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103.恋慕の情(SIDE:ジークヴァルト)
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眠るアンネリーゼの傍らで、ジークヴァルトは祈るような気持ちで彼女を見守り続けた。
アンネリーゼの眠る姿をこうして見守るのは、幾度目になるだろうか。
だが、その記憶の中のどの時よりも、静かに眠り続けるアンネリーゼは、柔らかに舞い降りる月光のように儚く見えて、目を離すとそのまま消えてしまいそうな錯覚にさえ囚われる。
ジークヴァルトは思わず、細くて滑らかな手に己の手を重ね合わせた。
「アンネリーゼ………」
想いを込めて名を呼ぶが、当然応えは返ってこない。
最善を尽くした。
あとは運と、アンネリーゼ自身の持つ力に賭けるしかない。
もしかすると永遠に、彼女が目を醒ますことはないのかもしれないと考えるだけで胸が押しつぶされてしまいそうだった。
ジークヴァルトは、アンネリーゼに触れる己の手が、小さく震えていることに気がついた。
敵を前に武者震いをすることはあっても、恐怖に震えたのは、呪いを受ける以前だっただろうか。
「は…………っ、情けないな………」
溜息と共に、自嘲が零れる。
魔力にも、剣の腕にも絶対の自信を持っていたというのに、この有り様だ。
あんな小娘一人に出し抜かれた己が、腹立たしかった。
ジークヴァルトは震えを止める為に、ぎゅっと手を力強く握り締めた時だった。
微かに、だがはっきりと、ジークヴァルトの大きな手を握り返してくる反応があった。
「アンネリーゼ?!」
はっとして、ジークヴァルトは慌てて立ち上がるが、彼女は相変わらず深い眠りについたままだった。
それでもその指先が宿した、優しい温もりに安堵する。
ジークヴァルトは金色の目を僅かに細めた。
例え偶然であったとしても、無意識にアンネリーゼが自分に応えてくれたのだと思うと、それだけで心が打ち震えた。
それは、今まで誰に対しても感じたことのない感情だった。
苦しくて、切なくて、けれど胸が高鳴って、温かくて。
何故だかこの感情を自覚したら終わりだと思って目を背けてきたが、遂にジークヴァルトはその正体へと目を向ける。
この胸を支配しているのはアンネリーゼへの恋慕の心。
運命などというものは信じていなかったが、もし運命が存在するのであれば、彼女がそうなのだろう。
ジークヴァルトはじっとアンネリーゼを見つめると、親指の腹で彼女の唇に触れ、それからその指を己の唇へと這わせる。
そして、女神に対してアンネリーゼを守ってくれるように、祈りを捧げるのだった。
アンネリーゼの眠る姿をこうして見守るのは、幾度目になるだろうか。
だが、その記憶の中のどの時よりも、静かに眠り続けるアンネリーゼは、柔らかに舞い降りる月光のように儚く見えて、目を離すとそのまま消えてしまいそうな錯覚にさえ囚われる。
ジークヴァルトは思わず、細くて滑らかな手に己の手を重ね合わせた。
「アンネリーゼ………」
想いを込めて名を呼ぶが、当然応えは返ってこない。
最善を尽くした。
あとは運と、アンネリーゼ自身の持つ力に賭けるしかない。
もしかすると永遠に、彼女が目を醒ますことはないのかもしれないと考えるだけで胸が押しつぶされてしまいそうだった。
ジークヴァルトは、アンネリーゼに触れる己の手が、小さく震えていることに気がついた。
敵を前に武者震いをすることはあっても、恐怖に震えたのは、呪いを受ける以前だっただろうか。
「は…………っ、情けないな………」
溜息と共に、自嘲が零れる。
魔力にも、剣の腕にも絶対の自信を持っていたというのに、この有り様だ。
あんな小娘一人に出し抜かれた己が、腹立たしかった。
ジークヴァルトは震えを止める為に、ぎゅっと手を力強く握り締めた時だった。
微かに、だがはっきりと、ジークヴァルトの大きな手を握り返してくる反応があった。
「アンネリーゼ?!」
はっとして、ジークヴァルトは慌てて立ち上がるが、彼女は相変わらず深い眠りについたままだった。
それでもその指先が宿した、優しい温もりに安堵する。
ジークヴァルトは金色の目を僅かに細めた。
例え偶然であったとしても、無意識にアンネリーゼが自分に応えてくれたのだと思うと、それだけで心が打ち震えた。
それは、今まで誰に対しても感じたことのない感情だった。
苦しくて、切なくて、けれど胸が高鳴って、温かくて。
何故だかこの感情を自覚したら終わりだと思って目を背けてきたが、遂にジークヴァルトはその正体へと目を向ける。
この胸を支配しているのはアンネリーゼへの恋慕の心。
運命などというものは信じていなかったが、もし運命が存在するのであれば、彼女がそうなのだろう。
ジークヴァルトはじっとアンネリーゼを見つめると、親指の腹で彼女の唇に触れ、それからその指を己の唇へと這わせる。
そして、女神に対してアンネリーゼを守ってくれるように、祈りを捧げるのだった。
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