婚約者の断罪

玉響

文字の大きさ
20 / 20

20.幸せ

しおりを挟む
「ごめん、ミリー………嫌だった?」

急に泣き出した私に驚いたのか、バイロン様がおろおろしています。
私は、涙を拭いながら首を振りました。

「違うのです。私、嬉しくて………」

私がそう答えると、バイロン様はふっと表情を緩めました。

「では、改めて………私と結婚してくれますか?」

バイロン様はもう一度、そう言うと私を見上げてきました。

「………はい。喜んで」

私は差し出された手に、自分の手を重ねました。
幸せそうに微笑んだバイロン様は立ち上がると、私の額にキスを落としました。


化粧を直してもらい、いつの間にやら用意された薔薇の花で作られたブーケを持った私はバイロン様と共に祭壇の前に立ちました。

「バイロン・ゼフィランサス侯爵」
「はい」
「貴方は、ミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢を妻とし、生涯を共にすると誓いますか?」
「はい。生涯をかけて愛し抜くと誓います」

バイロン様は、力強くそう答えました。

「ミリアリア・ビバーナム伯爵令嬢」
「は、はい」
「貴女は、バイロン・ゼフィランサス侯爵を夫とし、生涯を共にすると誓いますか?」
「はい。生涯、バイロン様と共にある事を誓います」

神官様はゆっくりと頷きました。

「では、誓いのキスを」

バイロン様が私に向き直ると、少し屈んでゆっくりと顔を近づけてきます。私は、静かに目を閉じました。
温かく、柔らかいものが唇に触れます。
私はこの瞬間、この上ない幸福感で胸が満たされたのを感じました。

「では、ここにお二人が夫婦となられたことを宣言いたします」

集まった招待客の方々から、拍手が沸き起こりました。
その中に、セシリアの姿を見つけました。
いつもは気の強いセシリアが、人目をはばからず号泣しているのがここからでも分かります。
私は、セシリアに駆け寄りました。

「リア………こんな、素敵な結婚式を、ありがとうございます………!」

セシリアは、私を抱き締めてくれました。

「私は、入れ知恵をしただけ!殆ど全部ゼフィランサス侯爵が準備をしたの。あの性悪女達の家の悪行の証拠を揃えながら、ミリーに隠れてね。………ミリー、絶対に幸せにしてもらうのよ!」
「………貴女に言われなくても、ミリーを世界一幸せな女性にしてみせますよ」

そっと肩に手が置かれて、振り返るとバイロン様がいらっしゃいました。

「………二度と、泣かせないでよね」
「分かってます」
「不安にもさせないでよ?」
「勿論」
「ずっと、笑顔でいられるようにするのよ?」
「ふふ、精進します」

セシリア、まるで娘を嫁に出す父親のようです。
私は思わず微笑みました。
こうして、最愛の人と、最高の親友、そして家族や友人に囲まれ、幸せな結婚式を挙げることが出来ました。


あ、そうそう。
マティルダ嬢達がその後どうなったのかと言いますと………。
どのお家も、横領、贈賄、そして反逆罪に問われて爵位も財産も没収。皆様、平民となったそうです。
ただ、ご令嬢方はあるお方から演技に関してのお墨付きがあり、娼館に併設の、演劇小屋で女優として働いているそうです。
噂話ですので、真偽の程は定かではありませんけれど、皆様お元気なら何よりです。
それにしても、あるお方とは、どなたなのでしょうね?

(終)


***あとがき***

最後までお読みいただきありがとうございました。
もっと短い予定が、うじうじ悩むミリアリアのお陰で長くなってしまいました(汗)
個人的にはセシリアが大好きで、とても動かしやすかったです。

ですます調の描写は初めてでしたが、案外違和感なく書けたので、また挑戦してみたいです。

余裕があれば、書き溜めていた新作の連載を始めたいと思いますので、よろしければご覧くださいね。
しおりを挟む
感想 5

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(5件)

hiyo
2023.06.15 hiyo

気持ちが温かくなってジーンとして、きれいにスッパリアッサリで~
セシリアの旦那様てどの様な方なのかなぁ~と思いました。

心惹かれる物語をありがとうございました。

2023.06.15 玉響

hiyo様

初めまして‼️感想ありがとうございます🙂
初めて書いた短編でしたが、上手くまとまっていたでしょうか?

