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本編(アルフォンシーナ視点)
306.穏やかな時間
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パニーニを食べ終えた二人は、暫く街を散策してから帰路についた。
歩いた時間はそう長くはなかったが、アルフォンシーナにとってはとても中身の濃い、かけがえのない時間だった。
何よりも、隣にベルナルドがいること、そして彼が自分を気遣ってくれ、優しく微笑んでくれることーーー。
それがアルフォンシーナには何よりも嬉しかった。
※※※※※
待たせていた馬車に乗り込むと、アルフォンシーナは満足気に天を仰いで、吐息を零した。
するとベルナルドは心配そうに、アルフォンシーナの顔を覗き込んできた。
「………ひょっとして退屈だったか?それとも、疲れたか?」
洞察力の鋭いベルナルドにしては珍しい、的外れな思い違いだった。
アルフォンシーナは慌てて首を振ると、ベルナルドに顔を近づけるように身を乗り出した。
「退屈だなんてとんでもないです。寧ろ新鮮な事ばかりで、本当に楽しくて、疲れている暇もありませんでした。ドレスの採寸やパニーニは勿論ですし、街の中を自分の足で歩いてみると、やはり人々の暮らしを肌で感じられるというか………。ああしてベルナルド様はいつも街に出て、情報を集めてらっしゃったのですね。わたくしももっと外に出ていれば良かったと、今になって後悔しております。………厳格な両親が、それを許していたかというと、それは分かりませんけれど………」
ほんの少し苦笑いを浮かべてから、呼吸を整えたアルフォンシーナは身振りを交えながら、今日彼女が見聞きしたことがいかに素晴らしかったのかをベルナルドに伝えた。
「………そうか」
ベルナルドは相槌を打ちながら、アルフォンシーナの話に耳を傾けてくれる。
以前は考えられなかった、穏やかで優しい時間。
アルフォンシーナはその心地よい時間に身を委ねる。
そんなやり取りは屋敷に到着するまで、途切れる事なく続いた。
しかし屋敷に着いた途端、その優しい雰囲気は一気に暗転した。
「旦那様!奥様!」
出迎えてくれたのは、青褪めた顔のオリヴァーだった。
いつもは冷静なはずの彼は、明らかに憔悴していた。
「何があった?」
只事ではない様子を感じ取ったベルナルドは怪訝そうに眉を顰める。
するとオリヴァーは一瞬躊躇うようにアルフォンシーナの方を見、それからおずおずと口を開いた。
「奥様のご両親が………、パルヴィス伯爵ご夫妻が、いらっしゃっております…………」
「…………!」
告げられた事実に、ベルナルドとアルフォンシーナは同時に、息を呑んだ。
歩いた時間はそう長くはなかったが、アルフォンシーナにとってはとても中身の濃い、かけがえのない時間だった。
何よりも、隣にベルナルドがいること、そして彼が自分を気遣ってくれ、優しく微笑んでくれることーーー。
それがアルフォンシーナには何よりも嬉しかった。
※※※※※
待たせていた馬車に乗り込むと、アルフォンシーナは満足気に天を仰いで、吐息を零した。
するとベルナルドは心配そうに、アルフォンシーナの顔を覗き込んできた。
「………ひょっとして退屈だったか?それとも、疲れたか?」
洞察力の鋭いベルナルドにしては珍しい、的外れな思い違いだった。
アルフォンシーナは慌てて首を振ると、ベルナルドに顔を近づけるように身を乗り出した。
「退屈だなんてとんでもないです。寧ろ新鮮な事ばかりで、本当に楽しくて、疲れている暇もありませんでした。ドレスの採寸やパニーニは勿論ですし、街の中を自分の足で歩いてみると、やはり人々の暮らしを肌で感じられるというか………。ああしてベルナルド様はいつも街に出て、情報を集めてらっしゃったのですね。わたくしももっと外に出ていれば良かったと、今になって後悔しております。………厳格な両親が、それを許していたかというと、それは分かりませんけれど………」
ほんの少し苦笑いを浮かべてから、呼吸を整えたアルフォンシーナは身振りを交えながら、今日彼女が見聞きしたことがいかに素晴らしかったのかをベルナルドに伝えた。
「………そうか」
ベルナルドは相槌を打ちながら、アルフォンシーナの話に耳を傾けてくれる。
以前は考えられなかった、穏やかで優しい時間。
アルフォンシーナはその心地よい時間に身を委ねる。
そんなやり取りは屋敷に到着するまで、途切れる事なく続いた。
しかし屋敷に着いた途端、その優しい雰囲気は一気に暗転した。
「旦那様!奥様!」
出迎えてくれたのは、青褪めた顔のオリヴァーだった。
いつもは冷静なはずの彼は、明らかに憔悴していた。
「何があった?」
只事ではない様子を感じ取ったベルナルドは怪訝そうに眉を顰める。
するとオリヴァーは一瞬躊躇うようにアルフォンシーナの方を見、それからおずおずと口を開いた。
「奥様のご両親が………、パルヴィス伯爵ご夫妻が、いらっしゃっております…………」
「…………!」
告げられた事実に、ベルナルドとアルフォンシーナは同時に、息を呑んだ。
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