36 / 52
第三十五話 血塗られた真実
しおりを挟む
ミハイルさんが息を飲んだのがわかった。きっと、わかったからだ……リエーフさんの意図が。
返せと呟き続けていた伯爵が、その言葉を止めた。伯爵にもわかったのだろう。
……私にも、わかった。
恐しく美しいリエーフさんのその表情には、一片の迷いもなかった。哀れみも困惑も混乱も何もない。私もよく知っている、いつもの穏やかな笑顔だった。
「どうか、旦那様。この屋敷に集った人々を最後まで導いて下さると……お約束下さい」
リエーフさんが、短剣を逆手に持ち替え、その切っ先を自分の胸に当てる。
止めなきゃ。でも体が動かない。見たくない。でも目を閉じることもできない。
この後に起こることがわかっているのに。見たくないのに。金縛りにあったように体が言うことを聞かない。
時間がコマ送りのように、いやにゆっくり進んでいく。ゆっくり、ゆっくり、リエーフさんの手が動く――、ふっと、目の前が暗くなる。
「済まぬ、リエーフ……」
暗闇の中で、伯爵の声が聞こえる。
それっきり訪れた静寂の中で、ようやくミハイルさんに目を塞がれていることに気が付いた。何も見えない。見えないはずなのに、瞼の裏に、短剣を胸に当てたリエーフさんの笑顔が焼き付いて離れない。
やがて手が離れても、私は扉の中を――、そこにあるはずの、リエーフさんの亡骸を見る勇気はなかった。でも見上げたミハイルさんは、扉の中をじっと見ていた。
私なんかより……ずっと辛いはずなのに。
「これでこの子は……蘇る……」
耳が痛くなるほどの静寂を裂いて、伯爵の呟きが聞こえる。そして、足音も。
「走れるか、ミオ」
不意に問われて、ちらりと一瞬扉の中に視線を向ける。その一瞬、我が子の亡骸を抱いて部屋を出ようとしている伯爵が見えた。
「待って……、足が……」
膝がガクガクと震えている。
今伯爵と鉢合わせるのはまずい。まるで言うことを聞かない足をなんとか持ち上げようと必死になっていると、突然ふわりと体が浮いた。
私を抱き上げて、ミハイルさんが階段をかけのぼる。
「嫌な予感がする」
「嫌な……予感?」
「これで伯爵の息子が生き返ったなら、エドアルトたちは何故死んだ?」
青ざめながらそう自問するように問いかけるミハイルさんに、私も背中に冷たいものが走る。
階段を登り切ると、開いたままの隠し扉の脇で、夫人が泣いていた。
「降ろして下さい。もう、大丈夫です」
ほとんど強がりだったけど、これ以上足手まといになるのも嫌だ。床に降ろしてもらい、泣きじゃくる夫人の脇を通り過ぎた瞬間、地下で絶叫が聞こえた。
「何故だ! 何故目覚めないのだ!!」
狂気に満ちた声に異変を感じたのか、夫人が立ち上がり、階段を下りて行く。そして次に聞こえたのは、夫人の悲鳴と、絶叫だった。
隠し扉を離れて、物陰に身を潜めて、じっと待つ。やがて、ぬっと伯爵が地下から姿を現した。
「足りん……きっと命が足りんのだ!」
髪を振り乱し、血塗れの剣を携え、伯爵が叫ぶ。剣を持つのと逆の手には、だらんと力なく垂れさがる夫人の姿があった。開いたままの目から流れた涙が、血と混じって赤い筋を作っている。それを目にしてしまって、胃液が逆流しそうになる。
ミハイルさんに手を引かれて、前も見ずに走り出す。
背に聞こえる声で、どんな惨劇が起こっているのか予想がついてしまう。
悲鳴。泣き声。断末魔。それを必死に脳裏から引きはがしながら、とにかく走る。
「この声だ……、いつも聞こえていたのは……」
隣で、ミハイルさんが小さく呻いた。
転がるように屋敷を出ると、夕方でもないのに空が赤く染まっている。振り返ると、屋敷に火の手が上がり、それは信じられない速さで瞬く間に屋敷を包んだ。
「伯爵だけなら、エドアルトが止められただろうが……、これでは誰も助からないわけだ……」
火に巻かれ、崩れ落ちる屋敷を見ながら、溜息とともにミハイルさんが言葉を吐き出した。
「誰も……助けられなかった……っ」
人々の悲鳴が耳に残っている。自分が逃げることで精いっぱいで、その他には何も考えられなかった。屋敷の中にはライサもいたはずなのに。
「落ち着け、ミオ。これは『もう起こってしまった過去』だ」
