217 / 473
婚約編
37.プロポーズ
「中途半端な状態で、待たせてしまい申し訳ありませんでした。………プロポーズをするときは、最高の思い出になるように、最高の日に行うと心に決めていたんです」
ほんの少し、照れたようにラファエロは呟くと、ゆっくりとその場に跪いた。
「リリアーナ・グロッシ侯爵令嬢。どうか、私と結婚してください」
回りくどい言い回しなど一切ない言葉を、淀みのない声で告げると、ラファエロはリリアーナに、まるで祈りを捧げるかのように大きな花束を差し出した。
昼間にエドアルドがクラリーチェにしたプロポーズを見守りながら、開港祭という特別な日に、ラファエロから求婚されることを、心のどこかで期待していたのは事実だった。
しかし、こんな状況は全く想定していなかった。
喜びなのか、それとも驚愕なのかすらも分からなくなるほどに、リリアーナの中には様々な感情が犇めきあっていた。
女の子なら誰もが一度は憧れる、王子様からの情熱的なプロポーズ。
そんな恋物語の一節のような状況は、少し前であれば、期待することすらも絶望的だったというのに、たった数週間後には愛する人に傅かれ、花言葉に乗せたロマンチックな求婚をされることになるなどと、一体誰が想像するだろう。
夢ではないのだろうかと、リリアーナは込み上げてくる歓喜と、得も言われぬ幸福感の震える手をゆっくりと伸ばして、薔薇の花束に触れた。
「…………」
何か気の利いたことを言わなければと思うのに、頭の中には言葉すらも浮かんでは来なかった。
その代わりに、視界が緩やかに滲んでいく。
堪えきれなくなった涙が零れ落ちるのと同時に、リリアーナは花束を受け取った。
そして、跪くラファエロの前にゆっくりと腰を下ろすと、ぎゅっとラファエロに抱きついた。
「………勿論です、ラファエロ様。私には、ラファエロ様のいない未来など考えられません………っ」
嗚咽を堪えながら、やっとのことでそれだけ言葉を絞り出す。
前回の開港祭の夜、ラファエロから想いを告げられた時とは比べ物にならない程に胸がいっぱいだった。
溢れ返るこの気持ちを、なんと表現したら良いのだろう。
そんなリリアーナを、ラファエロは優しく抱き締めてから、指で涙を拭ってくれた。
「また、泣かせてしまいましたね」
「これは、嬉し涙ですわ」
リリアーナは幸せを噛み締めながら、目尻に涙を溜めたままふわりと微笑むと、ラファエロもそれに応えるように優しくリリアーナに口付けを落とした。
ほんの少し、照れたようにラファエロは呟くと、ゆっくりとその場に跪いた。
「リリアーナ・グロッシ侯爵令嬢。どうか、私と結婚してください」
回りくどい言い回しなど一切ない言葉を、淀みのない声で告げると、ラファエロはリリアーナに、まるで祈りを捧げるかのように大きな花束を差し出した。
昼間にエドアルドがクラリーチェにしたプロポーズを見守りながら、開港祭という特別な日に、ラファエロから求婚されることを、心のどこかで期待していたのは事実だった。
しかし、こんな状況は全く想定していなかった。
喜びなのか、それとも驚愕なのかすらも分からなくなるほどに、リリアーナの中には様々な感情が犇めきあっていた。
女の子なら誰もが一度は憧れる、王子様からの情熱的なプロポーズ。
そんな恋物語の一節のような状況は、少し前であれば、期待することすらも絶望的だったというのに、たった数週間後には愛する人に傅かれ、花言葉に乗せたロマンチックな求婚をされることになるなどと、一体誰が想像するだろう。
夢ではないのだろうかと、リリアーナは込み上げてくる歓喜と、得も言われぬ幸福感の震える手をゆっくりと伸ばして、薔薇の花束に触れた。
「…………」
何か気の利いたことを言わなければと思うのに、頭の中には言葉すらも浮かんでは来なかった。
その代わりに、視界が緩やかに滲んでいく。
堪えきれなくなった涙が零れ落ちるのと同時に、リリアーナは花束を受け取った。
そして、跪くラファエロの前にゆっくりと腰を下ろすと、ぎゅっとラファエロに抱きついた。
「………勿論です、ラファエロ様。私には、ラファエロ様のいない未来など考えられません………っ」
嗚咽を堪えながら、やっとのことでそれだけ言葉を絞り出す。
前回の開港祭の夜、ラファエロから想いを告げられた時とは比べ物にならない程に胸がいっぱいだった。
溢れ返るこの気持ちを、なんと表現したら良いのだろう。
そんなリリアーナを、ラファエロは優しく抱き締めてから、指で涙を拭ってくれた。
「また、泣かせてしまいましたね」
「これは、嬉し涙ですわ」
リリアーナは幸せを噛み締めながら、目尻に涙を溜めたままふわりと微笑むと、ラファエロもそれに応えるように優しくリリアーナに口付けを落とした。
あなたにおすすめの小説
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】見えてますよ!
