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2章
盲愛の復讐者
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迷宮の最奥は大広間となっていた。その部屋は紅葉が美しい木々に囲まれていて、薄暗いこの迷宮とは相反してとても晴れやかな空気が流れている。そしてそれに真っ向から逆らうかのような殺気が一点から湧き出している。部屋の中央に人影が見える。橙色のコートに身を包み、特殊な杖を手に持つ女性の姿が。
「かつてとある男が都市ヴァロンにやってきました。その男は冒険者となり迷宮へ挑む日々を送るようになりました。」
そう語る人物は不敵な笑みを浮かべながらこちらに振り返った。彼女の顔に見覚えがある。我々冒険者が彼女の顔を見間違えるはずがない。冒険者支援機関の責任者「コロン・ヘンダーソン」の顔を。コロンは話を続ける。
「第一迷宮の古の石室、第二迷宮の夢幻の湖畔を次々踏破。そして第三迷宮の暗夜の樹海も攻略間近。まさに快進撃でした。私が支援機関の責任者に就いたのはそのあたりです。私は恋人である彼を追いかけて都市ヴァロンに来ました。そして彼の助けになればと『銀の弾丸』を作り出しました。」
コロンは掌で弾丸を転がしながらこちらに見せている。深い緑色の淡い輝きを呈する弾丸。コロンの魔道杖の一部から同じ色の輝きが見える。まるで共鳴しているかのようだ。
「しかしそれが仇となった。彼はある日、迷宮から帰ってこなくなりました。一日、二日、三日。待てども待てども帰らない。私は自ら迷宮に探しにいくことにしました。」
魔道杖を力強く地面に突いて、地面を見つめながら彼女は涙ながらに発言を続けた。
「そしてこの部屋で彼を見つけました。白骨になっている彼を。装備品ですぐにわかる。そして彼の頭蓋骨には銀の弾丸が埋まっていました。」
「今やっていることはけじめなのです。私が作り出したモノは結果として彼を殺してしまいました。せめてその責任として敵討ちをしようと。未だ第三迷宮は踏破されず、第四迷宮に到達した者はいない。ならば、この部屋に辿り着く冒険者を全員仕留めればいつしか犯人にたどり着けるのではないか。」
彼女は狂ってしまったのだ。自分の研究成果が結果として、恋人の命を奪う決定打になってしまったことにより。自責の念に駆られ狂人に成り果ててしまった。しかし、このようなことが正しいわけがない。私は立ち向かわなければならない。彼女を倒すしかない。
「私は数多の冒険者をここで葬ってきました。この銀の弾丸で。この大広間に辿り着いた冒険者を奇襲して。ですが、あなたは奇襲では仕留められない」
コロンは魔道杖をふわりと振り天に掲げる。杖は赤く輝く。たちまち大広間の入口は炎の壁にて塞がれた。炎の壁はとても厚く、強行突破すべく駆け抜けようとすれば通り抜ける頃には消し炭となっているだろう。そして私は気づいた。魔物たちの住処を燃やして回っていた第三勢力とは彼女のことだったのだ。
「改めて名を名乗りましょう、私は、冒険者支援機関責任者、魔道士コロン・ヘンダーソン。スレイミーナ王国第一王女の実力をもってして、あなたをここで殺す。覚悟せよ!」
「かつてとある男が都市ヴァロンにやってきました。その男は冒険者となり迷宮へ挑む日々を送るようになりました。」
そう語る人物は不敵な笑みを浮かべながらこちらに振り返った。彼女の顔に見覚えがある。我々冒険者が彼女の顔を見間違えるはずがない。冒険者支援機関の責任者「コロン・ヘンダーソン」の顔を。コロンは話を続ける。
「第一迷宮の古の石室、第二迷宮の夢幻の湖畔を次々踏破。そして第三迷宮の暗夜の樹海も攻略間近。まさに快進撃でした。私が支援機関の責任者に就いたのはそのあたりです。私は恋人である彼を追いかけて都市ヴァロンに来ました。そして彼の助けになればと『銀の弾丸』を作り出しました。」
コロンは掌で弾丸を転がしながらこちらに見せている。深い緑色の淡い輝きを呈する弾丸。コロンの魔道杖の一部から同じ色の輝きが見える。まるで共鳴しているかのようだ。
「しかしそれが仇となった。彼はある日、迷宮から帰ってこなくなりました。一日、二日、三日。待てども待てども帰らない。私は自ら迷宮に探しにいくことにしました。」
魔道杖を力強く地面に突いて、地面を見つめながら彼女は涙ながらに発言を続けた。
「そしてこの部屋で彼を見つけました。白骨になっている彼を。装備品ですぐにわかる。そして彼の頭蓋骨には銀の弾丸が埋まっていました。」
「今やっていることはけじめなのです。私が作り出したモノは結果として彼を殺してしまいました。せめてその責任として敵討ちをしようと。未だ第三迷宮は踏破されず、第四迷宮に到達した者はいない。ならば、この部屋に辿り着く冒険者を全員仕留めればいつしか犯人にたどり着けるのではないか。」
彼女は狂ってしまったのだ。自分の研究成果が結果として、恋人の命を奪う決定打になってしまったことにより。自責の念に駆られ狂人に成り果ててしまった。しかし、このようなことが正しいわけがない。私は立ち向かわなければならない。彼女を倒すしかない。
「私は数多の冒険者をここで葬ってきました。この銀の弾丸で。この大広間に辿り着いた冒険者を奇襲して。ですが、あなたは奇襲では仕留められない」
コロンは魔道杖をふわりと振り天に掲げる。杖は赤く輝く。たちまち大広間の入口は炎の壁にて塞がれた。炎の壁はとても厚く、強行突破すべく駆け抜けようとすれば通り抜ける頃には消し炭となっているだろう。そして私は気づいた。魔物たちの住処を燃やして回っていた第三勢力とは彼女のことだったのだ。
「改めて名を名乗りましょう、私は、冒険者支援機関責任者、魔道士コロン・ヘンダーソン。スレイミーナ王国第一王女の実力をもってして、あなたをここで殺す。覚悟せよ!」
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