わかってる。なのに、涙と嗚咽が止まらなかった。呼吸を落ち着けようとすれば、余計に乱れた。そんな私の肩を掴んで、ミハイルさんが自分の方に引き寄せる。
「済まない。辛いものを見させたな……」
泣きじゃくる私を抱きしめて、ミハイルさんが呟く。頭を抱く手が、落ち着かせるように優しく髪を撫でる。
ミハイルさんの方がリエーフさんにもこのお屋敷にも縁が深いのに。ずっと辛いはずなのに。
……ミハイルさんは、いつもこんな声の中にいて。親しい人の死の瞬間を見て、祖先の乱心を見て。
「どうして、そんなに落ち着いていられるんですか……っ」
「……落ち着いてなど、いない」
「でも……冷静です。なのに、私が取り乱して……すみません……」
顔を上げようとすると、髪を撫でていた手が頭を押さえた。少し苦しいくらいに、腕の力が強まる。
「冷静でもない。だから……頼む。もう少しこのままでいてくれ……」
懇願するような声に、少しだけほっとしていた。負担や迷惑ではなかったのなら、少しでも、私がいることで気が紛れてくれるなら……良かった。
そのまま、どれくらい経っただろうか。
私は少し眠ってしまったらしい。気が付いたときには空は白み始め、屋敷を飲み込んでいた火はいつの間にか消えていた。
「……幽霊屋敷になった原因はわかったが。問題はどうやって戻るかだな」
私が目を覚ましたことに気が付いたのか、ミハイルさんが呟いた。少し憔悴した様子の彼と目があって、私は首を横に振った。
「いえ、まだです……、これだけでは幽霊になった理由がわからないし、屋敷に戻れたとしても、どうすれば暴走した幽霊たちを止められるのかもわかりません」
私もどうにか落ち着いて、頭も回るようになってきた。思ったことをそのまま口にすると、ミハイルさんも思案するように宙を睨む。
「それはそうだが……」
「……魔法を伝えたという賢者を探しませんか? 屋敷で死んだ者の怨念が幽霊になったというよりも、伯爵が使った魔法が原因じゃないかという気がするんです。でも私もミハイルさんも魔法のことは何もわかりませんし。今なら魔法を伝えた賢者張本人が、この国のどこかにいるはずですよね?」
「簡単に言うが、どこにいるかもわからない賢者をどうやって探すつもりだ」
「それは……」
言葉に詰まる。あてもなく探すのは、やはり無謀か――
「ご案内しましょうか?」
聞こえてきた声に。咄嗟にミハイルさんが私の腕を引いて後ろに下げる。その声には覚えが、とてもよく聞き覚えがあった。
「リエーフ……」
「そんなに警戒しないで下さい。あなた方に危害を加える気なんて毛頭ありません」
その名を唸るミハイルさんに、リエーフさんが敵意のない笑みを見せる。
「お前は……俺たちと扉を潜ったリエーフだな?」
「はい」
「こちらにいるリエーフと同化しないのか」
「エドアルト達は魂だけの存在ですからね。本体に引き寄せられるのは仕方ありません。でもわたくしは」
「……やはり、そうか。お前は……」
共に言葉を切った二人はなかなか後を続けず。やがて息を吸い、言葉を継いだのはミハイルさんの方だった。
「死者ではないんだな。リエーフ」
返せと呟き続けていた伯爵が、その言葉を止めた。伯爵にもわかったのだろう。
……私にも、わかった。
恐しく美しいリエーフさんのその表情には、一片の迷いもなかった。哀れみも困惑も混乱も何もない。私もよく知っている、いつもの穏やかな笑顔だった。
「どうか、旦那様。この屋敷に集った人々を最後まで導いて下さると……お約束下さい」
リエーフさんが、短剣を逆手に持ち替え、その切っ先を自分の胸に当てる。
止めなきゃ。でも体が動かない。見たくない。でも目を閉じることもできない。
この後に起こることがわかっているのに。見たくないのに。金縛りにあったように体が言うことを聞かない。
時間がコマ送りのように、いやにゆっくり進んでいく。ゆっくり、ゆっくり、リエーフさんの手が動く――、ふっと、目の前が暗くなる。
「済まぬ、リエーフ……」
暗闇の中で、伯爵の声が聞こえる。
