国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

218.断罪(29)

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「莫迦なのはお前だろう?皆自分の身が一番可愛いのに、半ば脅迫されて計画に加わることになった者たちが、お前に忠誠を誓うとでも思ったか?」
「……………っ!」

ぎり、と奥歯を強く噛み締める音が聞こえてきた。

「お前が望むのなら、彼らをこの場に連れてきて、証言させてもいい。お前が何を企み、何を成し遂げようとしていたのかを、詳らかに話して…………」
「黙れ!」

ベルナルドの言葉を遮り、ベッリーニ侯爵が再び大声を上げた。

「陛下!これは全て私を嵌めようという勢力の仕組んだ罠です!」

早口の叫びが部屋中に響き渡り、その余りの勢いに、皆が口を噤む。
すると必然的に静寂がその場を制した。
これだけの人が集まっているというのに、ベッリーニ侯爵の荒い息遣いの他は、何も聞こえない。
奇妙なまでの沈黙に、アルフォンシーナは何だか落ち着かない気持ちになった。

と。

部屋の後方で人影が動いた気配がした。
それと同時に、甲高い靴音が沈黙を破る。

「…………宰相様。往生際が悪い男は、嫌われますのよ?」

まるで庭園の中を散歩しているような優雅な足取りで、一人の貴婦人が歩み出てきた。

「…………お前は…………!」
「……………っ!」

ベッリーニ侯爵が声を上げたのとほぼ同時に、アルフォンシーナもまた息を呑んだ。
落ち着いた色味のドレスに身を包み、レースをふんだんに使った扇子で口元を隠しながら歩み出てきた妙齢の貴婦人に、見覚えがあったからだ。

「マダム・バルバラ」

貴婦人に向かって声を掛けたのは、ベルナルドだった。
ーーーそう。
貴婦人の正体は、花街で娼館の運営を取り仕切る女主人であり、ベッリーニ侯爵の愛人であるマダム・バルバラだったのだ。

しかし彼女が声を上げたことよりも、彼女がこの場に現れた事に、アルフォンシーナは驚いていた。
ここは王城ーーーつまり、国王フェルディナンドとその家族の住まいであり、このファヴォーレ王国の政の中枢でもある。
そんな建物の中ーーーしかも、国王フェルディナンドのいる部屋の中に、平民であるはずのマダム・バルバラが何故入り込めたのだろうーーー。

動揺が隠せないアルフォンシーナの方へ一瞬だけ視線を移しーーー、笑ったような気がした。
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