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1章
初心者の迷宮の変異
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「古の石室を踏破されたのですね、おめでとうございます。」
身体中泥まみれ命からがらのギリギリの踏破であった。むしろ、ゴールの存在に救われた。銀の弾丸も枯渇し満身創痍の状態で、仮にあそこからヴァロンまで引き返せと言われたら私の命はもう無かった。このようなギリギリ踏破者が次に進んでもよいものなのだろうか、少し自信に欠ける。
「踏破にギリギリも余裕もないですよ。踏破できるのはそれだけの能力が有るもののみです。満たない者は迷宮の脅威に貪り食われる運命を辿るはずですからね。さて、冒険者支援機関の責任者の私からあなたに依頼したいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
やけに改まった雰囲気だ。冒険者支援機関をはじめ、都市ヴァロンには世話になっている。当然断る道理はない。
「冒険者の試験の会場になった迷宮のことを覚えてらっしゃいますでしょうか?あの迷宮がとある冒険者によって占拠されてしまったのです。あなたにはその冒険者の討伐または確保をお願いしたいのです。」
何、討伐だと。討伐ということは命を奪うということ。この世界ではそこまでする必要があるのか。
「冒険者の名はルメール。剣を得意とする冒険者です。冒険者である以上当然銀の弾丸も所持しています。なので今回の事象に関しては、銀の弾丸の所持及び使用を認めます。」
なるほど、絶対無敵の銀の弾丸を持つ者を相手にする以上、確保という甘い要求はできない訳か。銀の弾丸はその一撃で確実に相手の命を刈り取る。そして最も恐ろしいのは、狂人が銀の弾丸を手にしたとき。事情が何となく分かった気がする。しかしそれならば適任者が他にいるはずだ、私の目の前にいる人物は銀の弾丸を無力化することができるはずだ。
「本当は私が出向き対応にあたりたいのですが、かつて私が心から頼りにしていたヴァンガーラ姉妹はここにはもういません。クラは勇者一行に加わり魔王討伐の道中で勇者に討たれました。ベラは帝国を裏切り謀反を起こしたため私が討ちました。ここを留守にするわけにはいかないのです。」
都市ヴァロンの関所の近くに「初心者の迷宮」は存在する。同時に関所の周辺には宿場町が広がる。冒険者になるためにヴァロンに来たすぐの頃はこの宿場町にお世話になった。もはや懐かしいな、初心者の迷宮には試験以来訪れていない。普通の冒険者にとって訪れる必要のない場所であるはずである。そんな迷宮が占拠された。物珍しさ溢れる眼差しを向けざるをえない。目的は一体何なのであろうか。迷宮を占拠と言うと聞こえはまだマシである。だがその迷宮は人工である。出現する魔物も計画されたものであり、そして当然財宝の類いは勿論存在しない。謎は深まるばかりである。
初心者の迷宮の最奥部には挑戦者を阻む壁が存在している。そしてさらにその奥に彼はいた。
「想定外だったな。お陰でこの俺まで四つ目の迷宮へ進むことができなくなってしまった。あの時構わず先へ行っておくべきだったか?いやいや、それは駄目だな。踏破者が俺しかいないのは都合が悪い。まあいいさ、ここで仕留めればいい話だ。この銀の弾丸は何者に対しても等しく貫くんだからな。」
身体中泥まみれ命からがらのギリギリの踏破であった。むしろ、ゴールの存在に救われた。銀の弾丸も枯渇し満身創痍の状態で、仮にあそこからヴァロンまで引き返せと言われたら私の命はもう無かった。このようなギリギリ踏破者が次に進んでもよいものなのだろうか、少し自信に欠ける。
「踏破にギリギリも余裕もないですよ。踏破できるのはそれだけの能力が有るもののみです。満たない者は迷宮の脅威に貪り食われる運命を辿るはずですからね。さて、冒険者支援機関の責任者の私からあなたに依頼したいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
やけに改まった雰囲気だ。冒険者支援機関をはじめ、都市ヴァロンには世話になっている。当然断る道理はない。
「冒険者の試験の会場になった迷宮のことを覚えてらっしゃいますでしょうか?あの迷宮がとある冒険者によって占拠されてしまったのです。あなたにはその冒険者の討伐または確保をお願いしたいのです。」
何、討伐だと。討伐ということは命を奪うということ。この世界ではそこまでする必要があるのか。
「冒険者の名はルメール。剣を得意とする冒険者です。冒険者である以上当然銀の弾丸も所持しています。なので今回の事象に関しては、銀の弾丸の所持及び使用を認めます。」
なるほど、絶対無敵の銀の弾丸を持つ者を相手にする以上、確保という甘い要求はできない訳か。銀の弾丸はその一撃で確実に相手の命を刈り取る。そして最も恐ろしいのは、狂人が銀の弾丸を手にしたとき。事情が何となく分かった気がする。しかしそれならば適任者が他にいるはずだ、私の目の前にいる人物は銀の弾丸を無力化することができるはずだ。
「本当は私が出向き対応にあたりたいのですが、かつて私が心から頼りにしていたヴァンガーラ姉妹はここにはもういません。クラは勇者一行に加わり魔王討伐の道中で勇者に討たれました。ベラは帝国を裏切り謀反を起こしたため私が討ちました。ここを留守にするわけにはいかないのです。」
都市ヴァロンの関所の近くに「初心者の迷宮」は存在する。同時に関所の周辺には宿場町が広がる。冒険者になるためにヴァロンに来たすぐの頃はこの宿場町にお世話になった。もはや懐かしいな、初心者の迷宮には試験以来訪れていない。普通の冒険者にとって訪れる必要のない場所であるはずである。そんな迷宮が占拠された。物珍しさ溢れる眼差しを向けざるをえない。目的は一体何なのであろうか。迷宮を占拠と言うと聞こえはまだマシである。だがその迷宮は人工である。出現する魔物も計画されたものであり、そして当然財宝の類いは勿論存在しない。謎は深まるばかりである。
初心者の迷宮の最奥部には挑戦者を阻む壁が存在している。そしてさらにその奥に彼はいた。
「想定外だったな。お陰でこの俺まで四つ目の迷宮へ進むことができなくなってしまった。あの時構わず先へ行っておくべきだったか?いやいや、それは駄目だな。踏破者が俺しかいないのは都合が悪い。まあいいさ、ここで仕留めればいい話だ。この銀の弾丸は何者に対しても等しく貫くんだからな。」
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