めしげな目を向けてから辺りを見回して……体がびくり、と飛び跳ねた。入り口付近に大きな影が見えたからだ。向こうも急に飛び起きた俺に驚いたのかお互い見つめ合う事数秒。カシャッ、と金属の擦れる音を立て立ち上がったその人影が向かってくる。
「く……来るな!!」
寝かされていた場所から逃げようと足を動かし――――派手に顔面から地面へ激突した。そうだった……足にも鎖ついてた……。
「あの……」
差し出された手をはね除けてジリジリと壁際へ下がる。鼻が痛いのはこの際置いておこう。鼻血出てないといいな……。
背中に柔らかい布みたいな感触が当たって一瞬振り返って、そこから先は下がれない事を知る。暗くて良く見えなかったけどどうやらここは大きめなテントの中のようだ。俺がキャンプで使うような小さなテントの5倍はありそうなサイズ。ならこれ以上下がるとテントの支柱がずれて倒れちゃうかも。
大柄な影はしばし悩むように離れた位置で立ち止まった後、ボッ、と小さな音を立てて明かりをつけた。
「ひ……っ!!!」
それは小さなガラスケースの中でロウソク程の炎が小さく揺れているだけなのだけどさっき焼き殺されそうになった瞬間を思い出して全身冷や汗が吹き出した。
それを手にした大柄な相手もハッとした顔を俺に向けて炎はすぐ消えて、辺りは再び暗闇に戻る。
「すみません……。もう火は使いません。あなたの状態を確認させて欲しいだけです。他に何もしません」
大柄な体格に似合わない――――なんて言ったら失礼かもだけど――――柔らかな声。敵意がないと示す為か一瞬明るくなって見えた、腰に下げた剣を地面に置いてさらにそれを遠くに蹴り飛ばし、加えてガシャガシャ騒がしい音を立てて着ていた銀の鎧を脱いだ。
「これで俺は丸腰です。本当に何もしません。近寄ってもいいでしょうか」
「隠し武器とか持ってるんじゃないの?」
良く漫画とかゲームとかで暗器?っていうの?持ってる奴いるじゃん。靴の爪先からナイフが出てきたり口の中に毒針仕込んでたり。いきなり人を焼こうとする世界の人間なんか信用できるもんか。
じっ、と見ると相手は……え、さらに服脱いだ!!?
ええ、ごめん!そこまでしてほしい訳じゃなかった!どこまで脱ぐの!!?いいよいいよ、見えたら困る代物とか見えちゃったらどうするんだよ!
「わー!!わかった!ごめん!俺が悪かった!!もういい!脱がないで!」
下着一枚でようやく動きが止まる。
良かった!暗くて!!!でも本当に武器は仕込んでないみたいだ。流石に下着の中に隠しては……いないよな?どこぞのネクタイと海パンだけの刑事じゃあるまいし……。
「近寄っても?」
「……ハイ」
下着男に近寄られるのもそれはそれで怖い物があるんだけど……脱げとは言ってないけどある意味脱がせたのは俺だ。ホントごめん。
ゆっくり近寄ってきて目の前でス、と座った男の顔を見つめる。段々暗闇に慣れてきたのか、暗くて見えにくい中でも何となくわかる優しげな顔つき。頬には斜めにざっくり刻まれた傷がある。少し視線を下げればムチムチとした厚い胸板と割れた腹筋。どこもかしこも鍛え上げられた体つきを思わずしげしげと眺めてしまったけどそんな場合じゃない。
「触ります」
急に動くと俺が怯えると思ったのか一声かけてからそのムキムキの腕が上がり、タコだらけの固い手の平が俺の額に当てられた。
「熱は下がったようですね」
「熱……?」
「えぇ。ここへ来る途中、あなたが魘されはじめて。副軍医は疲労による発熱だと」
腹は減っていませんか、と問われた瞬間俺の正直な体は、ぐー、と腹から返事を寄越す。
くす、と笑った気配と共に少し離れます、と律儀に言った男がテント入り口で一言二言外の誰かに何かを言っている。外からは「何でパンツなんすか」なんて訊かれて当然の疑問が微かに聞こえてきて、本当にごめんなさい……、ととりあえず背後で頭を下げておいた。
「今食べ物を持ってこさせますので、しばらくお待ちください」
食べ物、と聞くだけで、ぐー、とまた鳴る俺の腹。欲望に忠実すぎる……。
「一度寝床にお戻り頂けますか?テントの端は冷えるでしょう。また熱が上がってしまいます」
「これ、外してもらえないですか?」
動こうとするとちゃりちゃりと鳴る鎖が殺されそうになったという事実を何度も何度も脳裏に甦らせて来て、正直この音を聞きたくない。何よりさっきみたいに逃げたい時に逃げられないのが不便だ。
もしかしてそれが狙いで未だにつけられてるんだろうか。一度信用しかけた心が再びぐら、と不信感に傾きかけたけど。