それっきり訪れた静寂の中で、ようやくミハイルさんに目を塞がれていることに気が付いた。何も見えない。見えないはずなのに、瞼の裏に、短剣を胸に当てたリエーフさんの笑顔が焼き付いて離れない。
やがて手が離れても、私は扉の中を――、そこにあるはずの、リエーフさんの亡骸を見る勇気はなかった。でも見上げたミハイルさんは、扉の中をじっと見ていた。
私なんかより……ずっと辛いはずなのに。
「これでこの子は……蘇る……」
耳が痛くなるほどの静寂を裂いて、伯爵の呟きが聞こえる。そして、足音も。
「走れるか、ミオ」
不意に問われて、ちらりと一瞬扉の中に視線を向ける。その一瞬、我が子の亡骸を抱いて部屋を出ようとしている伯爵が見えた。
「待って……、足が……」
膝がガクガクと震えている。
今伯爵と鉢合わせるのはまずい。まるで言うことを聞かない足をなんとか持ち上げようと必死になっていると、突然ふわりと体が浮いた。
私を抱き上げて、ミハイルさんが階段をかけのぼる。
「嫌な予感がする」
「嫌な……予感?」
「これで伯爵の息子が生き返ったなら、エドアルトたちは何故死んだ?」
青ざめながらそう自問するように問いかけるミハイルさんに、私も背中に冷たいものが走る。
階段を登り切ると、開いたままの隠し扉の脇で、夫人が泣いていた。
「降ろして下さい。もう、大丈夫です」
ほとんど強がりだったけど、これ以上足手まといになるのも嫌だ。床に降ろしてもらい、泣きじゃくる夫人の脇を通り過ぎた瞬間、地下で絶叫が聞こえた。
「何故だ! 何故目覚めないのだ!!」
狂気に満ちた声に異変を感じたのか、夫人が立ち上がり、階段を下りて行く。そして次に聞こえたのは、夫人の悲鳴と、絶叫だった。
隠し扉を離れて、物陰に身を潜めて、じっと待つ。やがて、ぬっと伯爵が地下から姿を現した。
「足りん……きっと命が足りんのだ!」
髪を振り乱し、血塗れの剣を携え、伯爵が叫ぶ。剣を持つのと逆の手には、だらんと力なく垂れさがる夫人の姿があった。開いたままの目から流れた涙が、血と混じって赤い筋を作っている。それを目にしてしまって、胃液が逆流しそうになる。
ミハイルさんに手を引かれて、前も見ずに走り出す。
背に聞こえる声で、どんな惨劇が起こっているのか予想がついてしまう。
悲鳴。泣き声。断末魔。それを必死に脳裏から引きはがしながら、とにかく走る。
「この声だ……、いつも聞こえていたのは……」
隣で、ミハイルさんが小さく呻いた。
転がるように屋敷を出ると、夕方でもないのに空が赤く染まっている。振り返ると、屋敷に火の手が上がり、それは信じられない速さで瞬く間に屋敷を包んだ。
「伯爵だけなら、エドアルトが止められただろうが……、これでは誰も助からないわけだ……」
火に巻かれ、崩れ落ちる屋敷を見ながら、溜息とともにミハイルさんが言葉を吐き出した。
「誰も……助けられなかった……っ」
人々の悲鳴が耳に残っている。自分が逃げることで精いっぱいで、その他には何も考えられなかった。屋敷の中にはライサもいたはずなのに。
「落ち着け、ミオ。これは『もう起こってしまった過去』だ」
わかってる。なのに、涙と嗚咽が止まらなかった。呼吸を落ち着けようとすれば、余計に乱れた。そんな私の肩を掴んで、ミハイルさんが自分の方に引き寄せる。
「済まない。辛いものを見させたな……」
泣きじゃくる私を抱きしめて、ミハイルさんが呟く。頭を抱く手が、落ち着かせるように優しく髪を撫でる。
ミハイルさんの方がリエーフさんにもこのお屋敷にも縁が深いのに。ずっと辛いはずなのに。
……ミハイルさんは、いつもこんな声の中にいて。親しい人の死の瞬間を見て、祖先の乱心を見て。
「どうして、そんなに落ち着いていられるんですか……っ」
「……落ち着いてなど、いない」
「でも……冷静です。なのに、私が取り乱して……すみません……」
顔を上げようとすると、髪を撫でていた手が頭を押さえた。少し苦しいくらいに、腕の力が強まる。
「冷静でもない。だから……頼む。もう少しこのままでいてくれ……」
懇願するような声に、少しだけほっとしていた。負担や迷惑ではなかったのなら、少しでも、私がいることで気が紛れてくれるなら……良かった。
そのまま、どれくらい経っただろうか。
