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11.パーティー当日
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とうとう、パーティー当日を迎えてしまいました。
ドレスも、装飾品も、いつもであればバイロン様がプレゼントしてくださるのですけれど、やはり今回は何もありませんでした。
それについてバイロン様は何も仰っていませんでした。
私は自前のドレスと宝飾品で出席せざるを得ません。やはり、バイロン様は………。
また泣きたくなるのを堪えます。
今日という日を、笑顔で迎えると決めたのですから、初めから泣いてはいけません。
「お嬢様。モナルダ伯爵夫人がお見えです」
モナルダ伯爵夫人とは、セシリアの事です。
今日は、会う約束などしていなかったのですけれど、どうしたのでしょう。
「忙しいのにごめんなさいね。バイロン様は迎えも寄越さないっていうのをあなたの侍女から聞いたのよ。そしたらあの男、自分の代わりに私にミリーを迎えに行ってゼフィランサス侯爵家まで送り届けてほしいって、わざわざ連絡を寄越したのよ!ミリーの為なら仕方がないけれど、私はバイロン様の家人じゃないわよ!」
突然やってきたセシリアが、開口一番にそう言って怒り出しました。
「ゼフィランサス侯爵家は準備で忙しいですから、仕方ありません。私は気にしてないですよ。それに、リアが来てくれて、嬉しいです」
「………嘘だって、顔に書いてあるわ。ミリー、あなた今にも泣き出しそうよ」
「えっ………」
セシリアに指摘されて、私は思わず動揺してしまいました。
「リア………私………」
「大丈夫。私はずっとミリーの味方だもの」
セシリアの優しさに、私はまた泣きそうになってしまいました。セシリアが、独身の男の人だったら良かったのに、なんて思ってしまいます。
「さあ、時間がないんでしょう?行くわよ」
「………はい!」
私は、溢れ出そうな涙を飲み込んで、セシリアの手を取りました。
「本当は、一人で行かせたくないんだけれど………」
「リア、大丈夫です。心配してくれて、ありがとうございました」
私が微笑むと、セシリアはギュッと私を抱きしめました。
「………ミリーは可愛いのだと思っていたのだけれど、ここ最近で、物凄く綺麗になったわね」
「え?」
突然セシリアにそう言われて、私は驚きました。
私が、綺麗?
「恋が、女を輝かせるというのは本当なのね。………さあ、ミリー。ゼフィランサス侯爵家に着いたわよ」
ガタン、と馬車が止まり、御者が扉を開けてくれます。
私は、あの決意を胸に、まっすぐ前を向きました。
「ありがとうございました、リア。………行ってきます」
「ええ。健闘を、祈るわ」
私の心の内を知ってか知らずか、セシリアが私に向かって、そう声を掛けてくれました。
私はセシリアに向かって微笑むと、ドレスを翻して、ゼフィランサス侯爵家の門をくぐったのでした。
ドレスも、装飾品も、いつもであればバイロン様がプレゼントしてくださるのですけれど、やはり今回は何もありませんでした。
それについてバイロン様は何も仰っていませんでした。
私は自前のドレスと宝飾品で出席せざるを得ません。やはり、バイロン様は………。
また泣きたくなるのを堪えます。
今日という日を、笑顔で迎えると決めたのですから、初めから泣いてはいけません。
「お嬢様。モナルダ伯爵夫人がお見えです」
モナルダ伯爵夫人とは、セシリアの事です。
今日は、会う約束などしていなかったのですけれど、どうしたのでしょう。
「忙しいのにごめんなさいね。バイロン様は迎えも寄越さないっていうのをあなたの侍女から聞いたのよ。そしたらあの男、自分の代わりに私にミリーを迎えに行ってゼフィランサス侯爵家まで送り届けてほしいって、わざわざ連絡を寄越したのよ!ミリーの為なら仕方がないけれど、私はバイロン様の家人じゃないわよ!」
突然やってきたセシリアが、開口一番にそう言って怒り出しました。
「ゼフィランサス侯爵家は準備で忙しいですから、仕方ありません。私は気にしてないですよ。それに、リアが来てくれて、嬉しいです」
「………嘘だって、顔に書いてあるわ。ミリー、あなた今にも泣き出しそうよ」
「えっ………」
セシリアに指摘されて、私は思わず動揺してしまいました。
「リア………私………」
「大丈夫。私はずっとミリーの味方だもの」
セシリアの優しさに、私はまた泣きそうになってしまいました。セシリアが、独身の男の人だったら良かったのに、なんて思ってしまいます。
「さあ、時間がないんでしょう?行くわよ」
「………はい!」
私は、溢れ出そうな涙を飲み込んで、セシリアの手を取りました。
「本当は、一人で行かせたくないんだけれど………」
「リア、大丈夫です。心配してくれて、ありがとうございました」
私が微笑むと、セシリアはギュッと私を抱きしめました。
「………ミリーは可愛いのだと思っていたのだけれど、ここ最近で、物凄く綺麗になったわね」
「え?」
突然セシリアにそう言われて、私は驚きました。
私が、綺麗?
「恋が、女を輝かせるというのは本当なのね。………さあ、ミリー。ゼフィランサス侯爵家に着いたわよ」
ガタン、と馬車が止まり、御者が扉を開けてくれます。
私は、あの決意を胸に、まっすぐ前を向きました。
「ありがとうございました、リア。………行ってきます」
「ええ。健闘を、祈るわ」
私の心の内を知ってか知らずか、セシリアが私に向かって、そう声を掛けてくれました。
私はセシリアに向かって微笑むと、ドレスを翻して、ゼフィランサス侯爵家の門をくぐったのでした。
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