呪われた騎士は記憶喪失の乙女に愛を捧げる

玉響

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80.回想(3 SIDE:ジークヴァルト)

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次に意識が戻った時、ジークヴァルトは何とも言い難い違和感を覚えた。
自分の体が、そっくりそのまま別の何かに作り変えられたような、そんな気分だった。
闇夜を照らす、あの日よりも細くなった紅い月が日数の経過を表している。

「………か弱い人間が、あの魔女に歯向かうとは驚きましたよ」

突然、空から声が降ってきた。

「………魔鳥か」

ジークヴァルトは構えもせずに、掌から雷魔法を繰り出す。
しかし、声の主………黒い大鷹はその攻撃を容易く躱すと、バサリとジークヴァルトの前へと降り立った。

「無詠唱でこのレベルの魔法を操る事の出来る人間がいるとは………驚きましたね。流石はあの魔女が欲するだけのことはある」
「魔獣の癖に、随分と喋るんだな」

ジークヴァルトはゆっくりと立ち上がる。

「これでも私は魔族の中では名の知れた家柄なのですがね………」

魔鳥の姿がゆらりと歪んだかと思うと、貴族然とした青年の姿へと変化した。

「あなたと、禍月の魔女のやり取りを見せていただきました」

魔鳥の青年は、口元に薄っすらと笑みを浮かべていた。
濃い茶色の長い髪と、魔族の証である紫色の瞳。
そして纏う雰囲気が、彼が力のある魔族であることを物語っていた。

「………あの魔女のお陰で、保たれていた均衡が崩れ、魔族の中でも混乱が起きています。それは、あなた方人間側にも影響を及ぼしている筈です」
「…………何が、言いたい?」

殺気を含んだ視線を投げかけると、青年ははっきりとした笑みを浮かべた。

「単刀直入に申し上げます。………あの魔女を排除する為に、私と手を組みませんか?」
「あの魔女にも言ったのを、聞いていなかったのか?俺は、魔族などと馴れ合うつもりはない」

はっきりとした拒絶に、青年は小さく溜息をついた。

「今のあなただって、魔族とそうは変わらないというのに…………」

そう言うと、青年はジークヴァルトの前ですうっと指を動かした。
次の瞬間、ジークヴァルトが纏っていた騎士服がぱっくりと割れて、よく鍛え上げられた上半身が顕になった。

「…………っ!」

その光景に、ジークヴァルトは目を見開いた。
特殊な素材で造られた騎士服がいとも簡単に裂けたこともだが、その下から現れた己の身体に………命と魔力の源である心臓が収まっている部分に、禍々しい紋様が浮かび上がっているのが、はっきりと見て取れたからだった。

「………それは、禍月の魔女から受けた『不老不死の呪い』の証だ」

青年の言葉に、ジークヴァルトは衝撃のあまり言葉を失った。
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