セシリアのお話も機会があれば書きたいと思っていますので、気が向いたら覗いて頂けると嬉しいです🎶
この度はお読み頂き、ありがとうございました‼️

解除
いぬぞ~
2022.10.06 いぬぞ~
ネタバレ含む
2022.10.06 玉響

いぬぞ〜様

感想ありがとうございます✨✨

このお話、初めて書いた短編だったんですが、今改めて読み返してみると、確かに某王弟殿下とバイロンさん、似てますね(笑)
主に腹黒さと、デキる男な所辺りが特に💡

大どんでん返しとか凄いお話は私には無理なので、シンプルかつスカッとするようなお話が描きたかったんですよね……😌

多分バイロンさん視点で書けば彼の苦悩や葛藤がわんさか出てくるんだと思いますが、敢えてここは別視点を書かなかったのを思い出しました😌

解除
おゆう
2021.12.09 おゆう
ネタバレ含む
2021.12.10 玉響

おゆう様

いつもありがとうございます!
確実に獲物を追い詰めて、苦しめて仕留めるタイプですね!
ミリアリアちゃんは本当にこの人でいいんでしょうか(笑)

解除

あなたにおすすめの小説

年下騎士は今日も私に夢中です

紅花うさぎ
恋愛
「ソフィア様、ずっとお慕いしてました。私と結婚していただけませんか?」 どうしたらいいの? 年下イケメン騎士から突然のプロポーズ。 熱い瞳で見つめられるとドキドキがとまらない…… いつの間にか彼に惹かれているけれど、本当に受け入れていいのかしら? いつかやっぱり若い子がいい……って去って行かない? 侯爵令嬢と、彼女に夢中な6つ年下騎士の恋物語です。 ☆「小説家になろう」にも投稿しています。

悪役令嬢として、愛し合う二人の邪魔をしてきた報いは受けましょう──ですが、少々しつこすぎやしませんか。

ふまさ
恋愛
「──いい加減、ぼくにつきまとうのはやめろ!」  ぱんっ。  愛する人にはじめて頬を打たれたマイナの心臓が、どくん、と大きく跳ねた。  甘やかされて育ってきたマイナにとって、それはとてつもない衝撃だったのだろう。そのショックからか。前世のものであろう記憶が、マイナの頭の中を一気にぐるぐると駆け巡った。  ──え?  打たれた衝撃で横を向いていた顔を、真正面に向ける。王立学園の廊下には大勢の生徒が集まり、その中心には、三つの人影があった。一人は、マイナ。目の前には、この国の第一王子──ローランドがいて、その隣では、ローランドの愛する婚約者、伯爵令嬢のリリアンが怒りで目を吊り上げていた。

二人ともに愛している? ふざけているのですか?

ふまさ
恋愛
「きみに、是非とも紹介したい人がいるんだ」  婚約者のデレクにそう言われ、エセルが連れてこられたのは、王都にある街外れ。  馬車の中。エセルの向かい側に座るデレクと、身なりからして平民であろう女性が、そのデレクの横に座る。 「はじめまして。あたしは、ルイザと申します」 「彼女は、小さいころに父親を亡くしていてね。母親も、つい最近亡くなられたそうなんだ。むろん、暮らしに余裕なんかなくて、カフェだけでなく、夜は酒屋でも働いていて」 「それは……大変ですね」  気の毒だとは思う。だが、エセルはまるで話に入り込めずにいた。デレクはこの女性を自分に紹介して、どうしたいのだろう。そこが解決しなければ、いつまで経っても気持ちが追い付けない。    エセルは意を決し、話を断ち切るように口火を切った。 「あの、デレク。わたしに紹介したい人とは、この方なのですよね?」 「そうだよ」 「どうしてわたしに会わせようと思ったのですか?」  うん。  デレクは、姿勢をぴんと正した。 「ぼくときみは、半年後には王立学園を卒業する。それと同時に、結婚することになっているよね?」 「はい」 「結婚すれば、ぼくときみは一緒に暮らすことになる。そこに、彼女を迎えいれたいと思っているんだ」  エセルは「……え?」と、目をまん丸にした。 「迎えいれる、とは……使用人として雇うということですか?」  違うよ。  デレクは笑った。 「いわゆる、愛人として迎えいれたいと思っているんだ」

【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない

ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。 公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。 旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。 そんな私は旦那様に感謝しています。 無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。 そんな二人の日常を書いてみました。 お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m 無事完結しました!

悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。

ふまさ
恋愛
 ──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。  彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。  ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。  だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。 ※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。

ついで姫の本気

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
国の間で二組の婚約が結ばれた。 一方は王太子と王女の婚約。 もう一方は王太子の親友の高位貴族と王女と仲の良い下位貴族の娘のもので……。 綺麗な話を書いていた反動でできたお話なので救いなし。 ハッピーな終わり方ではありません(多分)。 ※4/7 完結しました。 ざまぁのみの暗い話の予定でしたが、読者様に励まされ闇精神が復活。 救いのあるラストになっております。 短いです。全三話くらいの予定です。 ↑3/31 見通しが甘くてすみません。ちょっとだけのびます。 4/6 9話目 わかりにくいと思われる部分に少し文を加えました。

《完結》戦利品にされた公爵令嬢

ヴァンドール
恋愛
戦いの《戦利品》として公爵邸に連れて行かれた公爵令嬢の運命は?

完結 裏切りは復讐劇の始まり

音爽(ネソウ)
恋愛
良くある政略結婚、不本意なのはお互い様。 しかし、夫はそうではなく妻に対して憎悪の気持ちを抱いていた。 「お前さえいなければ!俺はもっと幸せになれるのだ」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。