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第一章 異世界に来ちゃった
男って何
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「ミルクとかお砂糖は入れる?」
普段は入れないんだけど、やっぱり体は疲れてるんだろうか。無性に甘いものが欲しい気分で、少しだけ入れてもらう。はい、どうぞ、と目の前に置かれたカップはやっぱり俺の知るカップの倍くらいある大きさだったけど、漂ってくるこのコーヒーの香りは良く知った物だ。
一口飲んでじーんと染み渡る旨味。少しの砂糖とミルクでは消えない微かな苦味。遅れてやってくる僅かな酸味。
知らず、ほ、と吐息をつくと、洗い物を終えたパルティエータさんがコーヒーを片手に向かいの席に座った。
「あの、俺……何の手伝いもせず……」
「いいのよ。気にしないで。貴方はまだ本調子じゃないし、何より水道とか魔力で動かしてるから慣れないと難しいの」
なんと!魔力で!そういや魔法隊がどうとか言ってたもんな!すごい!ファンタジー!!ちょっと魔法見てみたいぞ……。
でもきっと今、魔法見たいから見せてくださーい、なんて図々しくお願いしても、「何言ってるの?ちゃんと寝なさい!」と言われるのは目に見えてるのでひとまず大人しくしておく。
ただなぁ……熱が出てた間の記憶が全くないし、こんな絶対安静状態にされる程酷かったのかなぁ。
「……あの……パルティエータさん」
「あらやだわ。そんな堅苦しく呼ばないでティエって呼んでくれていいのよ?」
えぇぇぇ、いきなり愛称呼びは友達少ない俺にはハードル高い……!けどキラッキラした瞳を向けられたら無理とは言えない。
「えっと……ティエさん……」
「さん付け禁止ー!敬語も禁止よ!」
「何故!?」
流石にそこまでは……!!が、やはり相変わらずのキラッキラした瞳……しかも何だかパルティエータ……ティエさんの周りも無駄にキラキラしたオーラが漂っている。何か花みたいな良い匂いがするしイケメン、ほんと怖い……!!
「……ティエ、あの……俺大分元気だし、何か手伝える事あればやりたいんで……だけど」
ですけど、と言いかけたら榛色の瞳がギラリ、と光ったのでタメ口にしました。顔が良い分、圧をかけられるとホント怖い……。
「そうさせてあげたいのは山々なんだけどねぇ……。まだピュアの……軍医の許可も降りてないし、今は無理ね」
「ピュア……さん?」
「あ、パーピュアっていってね。ワタシの双子の弟なのよ。ワタシも医学の心得はあるけど専門じゃないし、今はピュアの言うことを聞いておいた方がいいわ」
へぇ!ティエは双子なのかぁ!……この顔が2つ……。贅沢だな……。
「部屋の中で出来ることとかでも良いんだけど……ダメ?」
ブラック企業で社畜魂を植え付けられたせいか、この何もしない、という状況が苦痛なんだよ~。雑用とか何でも良いから何かないのかな?
「そうねぇ……。明日また聞いておいてあげるから、今日はワタシとお話ししましょ。それともワタシとじゃあ嫌かしら?」
「嫌じゃないよ!」
あからさまにしゅん、とされて慌ててブンブン首を振るとティエは良い子ねー、なんて爆笑しながら頭を撫でてきた。騙したな……!
「ね、スナオちゃんは年、いくつなの?」
「ティエもちゃん付け禁止な!……年は22だよ。ティエは?」
と訊けば、ティエは驚愕の表情で固まっている。何故……?え、ちゃん付け禁止がダメだった……?
