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24.無くした記憶
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「ん…………」
顔に眩しい光が当たって、アンネリーゼは思わず身じろぎをする。
心地の良い微睡みから、ゆっくりと意識が覚醒していく感覚は、水の上に浮かんでいる感覚と似ているのだとアンネリーゼは思った。
ゆっくりと瞼を開くと、見覚えのあるようでない、真っ白な天井が目に入った。
「お嬢様?」
枕元で声がして、アンネリーゼはまだはっきりしない頭で声のした方を向いた。
「ああ………良かった!いつまでも目を覚まされなかったので、心配していたのです。ご気分は如何ですか?」
年若い、侍女らしき女性が涙目で話しかけてきた。
前にも、このようなことは無かっただろうかと、アンネリーゼは記憶の糸を手繰り寄せるが、ぼんやりとしていて、何も思い出せない。
「あの………?」
アンネリーゼは戸惑いながら、侍女に向かって声を掛ける。
「あ………、失礼致しました。私は、こちらのモルゲンシュテルン侯爵家でアンネリーゼお嬢様の侍女を仰せつかっております、ミアと申します」
にこりと微笑む女性は人懐っこい雰囲気だったが、どこか悲しそうな表情を浮かべて、ぽつりと付け足した。
「………本当に、何も覚えてらっしゃらないのですね………」
「え?」
ミアと名乗った侍女の言葉に、アンネリーゼは不思議そうに首を傾げた。
「覚えていない?」
アンネリーゼはまじまじとミアと名乗った侍女の顔を見つめるが、まるで覚えはなかった。
そんなアンネリーゼの反応に、ミアは更に表情を曇らせた。
「私は、四年前からお嬢様の侍女としてお仕えしてきたのですが………私の事も覚えてらっしゃらないのですね」
その言葉に、アンネリーゼは目を見開いた。
「四年………前から………?冗談でしょう?」
からかわれているとしか、思えなかった。
アンネリーゼは信じられないといった風に、首を小さく横に振って、ミアの言葉を、否定した。
「嘘じゃありません!お嬢様は狼藉者に襲われて行方不明になった挙げ句、記憶喪失になられたのです………っ。魔獣討伐に出ていた騎士様がお嬢様を見つけたという連絡が入って………旦那様が急ぎ迎えに向かわれたのですわ!」
ミアの言葉に、アンネリーゼは息を呑む。
「記憶喪失………?」
「そうです。助けて下さった騎士様が仰っていたと………一度目を覚ました時に、自分が何者なのかも、自分の身に何が起きたのかも、何もかも覚えておらず、意識も朦朧としていたらしいです」
「………そんな………」
「信じられないですか?………では、お父上の名前は?アンネリーゼ様のご年齢は?」
ふるふると小刻みに震えながら、ミアがアンネリーゼに詰め寄る。
アンネリーゼは口を開きかけて、それから呆然としたように瞬きをして、それから困ったように口を噤んだ。
顔に眩しい光が当たって、アンネリーゼは思わず身じろぎをする。
心地の良い微睡みから、ゆっくりと意識が覚醒していく感覚は、水の上に浮かんでいる感覚と似ているのだとアンネリーゼは思った。
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「お嬢様?」
枕元で声がして、アンネリーゼはまだはっきりしない頭で声のした方を向いた。
「ああ………良かった!いつまでも目を覚まされなかったので、心配していたのです。ご気分は如何ですか?」
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前にも、このようなことは無かっただろうかと、アンネリーゼは記憶の糸を手繰り寄せるが、ぼんやりとしていて、何も思い出せない。
「あの………?」
アンネリーゼは戸惑いながら、侍女に向かって声を掛ける。
「あ………、失礼致しました。私は、こちらのモルゲンシュテルン侯爵家でアンネリーゼお嬢様の侍女を仰せつかっております、ミアと申します」
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「………本当に、何も覚えてらっしゃらないのですね………」
「え?」
ミアと名乗った侍女の言葉に、アンネリーゼは不思議そうに首を傾げた。
「覚えていない?」
アンネリーゼはまじまじとミアと名乗った侍女の顔を見つめるが、まるで覚えはなかった。
そんなアンネリーゼの反応に、ミアは更に表情を曇らせた。
「私は、四年前からお嬢様の侍女としてお仕えしてきたのですが………私の事も覚えてらっしゃらないのですね」
その言葉に、アンネリーゼは目を見開いた。
「四年………前から………?冗談でしょう?」
からかわれているとしか、思えなかった。
アンネリーゼは信じられないといった風に、首を小さく横に振って、ミアの言葉を、否定した。
「嘘じゃありません!お嬢様は狼藉者に襲われて行方不明になった挙げ句、記憶喪失になられたのです………っ。魔獣討伐に出ていた騎士様がお嬢様を見つけたという連絡が入って………旦那様が急ぎ迎えに向かわれたのですわ!」
ミアの言葉に、アンネリーゼは息を呑む。
「記憶喪失………?」
「そうです。助けて下さった騎士様が仰っていたと………一度目を覚ました時に、自分が何者なのかも、自分の身に何が起きたのかも、何もかも覚えておらず、意識も朦朧としていたらしいです」
「………そんな………」
「信じられないですか?………では、お父上の名前は?アンネリーゼ様のご年齢は?」
ふるふると小刻みに震えながら、ミアがアンネリーゼに詰め寄る。
アンネリーゼは口を開きかけて、それから呆然としたように瞬きをして、それから困ったように口を噤んだ。
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