職業:テイマーの私はテイムモンスターの妖精とVRゲームを満喫する

聞き込み調査

　…………こんな時こそ１回落ち着かないと。
　だけ、ど。こんな状況で落ち着けるわけがない。
　この事件は、私の不用心さが招いた結果だ。
　だからこそ、余計に落ち着けない。
　私が用心してれば。こんなことは起きなかったかもしれない────

　そう考えると、やっぱり落ち着かない。
　とりあえず、手がかりを掴めないと意味はない。
　どんな小さな手がかりだって、なんにもない今の現状よりマシだ。
　でも、どうやって手がかりを見つけようか。
　うーむ…最初はまず、門兵さんのところにでも行こうかな。ミル達を見ませんでしたかーって内容と、後はもう1つ、見てないなら探してもらうことは可能ですかってものだね。

　私は全速力で走る。
　なにせ、これは時間勝負だ。
　助けるのが遅れたら。少しでももたもたしていたら。あの子達が危ない。

「あのっ、門兵さん？ミルとリア…私のテイムモンスターを見ませんでしたか！？」

「…？見てないような気もするけど…そんなに焦ってどうしたんだい？後、探してる子の特徴を教えてほしいな」

　特徴…そうだ。確かに教えてない。

「ミルが金髪金瞳の妖精で、リアが黒髪金瞳の狼です！えっと…探してる理由は、その子達が攫われたから…！」

「何！？妖精と狼だと！？見てないが…こっちでも探しておこう。領主様にも話は通しておく。」

「助かります！ありがとうございます！」

　ふぅ。とりあえず門兵さんには言った。
　領主様って誰なんだろう…？いや、今はそんなの考えてる場合じゃない！
　えーっと、次は街の人かな！？
　誰に聞くかとかわからないし、誰がミル達を見たかはわからないから…片っ端から聞いていこう！

「あのっ、黒髪で金瞳の狼の子と、金髪金瞳の妖精を見ませんでしたか！？」

　このように聞いてみる。
　すこしでも手がかりが見つかればいいんだけど──うむむ、やっぱり見られてないかぁ。
　どうしよ──このままじゃ見つからないかもしれない……

　そんな矢先に、見かけたという人が声を掛けてきてくれた。

「のぅ、そやつらならば向こう──ジョッバーンノ街に連れて行かれてたぞ」

「ほんとですか！？あの……1つお聞きしたいんですが…」

「なんじゃ？言うてみぃ」

「自分達でついて行ってました？それとも無理やり見たいな感じですか？」

　これは確認だ。
　あの子達が自分たちでついていったのか、はたまた、無理やりなのか。
　それは大事なのだ。

「ふーむ…無理やり、に近いかのぅ。わしも怪しく思ったものでな、声をかけたんじゃ。じゃがのぅ、『うるさい！関係ないだろ！！』って、言われてしもてのぅ。すまんかった」

「いえいえ！ありがとうございます！」

　それにしても、ジョッバーンノ街……そのままじゃない？
　多分、序盤の街ってことでってことなんだろうけど。
　もうこれ以上ミル達の行くえを知ってる人達はいないだろうから。
　さぁ、次の街──ジョッバーンノ街に行くぞ！！