国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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本編(アルフォンシーナ視点)

299.アルフォンシーナの反応

「あなたの為の時間だというのに、遠慮する必要などないさ。………それに存外、彼女たちの勢いに気圧されて戸惑っているあなたを眺めるのも悪くない」

ほんの少しだけ視線を逸らすと、ベルナルドは小さく肩を揺らした。

「まあ、気付いていらっしゃったのですね?」

アルフォンシーナは小さく溜息をつく。
するとベルナルドは足を崩し、そのまま前のめりの体勢になった。

「勿論。それに、意外とその状況を楽しんでいるようにも見えたが、違っているか?」

ベルナルドはそう言ってのけると、得意気な、そして少し意地悪な笑みを浮かべて見せた。
いくらベルナルドの洞察力が優れているとはいえ、まさかそんな事まで見抜かれるとは思っておらず、アルフォンシーナは驚きを隠せなかった。

「………ベルナルド様の、仰る通りです」

目を瞬かせながら、アルフォンシーナは頷いた。

「こうしてドレスを仕立てるのは初めてではありませんけれど………流石は王都で人気の仕立て屋ですね。仕事も丁寧で、自分達の仕事にプライドを持って仕事をしているということがひしひしと伝わって参りました。彼女達の熱意には正直気圧されてしまいましたが、こんな風に賑やかにドレスを仕立てるのがこんなにと楽しいのだという事が理解できました」

自分の素直な気持ちを吐露すると、アルフォンシーナはじっとベルナルドを見つめた。

実家で母と一緒にドレスを仕立ててもらった時が、楽しくなかった訳ではない。
母の助言を受け、シンプルで流行り廃りのない、良く言えば上品な、見方によっては無難なドレスが、アルフォンシーナを『国一番の淑女』と呼ばれる要因の一つになったとも言えると考えれば、不満もなかった。
だが、最新のデザインや他国の珍しい生地は値が張るため、パルヴィス伯爵家の財政事情では気軽に注文出来るような品物でもなかったのもまた事実だった。
それ故に、今注文しようとしているドレスが相当高価なものになりそうだという自覚もあり、アルフォンシーナは密かに申し訳なさと罪悪感を抱いていた。
それを伝えようかと迷っていると、ベルナルドがゆっくりと頷いた。

「………そうか、楽しかったか」

アルフォンシーナの返答に、ベルナルドは嬉しそうに微笑んだ。
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