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6話 愕然
しおりを挟む正直、メリーの話はほとんど理解が出来なかった。
出来たことといえば、自分が完全には死んでいないこと。
そして、不慮と故意では生きるか死ぬかという選択肢は一緒でも内容が全く違うということだ。
その内容を僕は知りたい。
「そうね。簡単にいうと、不慮は死ぬか条件を達成して生きるか。故意は生きるか条件を達成して死ぬか。ただ、故意の生きるっていうのは、不慮の寿命で死ぬルートではなく、寿命でないタイミングで死ぬルートで寿命まで生きるというものよ。例えば、この間に自殺をしても未遂で終わる。どんな方法をとってもね。簡単にいうと、生き地獄よ」
愕然とした。
死ぬことさえままならないなんて。
僕は悲しみと同時に怒りを覚えた。
「ふ、ふざけないでください!」
気がつくと僕は叫んでいた。
「ふざけてないわよ。そもそも自ら死を選んだのは君。そんな人間を簡単に行かせるほど、天国は甘くないのよ」
強くはないけど、心に突き刺さるような声音で、凍えてしまいそうな蔑んだ目で彼女は言った。
僕の怒りは一瞬にして冷めた。
長い沈黙。
それを破ったのはメリーだった。
「いつまでもここにいても仕方がないわ。そろそろ決めてもらいましょうか」
生きるか死ぬか決めなくてはならない時が来た。
と、言っても僕の中で答えは決まっている。
もちろん、死ぬ方だ。
ただ、条件が気になる。
「因みに、条件を教えてもらえないですか?」
メリーは少し迷ったような表情をした後に答えた。
「それはできないわね。選ぶ前に言ってはいけない決まりだし、それに決断の邪魔になっても困るから」
「そうですか」
案の定、教えてはもらえなかったか。
だけど、今更条件に怯えて選択肢を変えるつもりはない。
それに、生きた方が地獄だ。
僕はこれから、死ぬために活きるしかないんだ。
「決めました。死を選びます」
「本当にいいのね」
「はい」
僕は決意とか不安とか色んな感情を含んだ返事をしっかりとした。
一瞬、メリーは悲しそうな顔をした気がしたが、瞬きの間に元の表情に戻っていた。
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