冷遇側妃の幸せな結婚

玉響

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番外編

待望の知らせ(1)

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それは、いつもと何も変わりのない穏やかな日の事だった。

朝の身支度を整えたクラリーチェは、国王夫妻の私室を出て執務室へと向かった。

「………王妃様。足を、痛められましたか?」

クラリーチェのすぐ後ろを歩く侍女のリディアが、怪訝そうに声を掛けてきた。

「…………?いいえ?私は見ての通り元気だし、どこも怪我などしていないわ」

クラリーチェは足を止め、リディアを振り返る。
いつも通りに歩いていただけだったが、気になることがあったのだろうか。それとも何か別の理由があってそのような事を聞いてきたのだろうか。

淡い紫色の瞳に真っ直ぐ見つめられ、リディアは思わずたじろいだ。
そして、困ったように曖昧な笑みを浮かべると、ゆっくりと首を横に振った。

「………失礼いたしました。私の気の所為だと思います」

一分の隙もない動作でお辞儀をすると、リディアは何事もなかったように背筋を正し、クラリーチェに微笑みかけた。
リディアの言動に違和感を感じながらも、クラリーチェは微笑みを返し、再び歩き出した。

しかし、自分で「大丈夫だ」と言ったものの、言われてみればいつもとは何か違う気がして、何とも落ち着かない気分だった。
それは執務中も同じで、いくら書類を見つめても、内容が全く頭に入ってこない。

「………ーチェ?クラリーチェ?」

すぐ近くで名を呼ばれ、アリーチェははっと顔を上げた。
するとエドアルドが執務机越しに、クラリーチェの顔を覗き込んでいた。

「先程から何度呼び掛けても返答がなかったが…………体調でも悪いか?」
「あ………、いえ。申し訳ありません」

歯切れの悪い返事を返すと、クラリーチェは曖昧な笑みを浮かべる。
エドアルドに呼ばれていることすらも気がついていなかったという事実に愕然としたからだ。

(私………一体どうしてしまったのかしら?)

多少の眠気はあるが、体調はいつもと変わらないのは確かだった。
しかし、何かがいつもと違う。
自分自身のことなのに、理解出来なかった。

「………少し、顔色が悪いように見えるな。元々貴女は体が強い方ではない。ここのところはあまり休みも取らずに政務に励んでくれていたから、疲れが出たかもしれないな。………休憩にしよう」

短い溜息をついたエドアルドがリディアに目配せをすると、リディアは二人に向かって一礼をすると、お茶の準備をする為に音もなく部屋を出ていった。
そんなリディアの様子を、クラリーチェはぼんやりしながら見つめていた。
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