二人ともに愛している? ふざけているのですか?

「きみに、是非とも紹介したい人がいるんだ」

 婚約者のデレクにそう言われ、エセルが連れてこられたのは、王都にある街外れ。

 馬車の中。エセルの向かい側に座るデレクと、身なりからして平民であろう女性が、そのデレクの横に座る。

「はじめまして。あたしは、ルイザと申します」

「彼女は、小さいころに父親を亡くしていてね。母親も、つい最近亡くなられたそうなんだ。むろん、暮らしに余裕なんかなくて、カフェだけでなく、夜は酒屋でも働いていて」

「それは……大変ですね」

 気の毒だとは思う。だが、エセルはまるで話に入り込めずにいた。デレクはこの女性を自分に紹介して、どうしたいのだろう。そこが解決しなければ、いつまで経っても気持ちが追い付けない。
 
 エセルは意を決し、話を断ち切るように口火を切った。

「あの、デレク。わたしに紹介したい人とは、この方なのですよね?」

「そうだよ」

「どうしてわたしに会わせようと思ったのですか?」

 うん。
 デレクは、姿勢をぴんと正した。

「ぼくときみは、半年後には王立学園を卒業する。それと同時に、結婚することになっているよね?」

「はい」

「結婚すれば、ぼくときみは一緒に暮らすことになる。そこに、彼女を迎えいれたいと思っているんだ」

 エセルは「……え?」と、目をまん丸にした。

「迎えいれる、とは……使用人として雇うということですか?」

 違うよ。
 デレクは笑った。


「いわゆる、愛人として迎えいれたいと思っているんだ」

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