職業:テイマーの私はテイムモンスターの妖精とVRゲームを満喫する

らる

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テイム

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「っつぅ…」

「「!?」」

「えっちょっなんで動いてるの!?確かに倒したはずなの…」

「えっえっえっそうだよね、倒したもんね」

「でも、この子さっきの狼としか…!狼の耳としっぽ生えてるし…」

「うー…とりあえず『ヒール』」

 ヒールを使うと、全身傷だらけで直視するのにも目を逸らしてしまう見た目から、だいぶマシになった。
 血で汚れていてよくわからなかった髪も、綺麗、とは行かなくても黒色の髪が分かるようになっていた。

 まさかヒールひとつで随分マシになるなんて。
 マシにならないと4回しか使えないから困るが。
 とりあえず、もう1回使っておこう。

「『ヒール』」

 唱えてからしばらく経つと、狼であろう少女はガバっと起き上がった。

「お、大方マシになった!ありがとな!」

「ん、それならよかったの」

「ってかお前の攻撃くっそ痛かったんだが…どんな攻撃力してんだよ…」

「ふふん、80なのっ」

「高いなおい」

 それは同意。だけど、気になる点が1つ。

「ヒール使ったとは言え、まだ五体満足じゃないでしょ。大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ!それと、ひとつ頼みたいことがあるのだが…」

「どんなの?」

「あたしをテイムしてくれ!」

 えっ!?
 まぁ、テイムしてみたかったけど…フィールドボスなんてテイム出来るのかな?
 いや、元フィールドボスか。
 ふつふつと疑問が湧き上がる。
 なぜ倒したのに人の姿になって現れているのか。
 どうしてテイムしてくれ、なんて言うのか。
 私には理解が出来なかった。

 それはミルも同じだったようで、
「うーん…?」
 と、呟いて考えている様子だった。

「えーっと…どうして?」

「あたしより強いやつについて行きたいからな!
 だって、あんたらはあたしを倒したんだろ?なら、あたしより強いってことだ!」

 黄色い目をキラキラしながら言ってきた。
 確かに、この狼少女を倒した。
 だが、それは私だけの力じゃない。
 大方のダメージはミルだ。

 ミルがいたからこそ、倒せたのだ。
 いなければ、こんなに早く倒せたどころか、倒すことすらできなかったかもしれないのだ。

「むーっ、私は賛成なの!」

「理由を聞いてもいい?」

「うん!だって、リリがテイムしなかったらこの子は1人で過ごすと思うの。それに、おそらく自分より強い敵とすっごく戦って、たくさん怪我しちゃう…今回はリリがいたからよかったけど、もしいなかったらって考えると…それに、友達も欲しいの!」

「あぁ、なるほど。なら、テイムしよう。」

 ミルの言うこともわかるのだ。
 1度関わったこの子が、怪我をするなんて放置できない。
 ミルが友達が欲しい、とも言っていることだし。

「いいのか!?」

「うん。じゃ、テイムするよ?『テイム』!」

 テイムと言うと、淡い光が狼少女へと向かった。
 狼少女へとあたると、その淡い光は、吸い込まれるように消え去った。
 その光景は、まるで幻想のようだった。

「おーっ、これがテイムされるってことかー。」

「おぉ!初めてテイムの現場を見たの!私は最初からリリにテイムされてたから、こんなに綺麗な光景だったなんて知らなかったのー!」

「ってか、早くあたしのステータス見てみたいな!」

「あっ、見てみよっか。」

 私はメニューを表示されて、テイムモンスターの項目を開いた。
 そこには、確かに狼少女の項目が追加されていたのだ。

 ◇テイムモンスター2◇ 
 名前:エンペリア
 種族:狼
 Lv.1

 ◇装備品◇
 武器:狼の爪 攻撃力+15
 防具:黒のワンピース 防御力+8
 靴:黒のパンプス 素早さ+5

 ◇ステータス◇
 攻撃力:30 HP:40
 防御力:20 MP:5
 素早さ:65 器用さ:0

 ◇スキル◇
狼化ルナウルフ
 消費MP0
 元の姿(狼)に戻るスキル。

狼の雄叫びエンペラー
 消費MP5
 30分周りにモンスターを引き寄せなくする雄叫びをあげる。

 --------------------
「素早さのほうが高いのかよー…」

「ねね、エンペリアー!リアって略称で呼んでいーい?」

「ああ、構わないぜ!
 これからよろしくな、リリ、ミル!」

 リアはそういって、ニカッと快活な笑みを浮かべた。
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