「本当は今すぐ外して差し上げたいのですが、その枷に魔力で鍵がかけられています。魔力封じは内側からは破れない。正式な鍵がないので、この封じ以上の魔力で鍵穴を壊して開けるしかないのですが……我々の部隊はそこまでの魔術師を要していません。王都に戻るまでは不便をかけますが、王都で必ず外すと約束しますので」
キリッ、としていた太めの眉がしゅん、とハの字になっている。本気で困ったような申し訳なさそうなその顔につられて多分俺の眉もハの字になっただろう。
「……わかりました……」
未だに信用と不信の間をゆらゆら揺れる天秤だけど、ひとまず今は我慢だ。ここで暴れたってこの男に軽く押さえられるのは目に見えてるし、運良く外に出られたって外にも人がいるのはさっきのやり取りでわかった。今逃げ出すのは不可能だ。
そんな事を考えていたら。
「副長、持ってきたっすよ」
「ああ、すまない」
外からかけられた声で目の前の男が“副長”と呼ばれる身分だと知る。
そう言えば燃える馬車から助けてくれた“誰か”もカシャカシャとこの人と同じような音をさせてたな。途中目が覚めた時にびっくりするくらいのイケメンがいた気がするけど……その時も金属の擦れる音を聞いた覚えがある。
……助けてくれた、んだよな?あの変な人達から。
「食事をお持ちしましたので……寝床に戻って頂けないでしょうか」
まだ眉がハの字になってる。俺のせいで誰か一緒に蒸し焼きになりかけて、その仲間だと思われるこの人の服まで脱がせて……これ以上困らせるのは俺の良心がチクチク痛むので大人しくジリジリと這いながら寝床に戻った。
「触りますね」
食事と一緒に用意されたボウルに浸した布で俺の手を丁寧に拭いてくれる。自分でやります、と言っても枷がついたままでは不便でしょう、と聞いてもらえなかったから素直に拭いてもらう事にした。
流石にスプーンに乗せたシチューを口元に運ばれた時は頑として口を開けなかったけども。
もぞもぞ動くとまたも鳴る忌々しい鎖に、一瞬忘れかけていた現状を思い出して飛び起きた。
そうだ!何か良くわからない事になった上に殺されかけたんだった!何を暢気に寝てるんだ俺!無防備にも程があるぞ!
一際大きな音を立てる鎖に恨めしげな目を向けてから辺りを見回して……体がびくり、と飛び跳ねた。入り口付近に大きな影が見えたからだ。向こうも急に飛び起きた俺に驚いたのかお互い見つめ合う事数秒。カシャッ、と金属の擦れる音を立て立ち上がったその人影が向かってくる。
「く……来るな!!」
寝かされていた場所から逃げようと足を動かし――――派手に顔面から地面へ激突した。そうだった……足にも鎖ついてた……。
「あの……」
差し出された手をはね除けてジリジリと壁際へ下がる。鼻が痛いのはこの際置いておこう。鼻血出てないといいな……。
背中に柔らかい布みたいな感触が当たって一瞬振り返って、そこから先は下がれない事を知る。暗くて良く見えなかったけどどうやらここは大きめなテントの中のようだ。俺がキャンプで使うような小さなテントの5倍はありそうなサイズ。ならこれ以上下がるとテントの支柱がずれて倒れちゃうかも。
大柄な影はしばし悩むように離れた位置で立ち止まった後、ボッ、と小さな音を立てて明かりをつけた。
「ひ……っ!!!」
それは小さなガラスケースの中でロウソク程の炎が小さく揺れているだけなのだけどさっき焼き殺されそうになった瞬間を思い出して全身冷や汗が吹き出した。
それを手にした大柄な相手もハッとした顔を俺に向けて炎はすぐ消えて、辺りは再び暗闇に戻る。
「すみません……。もう火は使いません。あなたの状態を確認させて欲しいだけです。他に何もしません」
大柄な体格に似合わない――――なんて言ったら失礼かもだけど――――柔らかな声。敵意がないと示す為か一瞬明るくなって見えた、腰に下げた剣を地面に置いてさらにそれを遠くに蹴り飛ばし、加えてガシャガシャ騒がしい音を立てて着ていた銀の鎧を脱いだ。
「これで俺は丸腰です。本当に何もしません。近寄ってもいいでしょうか」
「隠し武器とか持ってるんじゃないの?」
良く漫画とかゲームとかで暗器?っていうの?持ってる奴いるじゃん。靴の爪先からナイフが出てきたり口の中に毒針仕込んでたり。いきなり人を焼こうとする世界の人間なんか信用できるもんか。
じっ、と見ると相手は……え、さらに服脱いだ!!?
ええ、ごめん!そこまでしてほしい訳じゃなかった!どこまで脱ぐの!!?いいよいいよ、見えたら困る代物とか見えちゃったらどうするんだよ!