「同い年……!!?15くらいかと思ってた……!!!!」
「失礼な!」
「いやいやいや、……えー……、同い年……!!?」
そんなびっくりする?というかティエが年上じゃなくて良かったわ~。年上に呼び捨てのタメ口、とか日本人的にちょっとハードル高いもんな。
「ローとか絶対子供だと思ってるわよ」
うん、でしょうね!端々にそんな気配はあったもんね!そんな子供っぽいかな?俺そこまで童顔じゃないと思うんだけど……。そこも気になるけど、やっぱり気になるのは『ロー』という愛称呼びだ。
「ティエはローゼンさんと仲良いの?」
「同郷なの。あと、ローの育ての親とうちの育ての親が仲良くてね」
「育ての親?」
その問いに、あちゃ、みたいな顔をしたティエに、言いにくいなら言わなくても……と言う前に外からカランコロンと軽やかな鐘の音が聞こえてきて会話が止まる。
「スナオ、お薬飲みましょ」
鐘が終わると例の紫の錠剤を差し出された。えぇ……熱もないのにまた飲まないと駄目……?そりゃ甘くて美味しいけどさぁ。
「もう熱ないみたいだけど……」
「駄目よ!昨日も倒れるまでは熱なかったでしょう?」
「はぁい……」
仕方なく言われるまま薬を飲む。この世界は食間薬が普通なのかな??朝も食事より少し前だったし、今も食後と言うには時間が開きすぎてるし。そんな事を考えてたら椅子に座り直したティエがぽつん、と話し始めた。
「ワタシ達やローがいた村はね……魔物の大群に襲われて壊滅したの」
「え……」
「残ったのは大人達が必死に逃がしてくれたワタシ達子供だけでね……」
ローゼンさんの頬の傷はその時についた物なんだとか。昨日、実家が飯屋だったと言っていたローゼンさんがそれ以上語らなかったのはそんな過去があったからなのか。
「その後王国騎士団が来てくれて、ワタシ達は拾われてね」
そして双子は子供のいない公爵家に引き取られ、ローゼンさんは子沢山の別の伯爵家に引き取られたらしい。でもティエ達が引き取られたあと正式な跡取りが生まれ、元々跡継ぎに興味がなかったティエは自分を救ってくれた第一騎士団へ。そして双子の弟パーピュアさんも軍医として騎士団へ入隊したんだけど……実はレイアゼシカ第二王子に見初められて婚約者になっているんだとか。王子の婚約者とか……すげぇ!
ん?でも“弟”だよな……?
「ここは男同士でも結婚出来るの?」
「?オトコ……?って何?」
何ですと……男って何とは……何!?
普段は入れないんだけど、やっぱり体は疲れてるんだろうか。無性に甘いものが欲しい気分で、少しだけ入れてもらう。はい、どうぞ、と目の前に置かれたカップはやっぱり俺の知るカップの倍くらいある大きさだったけど、漂ってくるこのコーヒーの香りは良く知った物だ。
一口飲んでじーんと染み渡る旨味。少しの砂糖とミルクでは消えない微かな苦味。遅れてやってくる僅かな酸味。
知らず、ほ、と吐息をつくと、洗い物を終えたパルティエータさんがコーヒーを片手に向かいの席に座った。
「あの、俺……何の手伝いもせず……」
「いいのよ。気にしないで。貴方はまだ本調子じゃないし、何より水道とか魔力で動かしてるから慣れないと難しいの」
なんと!魔力で!そういや魔法隊がどうとか言ってたもんな!すごい!ファンタジー!!ちょっと魔法見てみたいぞ……。
でもきっと今、魔法見たいから見せてくださーい、なんて図々しくお願いしても、「何言ってるの?ちゃんと寝なさい!」と言われるのは目に見えてるのでひとまず大人しくしておく。
ただなぁ……熱が出てた間の記憶が全くないし、こんな絶対安静状態にされる程酷かったのかなぁ。
「……あの……パルティエータさん」
「あらやだわ。そんな堅苦しく呼ばないでティエって呼んでくれていいのよ?」
えぇぇぇ、いきなり愛称呼びは友達少ない俺にはハードル高い……!けどキラッキラした瞳を向けられたら無理とは言えない。
「えっと……ティエさん……」
「さん付け禁止ー!敬語も禁止よ!」
「何故!?」
流石にそこまでは……!!が、やはり相変わらずのキラッキラした瞳……しかも何だかパルティエータ……ティエさんの周りも無駄にキラキラしたオーラが漂っている。何か花みたいな良い匂いがするしイケメン、ほんと怖い……!!
