死ぬって大変なんですね。

3話 寿命

「言葉そのまま、本当に迷惑なの。君のように決められた寿命の前に死ぬ人間は」

　決められた寿命？どういうことだ。

「人は生まれ落ちた瞬間、いつ死ぬか決まっているの」

「寿命が決まっている？」

「そう。年齢もそうだけど、暦何年何月何日、そして何時かまでね」

　何を言っているんだ？
　と、言うことは今まで死んだ人間は偶然じゃなく、必然的に死んで逝ったということなのか。

「もちろん。例外もあるよ。例えば、君。君の場合は、寿命とは違うタイミングで死んだ。そういう人間を私たちは【異なる死】の頭をとって【2D】と呼んでるの。死んだ人間の大体1割が2Dね」

　この子の言っていることを理解しようとしても、話が現実とかけ離れ過ぎていて、頭が追いつかない。
　そして、彼女は信じられない言葉を口にした。

「そして、この2Dはまだ死んでない」

「はい？死んでない？どういうことですか？今、こうして天国の入り口？に来ているじゃないですか！」

　死んでないってどういうことだよ。じゃあ何か？これは夢か何かで結局僕は自殺に失敗したということなのか？
　夢じゃないにしろ、寿命がまだ残っているから戻れってことなのか？

「ちょっと、落ち着きなさいよ！死んでないって言いはしたけど、死んではいるの」

　死んでないけど、死んではいるってどういうことだ。
　全く理解が出来ない。

「どういうことですか？」

「んー、そうね。分かりやすく言うなら、幽体離脱みたいなものかしら。身体から魂は抜けているけど、戻ることは出来る。そんな状態ね」

「……なるほど。でも、僕は戻りませんよ。あんな人生真っ平だ」

　僕は生きることに疲れた。
　毎日毎日、未来のことを思うと不安しかなかった。
　今いるこの場所のように、僕の人生は一寸先は闇。
　そんな人生いらない。

「そういうと思ったよ。じゃあ、ここからが本題だよ」