私は少し眠ってしまったらしい。気が付いたときには空は白み始め、屋敷を飲み込んでいた火はいつの間にか消えていた。
「……幽霊屋敷になった原因はわかったが。問題はどうやって戻るかだな」
私が目を覚ましたことに気が付いたのか、ミハイルさんが呟いた。少し憔悴した様子の彼と目があって、私は首を横に振った。
「いえ、まだです……、これだけでは幽霊になった理由がわからないし、屋敷に戻れたとしても、どうすれば暴走した幽霊たちを止められるのかもわかりません」
私もどうにか落ち着いて、頭も回るようになってきた。思ったことをそのまま口にすると、ミハイルさんも思案するように宙を睨む。
「それはそうだが……」
「……魔法を伝えたという賢者を探しませんか? 屋敷で死んだ者の怨念が幽霊になったというよりも、伯爵が使った魔法が原因じゃないかという気がするんです。でも私もミハイルさんも魔法のことは何もわかりませんし。今なら魔法を伝えた賢者張本人が、この国のどこかにいるはずですよね?」
「簡単に言うが、どこにいるかもわからない賢者をどうやって探すつもりだ」
「それは……」
言葉に詰まる。あてもなく探すのは、やはり無謀か――
「ご案内しましょうか?」
聞こえてきた声に。咄嗟にミハイルさんが私の腕を引いて後ろに下げる。その声には覚えが、とてもよく聞き覚えがあった。
「リエーフ……」
「そんなに警戒しないで下さい。あなた方に危害を加える気なんて毛頭ありません」
その名を唸るミハイルさんに、リエーフさんが敵意のない笑みを見せる。
「お前は……俺たちと扉を潜ったリエーフだな?」
「はい」
「こちらにいるリエーフと同化しないのか」
「エドアルト達は魂だけの存在ですからね。本体に引き寄せられるのは仕方ありません。でもわたくしは」
「……やはり、そうか。お前は……」
共に言葉を切った二人はなかなか後を続けず。やがて息を吸い、言葉を継いだのはミハイルさんの方だった。
「死者ではないんだな。リエーフ」
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」
公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。
死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」
目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。
「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」
隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。
そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……?
「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」
資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。
旦那様、彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです
ましゅぺちーの
恋愛
伯爵夫人フルールは、夫である伯爵と愛人の秘書に長年頭を悩ませていた。
何度夫に苦言を呈しても「彼女は仕事において必要不可欠なパートナーだから」と一切聞く耳を持たない。
困り果てていたそのとき、彼女は突然前世の記憶を取り戻した。
このままだと夫と愛人の真実の愛の犠牲になってしまう。
それだけは御免だ。
結婚五年目にして、彼女はようやく夫を見限り、新たな事業を立ち上げた。
そして事業を成功させたフルールの隣には、いつも同じ男が立っていた。
その男は誰なのかと問い詰める夫に、フルールはニッコリ笑って言った。
「彼は仕事において必要不可欠なパートナーなのです」と。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる