国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

224.関係

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「マダム」

ずっと二人の様子を見ていたベルナルドが、唐突にマダム・バルバラを呼ぶ。
するとマダム・バルバラは、また頷いた。
そしてベッリーニ侯爵に見切りをつけるかのように踵を返すと、ベルナルドの方へと歩み寄ってきた。

「………まだまだ生温いわねぇ、坊や?」

マダム・バルバラはベルナルドに、出にしていた羊皮紙を手渡した。
そしてそのまま彼の肩へと手を置き、柘榴をそのまま乗せたかのように真っ赤な唇を彼の耳元に寄せると、そっと囁いた。
おそらくは、ベルナルドとその近くにいるフェルディナンドとアルフォンシーナにしか聞こえない程の微かな声だった。

今彼がどのような表情をしているのかはアルフォンシーナの方からは見えない。
しかし、彼の様子を窺わなくても、彼とマダム・バルバラの間には、アルフォンシーナの知らない関係があるのが嫌でも分かった。
みるみるうちに胸の中で強い嫉妬が広がっていくのを感じ、アルフォンシーナはそっと二人から目を反らした。

一瞬だけ視界の隅に映ったフェルディナンドが微笑んだ気がしたが、その事を気にする余裕すらなく、平静を装うのに必死だった。

そんなアルフォンシーナをよそに、ベルナルドはマダム・バルバラから受け取った羊皮紙を広げると、素早く目を通した。
そして徐ろにベッリーニ侯爵のほうへと歩み寄ると、羊皮紙が嫌でも視界に入るように目の前に突きつけた。

「ベッリーニ侯爵領は、領地こそ広いが、肥沃な土地がない故に、常に作物の確保には苦労していると聞く。それに加えてここ数年、長雨が続いたせいで税収がかなり減ってしまった事を理由に、国庫予算におけるベッリーニ侯爵領の負担削減を提案していた筈だが…………?」
「な、何故会議に出席してもいない貴様が、それを知っている?!」

ぎょっとするベッリーニ侯爵とは反対に、ベルナルドは涼しい顔をしていた。

「しかも、長雨で作物に被害を受けたベッリーニ侯爵領の税率は下がっていない。………領民の暮らしぶりは、実に酷いものだということを、お前は知っているのか?」

深い瑠璃色の瞳に射抜かれた侯爵は、びくりと体を震わせた。

「知っている!だから予算を…………!」
「領地の様子を知っていて、税率を下げなかったのか?」

静かな低い声は、聞く者を黙らせるような、凄みがあった。
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