国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

228.渦巻く感情

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「………そんなに堂々と宣言しなくても………」

次第にざわつきが大きくなっていく。
しかし当の本人であるベルナルドは、面倒臭そうに金髪を掻き上げる仕草をしただけだった。

「お………恐れながら陛下!そのような事実を聞いたことはございません…………!」

呆然とした様子だったベッリーニ侯爵が、唐突に声を上げた。
しかし、フェルディナンドが彼に投げ掛けた視線はとても冷たかった。

「それは当然だろうな。私が即位してから、ベルナルドに追って貰っていたのは、そなたと、それに絡んだ貴族達………それに、そなたと手を組んだ隣国ラパロ王国についてだったからな。その当事者に情報を漏らすほど、私は愚かではないよ」

優しく、穏やかな口調でゆっくりと、フェルディナンドは手の内を明かしていく。
それと同時に、アルフォンシーナの中でずっと燻っていた疑問が少しずつ解けていった。

やはり、と思う気持ちのほうが大きかったが、それでも何故妻である自分には真実を明かしてくれなかったのだろうと、ベルナルドを責める気持ちも存在していた。

(………やはり、わたくしは形式上の妻だから………)

ひょっとしたら、結婚を命じられたのも、諜報工作を行うための隠れ蓑の一つだったのかもしれない。
だとしたら、冷たくあしらわれたのも、一緒に過ごすことがなかったことも納得がいく。

(………だとしたら、ベッリーニ侯爵の処分が決まったらわたくしは………)

脳裏にちらつくのは、最悪の結末だった。
それは全て自身の想像でしかないのに、その未来が間違いなく訪れる予感がした。
アルフォンシーナはぎゅっとドレスの裾を握り締めると、俯いた。

「ラ………ラパロとは確かに積極的な交流を推し進めておりますが、それは我が国の利益になると判断したからであって………」

絶望の縁に立ったアルフォンシーナをよそに、ベッリーニ侯爵が必死に弁明を始める。

「我が国の利益?己の利益の間違いだろう?」

再び盛大な溜息が聞こえ、ベルナルドがわざとらしく肩を竦めて見せた。

「………お前は陛下の言葉を、聞いていなかったのか?…………どんな言い逃れをしても、全ての証拠は我が手中にあるんだよ」

吐き捨てるように呟くと、ベルナルドは凍てつくような視線をベッリーニ侯爵に向けた。
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