国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

213.断罪(24)

その間も、ベルナルドの問いに対して答える者は誰一人としていなかった。

「な………何故誰も答えない?そう難しい問いかけではないだろう!」

催促するかのように、ベッリーニ侯爵が声を荒げた。
それでも貴族達は沈黙を守った。
互いに様子を見ているというよりも、答えが見つからずに困惑しているようだった。

「誰も答えないようだが?」

相当な間を置いて、ベルナルドはあからさまな嘲笑を浮かべた。

「き、貴様が唐突におかしな質問を投げ掛けたせいだろう!」

ベッリーニ侯爵は怒りを露わにする。
だが、それすらもベルナルドは想定済みだったようだった。

「唐突な質問がいけないと言うのならば、お前自身はどうだ?自身の功績について、何を説明出来る?」
「そうだな。シルヴェストリ侯爵の言う通り、自分の口で自分の価値を示すことが出来れば、この場にいる者達も納得するだろう」

ベルナルドを援護するかのように、フェルディナンドも彼の意見に同意する。
するとベッリーニ侯爵は一瞬顔を歪めた。
そして、躊躇いがちに口を何度か動かした後、覚悟を決めたように額を床に擦り付けた。

「わ、私は先王陛下に見出され、そして先王陛下が崩御され、もフェルディナンド陛下が即位された後も宰相として誠心誠意、尽くして参りました!」

芋虫のような体勢で、必死になって叫ぶベッリーニ侯爵の姿は、無様を通り過ぎて憐れにすら見えた。

「それはそなたの『功績』ではないだろう」

しかしどんな必死な姿を見せても、フェルディナンドの反応は冷淡だった。

「具体的に何をしたのか、どのような施策を立案したのか、それを挙げろと言っている」
「あ………」

フェルディナンドは大きく溜息をつくと、徐ろに立ち上がった。
そしてゆったりとした足取りで、ベルナルドの隣までやってくる。

「………お前も人が悪いな。わざわざこんなにも大勢の前で此奴の無能っぷりを晒さなくてもいいだろうに………」

口ではそう言いつつも、フェルディナンドは楽しそうだった。
その言葉を聞き、やはりそうか、とアルフォンシーナは納得した。

実際のところ、ベッリーニ侯爵が宰相として成し得た功績は何一つなかったのだ。
それは彼が『名ばかりの宰相』であったという事実を示していた。
だからこそ、ベルナルドは敢えてそれを訊くことで、ベッリーニ侯爵が如何に無能なのかを明らかにしようとしたのだろう。

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