国一番の淑女結婚事情〜政略結婚は波乱の始まり〜

玉響

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番外編(ベルナルド視点)

1.噂の令嬢

『国一番の淑女』、アルフォンシーナ・パルヴィスとの出会いは、まさにベルナルドにとっては青天の霹靂だった。

 彼にとっての女性とは、あくまでも任務の為に情報を仕入れる為の道具であり、目的達成のための手段の一つでしかなかった。
 どんな女も、金と権力をちらつかせながら優しい微笑みを浮かべて甘い言葉を耳元で囁けば、すぐに靡くーーー。
 そうして口説いた女性から情報を聞き出し、時にはその為に躊躇いなく女性を抱いていた。
 それは、彼の中では極当たり前の日常となっていた。
 ーーーアルフォンシーナという女性に出会うまでは。

 ※※※※※

「聞いたか、ベルナルド。遂に噂のパルヴィス伯爵令嬢が次の舞踏会でデビュタントを迎えるらしいぞ」

 依頼された調査の報告の為に、主君であるフェルディナンドの元を訪れたベルナルドを待っていたのは、そんな言葉だった。

「パルヴィス伯爵令嬢?………ああ………、確か素晴らしい淑女だという………」

 ベルナルドはどうでもいい、とでもいうかのような溜息混じりの返事をした。
 パルヴィス伯爵家は、大した力もなく、経済力がある訳でもない、ただ由緒正しい名門の貴族というだけの家門だ。
 つまり、害にも薬にもならない、ベルナルドにとっては取るに足らない存在でしかない。
 間諜の仕事をする上では噂話も重要な情報源であるため、パルヴィス伯爵令嬢の事は、一応知識として知っているだけで、ベルナルドは全く興味がなかった。

「そうだ。しかも物凄い美貌の持ち主なのだそうだ。一体どんな令嬢なのか、今から楽しみだな。………無論私には、リタという最愛の妃がいるから、あくまでも好奇心でしかないが」

 後半に行くに従って、フェルディナンドの表情は幸せそうに変化していく。
 そんな主君を呆れ顔で眺めると、ベルナルドはもう一度溜息をついた。
 視線を窓の方へと移すと、王城で働く女官や侍女たちが談笑しながら歩いていくのが目に入った。
 そんな彼女達の様子を、どこか冷めたような眼差しで見つめる。

(………女など、身に付けてたドレスを剥ぎ取ってしまえば、娼婦だろうと淑女だろうと、何も変わらないのに…………)

「女性になど、興味がないことは誰よりもお前が知っているだろう」

ぽつりとそう呟くと、ベルナルドは不愉快だとでも言うかのように、目を閉じた。
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