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79.回想(2 SIDE:ジークヴァルト)
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「死んだ巫女姫のせいであなたが詰られるのは理不尽だと思わない?」
魔獣と戦っていたジークヴァルトの前に突如姿を現した美しい魔女は、甘い声音でジークヴァルトに囁いた。
「巫女姫は病魔に倒れたのに、それを護衛騎士のせいにするだなんて………本当に人間とは愚かで身勝手な、醜い生き物よね?」
くすり、と嗤うと魔女は赤い髪を風に靡かせながら艶めかしい動きで、ジークヴァルトを誘うように近付いてきた。
剣を構えたジークヴァルトは、魔女から距離を取るように後ずさった。
「私なら、あなたの無念さを払ってあげられるわ。………私の手を取りなさい。そうすれば、あなたを魔族を従える魔族の王にしてあげられる。あなたの実力なら難しいことではないわ。一緒に、愚かな人間どもに身の程を知らせてあげましょう?………私、あなたが気に入ったの。その美しさ………強さ………そして高潔な魂………。人間なんかにしておくには勿体無いわ。…………さあ、私の手を取ると言いなさい」
魔女は、紫色の瞳をかっと見開いた。
おそらく魅了の魔法でも使っているのだろう。
「…………断る」
ジークヴァルトは強い意志の籠もった金色の瞳を禍月の魔女へと向けた。
「確かにお前の言うとおり、理不尽だと思うさ。俺は、精一杯アリッサを守ったし、あいつを助けるために出来る限りのことはしたつもりだ。それなのに、彼女が助からなかったのは俺のせいだと言われるだなんて、思ってもみなかった。だが………」
禍々しい空気とともに、強い風が吹き付けた。
「俺が守らなければならないものは、俺自身のプライドでも、騎士の名誉でもない。あいつが命を掛けて守ろうとした、愚かでどうしようもない人間なんだよ」
風が、物凄い勢いで雲を攫い、姿を現した紅い月が、闇を照らし出す。
「残念だったな、魔女。そもそも………お前のような者の言うことなど、俺が聞くわけがないだろう」
そう呟くと、ジークヴァルトは試すように、煌めく金色の瞳を女に向けた。同時に、彼の漆黒の髪が風に靡いた。
禍月の魔女は、真っ赤に燃え上がるような髪を鬱陶しげに振り払うと、それよりも更に濃い赤色の唇を釣り上げた。
「………そう。残念だわ」
女は溜息をつくと、その表情を一変させる。彼女の美しかった顔は見る影もなくなり、皺だらけの老婆が現れた。
「ならば、あなたが私を受け入れたくなるように………、私に縋り付きたくなるように………永遠という名の苦しみをあげるわ。………美しい姿はそのままに………たった一人で終わりのない地獄を味わいなさい。………その苦しみの中で、私を拒んだことをせいぜい悔やむがいいわ」
禍月の魔女が、狂ったように高笑いを始めると、彼女の体から凄まじい魔力が立ち昇った。
それはみるみるジークヴァルトを呑み込み、どす黒い渦となって辺りを覆い尽くす。
「ぐっ…………!」
凄まじい魔力に、流石のジークヴァルトも耐え兼ねたのかうめき声を漏らして膝を付き、そしてその場に倒れ、そのまま意識を失った。
魔獣と戦っていたジークヴァルトの前に突如姿を現した美しい魔女は、甘い声音でジークヴァルトに囁いた。
「巫女姫は病魔に倒れたのに、それを護衛騎士のせいにするだなんて………本当に人間とは愚かで身勝手な、醜い生き物よね?」
くすり、と嗤うと魔女は赤い髪を風に靡かせながら艶めかしい動きで、ジークヴァルトを誘うように近付いてきた。
剣を構えたジークヴァルトは、魔女から距離を取るように後ずさった。
「私なら、あなたの無念さを払ってあげられるわ。………私の手を取りなさい。そうすれば、あなたを魔族を従える魔族の王にしてあげられる。あなたの実力なら難しいことではないわ。一緒に、愚かな人間どもに身の程を知らせてあげましょう?………私、あなたが気に入ったの。その美しさ………強さ………そして高潔な魂………。人間なんかにしておくには勿体無いわ。…………さあ、私の手を取ると言いなさい」
魔女は、紫色の瞳をかっと見開いた。
おそらく魅了の魔法でも使っているのだろう。
「…………断る」
ジークヴァルトは強い意志の籠もった金色の瞳を禍月の魔女へと向けた。
「確かにお前の言うとおり、理不尽だと思うさ。俺は、精一杯アリッサを守ったし、あいつを助けるために出来る限りのことはしたつもりだ。それなのに、彼女が助からなかったのは俺のせいだと言われるだなんて、思ってもみなかった。だが………」
禍々しい空気とともに、強い風が吹き付けた。
「俺が守らなければならないものは、俺自身のプライドでも、騎士の名誉でもない。あいつが命を掛けて守ろうとした、愚かでどうしようもない人間なんだよ」
風が、物凄い勢いで雲を攫い、姿を現した紅い月が、闇を照らし出す。
「残念だったな、魔女。そもそも………お前のような者の言うことなど、俺が聞くわけがないだろう」
そう呟くと、ジークヴァルトは試すように、煌めく金色の瞳を女に向けた。同時に、彼の漆黒の髪が風に靡いた。
禍月の魔女は、真っ赤に燃え上がるような髪を鬱陶しげに振り払うと、それよりも更に濃い赤色の唇を釣り上げた。
「………そう。残念だわ」
女は溜息をつくと、その表情を一変させる。彼女の美しかった顔は見る影もなくなり、皺だらけの老婆が現れた。
「ならば、あなたが私を受け入れたくなるように………、私に縋り付きたくなるように………永遠という名の苦しみをあげるわ。………美しい姿はそのままに………たった一人で終わりのない地獄を味わいなさい。………その苦しみの中で、私を拒んだことをせいぜい悔やむがいいわ」
禍月の魔女が、狂ったように高笑いを始めると、彼女の体から凄まじい魔力が立ち昇った。
それはみるみるジークヴァルトを呑み込み、どす黒い渦となって辺りを覆い尽くす。
「ぐっ…………!」
凄まじい魔力に、流石のジークヴァルトも耐え兼ねたのかうめき声を漏らして膝を付き、そしてその場に倒れ、そのまま意識を失った。
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