【本編完結】農民と浄化の神子を並べてはいけない

ナナメ

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第二章 浄化の旅

酔った?

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「グルァアァァァァーーーーッ!!!」

「gugyaaaaaaーーーーーッ!!!」

「うっひゃぁぁーーーーっ」

馬車の周りが!モンスターに!囲まれておりますーーーー!!!
出るな、って言われたから出ないけど!というか怖くて出れないけど!!

馬車は攻撃されてもびくともしないけど、外の音が遮音されてるわけじゃない。ーーーちなみに中の音が外に漏れないのは……そういう事する時の為なんだろうけど。まぁ中にいる時に外の音が聞こえなかったら、敵襲があった時危ないもんな。

そんなわけで俺が中でどれだけ叫んでも外には聞こえないから存分に叫べるわけです。
いや、普通に怖くて叫んでるだけですけどね。

だってモンスター怖!!見覚えある動物っぽいモンスターが多いんだけど、5mくらいある熊みたいなやつとか、やたら牙のでかい狼みたいなやつとか、走りながら何かの魔法を使ってくるでっけぇトカゲみたいなやつとかさぁ!!!

王都出て一週間は平和だったのに、それ過ぎた途端にこれですよ!!
倒しても倒しても毎日必ず4、5回はモンスターの群れに襲われてなかなか先に進めない。
けどここに出てくるモンスターはまだまだ弱いんだって。言われてみれば騎士団のみんなは無傷のままだ。魔法トカゲ相手でも全然ダメージ食らってないみたい。ただいくら弱いって言っても群れで襲ってくるからそれだけが厄介なんだって。

段々声が聞こえなくなってきたから、小窓からチラッと外を見た瞬間

「オォォォォォッ!!!!」

バンッ、と窓にモンスターが張り付いてきて俺はびっくりしすぎて虚無の顔になったと思う。
古木みたいなモンスターの幹に目と口に見える空洞があって、その空洞が窓から中を覗いてたんだけど…。

「はッ!!」

気合いのこもった声の後、グズグズに溶けていくモンスターの向こうにローゼンが見えた。

「スナオ様!大丈夫ですか!?」

「大丈夫…」

びっくりしただけー。
あ、こっちの声は向こうには聞こえないな。だからにっこり笑って頷いておく。
ホッとした顔で笑い返してくれるローゼンがキリッと表情を引き締めると、また視界から消えていった。

うーん。あとどのくらいモンスターいるんだろ?
ハッ!というか俺だけ安全地帯にいて…侍従ちゃんズは大丈夫なのか!?パーピュア達は普通に強そうだったもんな。何かさっきパーピュアの鞭がビュンビュンしてたの見た気がするし。
けど侍従ちゃんズは戦えるって聞いてないぞ!

慌てて後ろの小窓から荷馬車があった方を見ると。

「えい!!」

「はぁ!!」

「やー!!」

………侍従ちゃんズ、普通に強かったです。魔法でモンスター蹴散らしてました。
あれ?ここで戦えないのって俺だけ?めちゃくちゃヘコむ…。





しばらく経ってようやくガタゴト馬車が動き出したんだけど…。何だろう。何か段々気分が悪くなってきたような…。酔った?

「スナオ様?」

今日はローゼンが馬車に一緒に乗ってくれてる。さっきは戦闘で外に行ってたけど、終わったら中に戻ってきてくれて「大丈夫でしたか?」とか「怖くなかったですか?」とか心配して抱き締めてくれたんだ。ただ鎧だから痛くてすぐ離してもらったんだけど。
でもそれに甘えて横に座ってずっと手を握ってもらっていました。

暖かい手にほこほこ癒されてたのに。

「…ローゼン…何か…気持ち悪い…」

「吐き気がありますか?」

「……うん。…吐きそう…っ」

何だこれ。
頭もガンガンしてきた。耳鳴りも酷いし、冷や汗が噴き出してくるし。

突然の不調にパーピュアを呼んでくれたみたいで、きーーーん、と甲高い音が鳴り響く聴覚がパーピュアの声を拾う。

「瘴気あたりだ」

「う…っ」

パーピュアの声がぐわんぐわんと伸び縮みして聞こえてきて物凄く気持ち悪い。
ヤバイヤバイ、ホントに胃の中身出てきちゃいそう…っ。

パンッと口元を押さえるとすかさずローゼンが何かの容器を差し出してくれて、もう我慢できなくてゲロゲロ吐いてしまった。

ローゼンにゲロの世話をされるのは2度目だな…。いつもごめんね。

頭の中ではそうやって謝れるんだけど、未だに気分は最悪で側で何か話してるローゼンとパーピュアの声は相変わらずぐにゃんぐにゃんと伸び縮みした感じで聞こえてて咄嗟に耳を塞いだ。

うぅぅ…っ、もうやだ、何だこれ…っ!頭も割れそう…っ!!

何だか抱き上げられた感覚のあと、ワヤワヤ色んな音が伸び縮みしながら聞こえてきてまたゲロってしまった。

そうこうしてる内にふかふかした所に寝かされて、急にじんわりと暖かい何かが流れ込んできて…。

「あ…れ…?」

「どうだ?少しはマシになったか?」

「パーピュア…?」

いつの間にか馬車の中がベッド状になってて、俺はその上に寝かされてる。ローゼンはいなくて、代わりに隣に座ったパーピュアの左手の平が俺の胸の上に乗せられてて、そこから何だか暖かい物が流れてくる。

「何…これ…?」

「すまない。僕がお前の属性について失念していた」

「…属性…」

あ、何かわかるぞ。火とか水とか相性いい属性があるって事だな!あれ?でもあのボードにはそんなの載ってなかったよな。

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