「……ティエ、あの……俺大分元気だし、何か手伝える事あればやりたいんで……だけど」
ですけど、と言いかけたら榛色の瞳がギラリ、と光ったのでタメ口にしました。顔が良い分、圧をかけられるとホント怖い……。
「そうさせてあげたいのは山々なんだけどねぇ……。まだピュアの……軍医の許可も降りてないし、今は無理ね」
「ピュア……さん?」
「あ、パーピュアっていってね。ワタシの双子の弟なのよ。ワタシも医学の心得はあるけど専門じゃないし、今はピュアの言うことを聞いておいた方がいいわ」
へぇ!ティエは双子なのかぁ!……この顔が2つ……。贅沢だな……。
「部屋の中で出来ることとかでも良いんだけど……ダメ?」
ブラック企業で社畜魂を植え付けられたせいか、この何もしない、という状況が苦痛なんだよ~。雑用とか何でも良いから何かないのかな?
「そうねぇ……。明日また聞いておいてあげるから、今日はワタシとお話ししましょ。それともワタシとじゃあ嫌かしら?」
「嫌じゃないよ!」
あからさまにしゅん、とされて慌ててブンブン首を振るとティエは良い子ねー、なんて爆笑しながら頭を撫でてきた。騙したな……!
「ね、スナオちゃんは年、いくつなの?」
「ティエもちゃん付け禁止な!……年は22だよ。ティエは?」
と訊けば、ティエは驚愕の表情で固まっている。何故……?え、ちゃん付け禁止がダメだった……?
「同い年……!!?15くらいかと思ってた……!!!!」
「失礼な!」
「いやいやいや、……えー……、同い年……!!?」
そんなびっくりする?というかティエが年上じゃなくて良かったわ~。年上に呼び捨てのタメ口、とか日本人的にちょっとハードル高いもんな。
「ローとか絶対子供だと思ってるわよ」
うん、でしょうね!端々にそんな気配はあったもんね!そんな子供っぽいかな?俺そこまで童顔じゃないと思うんだけど……。そこも気になるけど、やっぱり気になるのは『ロー』という愛称呼びだ。
「ティエはローゼンさんと仲良いの?」
「同郷なの。あと、ローの育ての親とうちの育ての親が仲良くてね」
「育ての親?」
その問いに、あちゃ、みたいな顔をしたティエに、言いにくいなら言わなくても……と言う前に外からカランコロンと軽やかな鐘の音が聞こえてきて会話が止まる。
「スナオ、お薬飲みましょ」
鐘が終わると例の紫の錠剤を差し出された。えぇ……熱もないのにまた飲まないと駄目……?そりゃ甘くて美味しいけどさぁ。
「もう熱ないみたいだけど……」
「駄目よ!昨日も倒れるまでは熱なかったでしょう?」
「はぁい……」
仕方なく言われるまま薬を飲む。この世界は食間薬が普通なのかな??朝も食事より少し前だったし、今も食後と言うには時間が開きすぎてるし。そんな事を考えてたら椅子に座り直したティエがぽつん、と話し始めた。
「ワタシ達やローがいた村はね……魔物の大群に襲われて壊滅したの」
「え……」
「残ったのは大人達が必死に逃がしてくれたワタシ達子供だけでね……」
ローゼンさんの頬の傷はその時についた物なんだとか。昨日、実家が飯屋だったと言っていたローゼンさんがそれ以上語らなかったのはそんな過去があったからなのか。
「その後王国騎士団が来てくれて、ワタシ達は拾われてね」
そして双子は子供のいない公爵家に引き取られ、ローゼンさんは子沢山の別の伯爵家に引き取られたらしい。でもティエ達が引き取られたあと正式な跡取りが生まれ、元々跡継ぎに興味がなかったティエは自分を救ってくれた第一騎士団へ。そして双子の弟パーピュアさんも軍医として騎士団へ入隊したんだけど……実はレイアゼシカ第二王子に見初められて婚約者になっているんだとか。王子の婚約者とか……すげぇ!
ん?でも“弟”だよな……?
「ここは男同士でも結婚出来るの?」
「?オトコ……?って何?」
何ですと……男って何とは……何!?
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