「わー!!わかった!ごめん!俺が悪かった!!もういい!脱がないで!」
下着一枚でようやく動きが止まる。
良かった!暗くて!!!でも本当に武器は仕込んでないみたいだ。流石に下着の中に隠しては……いないよな?どこぞのネクタイと海パンだけの刑事じゃあるまいし……。
「近寄っても?」
「……ハイ」
下着男に近寄られるのもそれはそれで怖い物があるんだけど……脱げとは言ってないけどある意味脱がせたのは俺だ。ホントごめん。
ゆっくり近寄ってきて目の前でス、と座った男の顔を見つめる。段々暗闇に慣れてきたのか、暗くて見えにくい中でも何となくわかる優しげな顔つき。頬には斜めにざっくり刻まれた傷がある。少し視線を下げればムチムチとした厚い胸板と割れた腹筋。どこもかしこも鍛え上げられた体つきを思わずしげしげと眺めてしまったけどそんな場合じゃない。
「触ります」
急に動くと俺が怯えると思ったのか一声かけてからそのムキムキの腕が上がり、タコだらけの固い手の平が俺の額に当てられた。
「熱は下がったようですね」
「熱……?」
「えぇ。ここへ来る途中、あなたが魘されはじめて。副軍医は疲労による発熱だと」
腹は減っていませんか、と問われた瞬間俺の正直な体は、ぐー、と腹から返事を寄越す。
くす、と笑った気配と共に少し離れます、と律儀に言った男がテント入り口で一言二言外の誰かに何かを言っている。外からは「何でパンツなんすか」なんて訊かれて当然の疑問が微かに聞こえてきて、本当にごめんなさい……、ととりあえず背後で頭を下げておいた。
「今食べ物を持ってこさせますので、しばらくお待ちください」
食べ物、と聞くだけで、ぐー、とまた鳴る俺の腹。欲望に忠実すぎる……。
「一度寝床にお戻り頂けますか?テントの端は冷えるでしょう。また熱が上がってしまいます」
「これ、外してもらえないですか?」
動こうとするとちゃりちゃりと鳴る鎖が殺されそうになったという事実を何度も何度も脳裏に甦らせて来て、正直この音を聞きたくない。何よりさっきみたいに逃げたい時に逃げられないのが不便だ。
もしかしてそれが狙いで未だにつけられてるんだろうか。一度信用しかけた心が再びぐら、と不信感に傾きかけたけど。
「本当は今すぐ外して差し上げたいのですが、その枷に魔力で鍵がかけられています。魔力封じは内側からは破れない。正式な鍵がないので、この封じ以上の魔力で鍵穴を壊して開けるしかないのですが……我々の部隊はそこまでの魔術師を要していません。王都に戻るまでは不便をかけますが、王都で必ず外すと約束しますので」
キリッ、としていた太めの眉がしゅん、とハの字になっている。本気で困ったような申し訳なさそうなその顔につられて多分俺の眉もハの字になっただろう。
「……わかりました……」
未だに信用と不信の間をゆらゆら揺れる天秤だけど、ひとまず今は我慢だ。ここで暴れたってこの男に軽く押さえられるのは目に見えてるし、運良く外に出られたって外にも人がいるのはさっきのやり取りでわかった。今逃げ出すのは不可能だ。
そんな事を考えていたら。
「副長、持ってきたっすよ」
「ああ、すまない」
外からかけられた声で目の前の男が“副長”と呼ばれる身分だと知る。
そう言えば燃える馬車から助けてくれた“誰か”もカシャカシャとこの人と同じような音をさせてたな。途中目が覚めた時にびっくりするくらいのイケメンがいた気がするけど……その時も金属の擦れる音を聞いた覚えがある。
……助けてくれた、んだよな?あの変な人達から。
「食事をお持ちしましたので……寝床に戻って頂けないでしょうか」
まだ眉がハの字になってる。俺のせいで誰か一緒に蒸し焼きになりかけて、その仲間だと思われるこの人の服まで脱がせて……これ以上困らせるのは俺の良心がチクチク痛むので大人しくジリジリと這いながら寝床に戻った。
「触りますね」
食事と一緒に用意されたボウルに浸した布で俺の手を丁寧に拭いてくれる。自分でやります、と言っても枷がついたままでは不便でしょう、と聞いてもらえなかったから素直に拭いてもらう事にした。
流石にスプーンに乗せたシチューを口元に運ばれた時は頑として口を開けなかったけども。
あなたにおすすめの小説
獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果
ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。
そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。
2023/04/06 後日談追加
「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。
猫宮乾
BL
異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
麗しの眠り姫は義兄の腕で惰眠を貪る
黒木 鳴
BL
妖精のように愛らしく、深窓の姫君のように美しいセレナードのあだ名は「眠り姫」。学園祭で主役を演じたことが由来だが……皮肉にもそのあだ名はぴったりだった。公爵家の出と学年一位の学力、そしてなによりその美貌に周囲はいいように勘違いしているが、セレナードの中身はアホの子……もとい睡眠欲求高めの不思議ちゃん系(自由人なお子さま)。惰眠とおかしを貪りたいセレナードと、そんなセレナードが可愛くて仕方がない義兄のギルバート、なんやかんやで振り回される従兄のエリオットたちのお話し。完結しました!
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。