【本編完結】農民と浄化の神子を並べてはいけない

ナナメ

文字の大きさ
114 / 203
第二章 浄化の旅

ドラゴンうるせぇ!!

しおりを挟む
レオニスは

「どうやってあの塔までいくつもりだ?」

と首を傾げる。
土魔法で足場を作って行っても良いけど…あ。

『ミコォォォォォーーーー!!』

「ぎゃぁ!こっち来た!!」

突風で吹き飛ばされそうになる俺をレオニスが抱き止め、上空を睨み付けた。

「向こうを助ける前にお前がやられるぞ」

「確かに…あの爪食い込んだら死にそう…」

ヘルクロウの爪ですら結構な傷が出来たんだ。ドラゴンの爪なんか食い込んだら体が真っ二つになっちゃう。
しかも俺を狙ってずっと上空を旋回してるから下の皆はドラゴンに攻撃したくても出来ないみたいだ。

「…レオニス、あそこにいるのこの国の王子達とその伴侶達なんだよ」

「そのようだな」

「俺は下でドラゴンを引き付けるからその間にあの人達助けられない?」

何言ってんだこいつ、みたいな顔された。
だけどドラゴンが俺を狙ってるのなら俺が下に行けばドラゴンも下に来るはず。そしたら騎士団やナフィーリア軍も攻撃の手立てがあるだろうし、その間に階段が崩落して動けないみんなを助けられるんじゃないかな、って。

それに今は俺しか目に入ってないドラゴンが逃げ場のないみんなを見つけたら何をするかわからない。早くあそこから助けなきゃ。

「あの人達はこの国にいなきゃいけない人達なんだ」

「死ぬつもりか?」

えっ、この人何怖いこと言ってるの?俺だって死ぬつもりさらさらないですけど!ちょっと下に降りて引き付けて、パーピュア達が助かったら全速力で逃げるつもりでいますけど!

「俺が死んだらねぇ…ディアが…俺のつがいが他の番二人に殺されちゃうらしいから死なない」

「何だ、お前番持ちか」

また頭の上を通過していくドラゴンから俺を庇って残念そうに言ってくるレオニスを見上げる。

「ナフィーリアに拐って帰ろうかと思ったが、残念だ」

「…国際問題になるんじゃないの」

いや、でも俺もちょっとモフモフの国は気になるけどね!今度遊びに行かせてね。

『ミコォォォォォーーーー!!コノクニモ、スベテハヨノモノゾォォォォーーーーーーー!!』

とりあえずドラゴンうるせぇ!!

「…それで、あっちの救助任せても良い?」

「貸し一つだな」

ぐしゃぐしゃと頭を撫でたレオニスのモフモフをどさくさ紛れに触って、よろしく、って言って塔から飛び降りる。向こうの方からメイディの、スナオ様!って悲鳴みたいな声が聞こえてきたけど、大丈夫。俺だってこの3ヶ月馬車でダラダラしてばっかりだったわけじゃないよ。

「えいっ!」

ヘルクロウに落とされた時に使ったぽよぽよ水風船、いつでも出せるようになったんだ。それに乗ってぽよん、ぽよん、と下まで降りる。
みんなの事もこれで下まで降ろしてあげられたら良いんだけど、あんまり長く出せないし万が一ぽよらなくて落ちちゃったりしたら大変だしな。
あっちはレオニスに任せよう。ほんのちょっとしか話してないけど、あの人は何か信頼できそうな雰囲気だったし。

スタッ、と着地した途端に物凄い地響きを立ててドラゴンが地面に降りてきた。しかも爛々と光る金の瞳がもう背後にまで迫ってて、目の前でがばりと鋭い牙の並んだ口が開く。

「あっち行けー!!」

火は嫌いだ。一番最初に丸焼きにされそうになった記憶が甦るから。だけど一番攻撃力が高いのも火。毎日ロウソクくらいの炎から克服して、最近やっと出来るようになった。イメージは火炎放射器。俺の手の平から勢い良く噴射した火炎に

『ギャァァァァァ!!!!』

っとたまらず仰け反るドラゴンから走って逃げる。
確かドラゴンは魔法耐性も高いって言ってたから、熱々のお茶でちょっと火傷したわぁ、程度のダメージにしかなってないだろう。とにかくここから引き離さないと!
でも普通に走ったってドラゴンの一歩は俺の何百歩分?ってくらい。だから今度は複合魔法。水で作ったボードを風の魔法で浮かせてジェット噴射がついたスケボーみたいなイメージでその場を急いで離れる。これバランス取るの大変だけど慣れたら走るより断然早くていいんだよな。

案の定ドラゴンは直ぐ様復活して俺を追ってきた。とりあえずパーピュア達の側からは離れたからレオニス、今のうちに頼んだよー!!

「スナオ!」

「ディア!」

水のスケボーは便利な反面2属性の魔法を使うから集中力も乱れやすいしすぐくたびれるのが難点だ。
とりあえず皆がいるところまで誘導してみたけど、誘導しても良かったのか?

「ごめん、連れてきちゃったけど良かった!?」

「構わん。飛ばれるよりはいい」

「でもあれどうやって倒すの!?」

前も第一騎士団はほぼ壊滅状態になった。それはナスダルドラゴンじゃない、別のドラゴンだったらしいけどーーーなんて思った背後から。

『グギャァアァァァァーーーー!!!』

「えぇぇぇぇ!!!?もう一匹ーーー!!?」

真っ赤な鱗、碧い瞳のドラゴンが長い尾を振って周りの兵を薙ぎ払っている。そのドラゴンの向こうに。

「クソ眼鏡!!!」

遠目で良く見えないけど間違いない。

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...