ユユ
恋愛
【 お知らせ 】
先日、近況ボードにも
お知らせしました通り
2026年4月に
完結済みのお話の多数を
一旦closeいたします。
誤字脱字などを修正して
再掲載をするつもりですが
再掲載しない作品もあります。
再掲載の時期は決まっておりません。
表現の変更などもあり得ます。
他の作品も同様です。
ご了承いただけますようお願いいたします。
ユユ
【 お話の内容紹介 】
“何故”
私の婚約者が彼だと分かると、第一声はソレだった。
美少女でもなければ醜くもなく。
優秀でもなければ出来損ないでもなく。
高貴でも無ければ下位貴族でもない。
富豪でなければ貧乏でもない。
中の中。
自己主張も存在感もない私は貴族達の中では透明人間のようだった。
唯一認識されるのは婚約者と社交に出る時。
そしてあの言葉が聞こえてくる。
見目麗しく優秀な彼の横に並ぶ私を蔑む令嬢達。
私はずっと願っていた。彼に婚約を解消して欲しいと。
ある日いき過ぎた嫌がらせがきっかけで、見えるようになる。
★注意★
・閑話にはR18要素を含みます。
読まなくても大丈夫です。
・作り話です。
・合わない方はご退出願います。
・完結しています。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
悪女と呼ばれた王妃
アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。
処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。
まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。
私一人処刑すれば済む話なのに。
それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。
目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。
私はただ、
貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。
貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、
ただ護りたかっただけ…。
だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ ゆるい設定です。
❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。
大人しい令嬢は怒りません。ただ二年間、準備していただけです。――婚約解消の申請が受理されましたので、失礼いたします
柴田はつみ
恋愛
婚約者に、誕生日を忘れられた。
正確には、忘れられたわけではない。
エドワード・ヴァルト公爵はちゃんと覚えていた。
記念のディナーも、予約していた。
薔薇だって、一輪、用意していた。
ただ――幼馴染のクロエ・アンセル伯爵令嬢から使いが来た瞬間、全部置いて行ってしまっただけだ。
「すぐ戻る」
彼が戻ったのは、三時間後だった。
蝋燭は溶け切り、料理は冷え、ワインは乾いていた。
それでもリーゼロッテ・フォン・アルテンベルクは、笑顔で座って待っていた。
「ええ、大丈夫でございます。お気遣いなく」
完璧な微笑みで、完璧にそう言った。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです
MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。
しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。
フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。
クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。
ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。
番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。
ご感想ありがとうございます!!
誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。
小説家になろう様に掲載済みです。
死に戻りの元王妃なので婚約破棄して穏やかな生活を――って、なぜか帝国の第二王子に求愛されています!?
神崎 ルナ
恋愛
アレクシアはこの一国の王妃である。だが伴侶であるはずの王には執務を全て押し付けられ、王妃としてのパーティ参加もほとんど側妃のオリビアに任されていた。
(私って一体何なの)
朝から食事を摂っていないアレクシアが厨房へ向かおうとした昼下がり、その日の内に起きた革命に巻き込まれ、『王政を傾けた怠け者の王妃』として処刑されてしまう。
そして――
「ここにいたのか」
目の前には記憶より若い伴侶の姿。
(……もしかして巻き戻った?)
今度こそ間違えません!! 私は王妃にはなりませんからっ!!
だが二度目の生では不可思議なことばかりが起きる。
学生時代に戻ったが、そこにはまだ会うはずのないオリビアが生徒として在籍していた。
そして居るはずのない人物がもう一人。
……帝国の第二王子殿下?
彼とは外交で数回顔を会わせたくらいなのになぜか親し気に話しかけて来る。
一体何が起こっているの!?