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第二章 騎士団編
第5話 入団テスト④ 誤解から生まれる固い絆
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食事が終わってみんなで荷物預け場所に向かう。
外はすっかり食事が終わってみんなで荷物預け場所に向かう。
外はすっかり暗くなっていて空を見上げると満天の星空が広がっていた。
初めて見るこの世界の星空に私はしばし立ち止まる。
わあーすごい! 北海道の祖父母の家で見た星空に似ているな。
今にも自分に落ちてきそうな星に思わず手をのばした。
それを見ていたシャーリーが私に声をかけた。
「アヤーネ、何しているんだい?」
「初めて見た星空に感動してるところ。ほら、手をこうして伸ばすと届きそうだよ。空はどこの世界も一緒なんだね」
何気なくそう言った途端、後ろからシモンヌが抱きしめてきた。
「アヤーネ、いざとなったら私があなたを囲いますわ」
囲う?
どういう意味だ?
囲うなんて愛人みたいじゃないか。
そう言えば、シモンヌは縁談話を回避するために入団テストを受けるって言ってたよね。
ま、まさかユリ族とか言わないよね?
まさかね…
で、でもプリンをくれたりと何だか私に優しい気がする?
はっ! プリン、食べちゃったよ。
「シモンヌ、私、あの、知らなくてプリン食べちゃって。だってプリンは私の大好物なの。だからごめんね」
遠まわしに私はユリ族じゃないと言ってみたが伝わっただろうか?
そっと首を後ろに回してシモンヌの表情を伺うと、なんと涙ぐんでいるではないか。
き、傷つけちゃった?
私がオロオロしていると、カミラが私の両手を握って言った。
「うちの父親が作るプリンは絶品なのよ。今度みんなで行きましょう。私がご馳走するわ」
「じゃあ、4人で入団テストを見事合格したらカミラのお店でお祝いをしよう」
「そうですわね。アヤーネに街を案内しますわ」
そう言ったシモンヌがにっこりと笑ったのでホッとした。
とりあえず、シモンヌにその気は無いことが伝わったようなので良しとしましょう。
荷物を取りに行って宿泊場所につくと女子寮の管理人と思わしきおばちゃんが、シャワー室は常時使用可だが大浴場があと一時間で終わると教えてくれた。
せっかくだからみんなで大浴場に行き部屋で休む事にした。
部屋は4人一部屋。左右の両壁に二台ずつベッドが配置され部屋の真ん中には丸いローテーブルと1人掛けのソファが4つ置かれていた。
なんだかペンションの部屋みたいだ。
学生の頃を思い出すなあ。
私は部屋の左手の窓際のベッドに陣取った。
今日の朝からの出来事を思い出している間に意識が沈んでいった。
*********************
シモンヌ、カミラ、シャーリー視点
「あっと言う間に寝たわね」
アヤーネの寝顔を見下ろしながらカミラが言った。
「今日はよほど疲れたんだろう。変態親父から逃げてきてから入団テストを受けたんだ」
「それなんですけど、変態親父にしてはアヤーネを大事にしているのが見て取れますわね」
シモンヌのその言葉に納得が行かないシャーリーが口を開く。
「大事にしてる? 学園にも通わせず、家に監禁状態なのに? それにアヤーネはあきらかに同年齢の女性より小柄じゃないか? 食事が満足に与えられていなかったのかもしれない」
「そうですわね。その点ではわたくしもひどい話だと思いますわ。でも、ほらご覧なさい、このお肌に髪。とてもお手入れが行き届いていましてよ。きっと食事もキチンと与えられていたと思いますわ」
そう言ってシモンヌは寝ているアヤーネの頬を撫で髪の毛を一房手に取った。
「お化粧を落としたらますます幼く見えるわね。確かにお肌や髪は荒れてないね。お風呂に入った時に体を見たけど特に傷も無かったよね」とカミラが言った。
「ええ、わたくしもアヤーネの体を注意深く見ましたけど、傷がなくてホッといたしましたわ。体は小柄ですけど女性としての成長具合は問題ないようでしたわ。ちなみに純潔も守られているようですわ。あ、これはわたくしの服飾のプロの勘です」
「あーそれでお風呂場でアヤーネの事をギラギラした目で見てたんだ。アヤーネがちょっと怯えていたよ。多分、シモンヌの事をちょっと危ない人認定したかも」
シャーリーのその言葉にシモンヌがショックを受けたように目を見開いた。
「まあ、なんということでしょう。明日さっそく誤解を解かなくてはいけませんわね」
シモンヌがそう言うのを苦笑しながら聞いていたカミラが口を開いた。
「あのさ、これは私の推測なんだけど、アヤーネはご両親が亡くなったときにお金持ちにこの国に連れてこられたんじゃないかな。アヤーネの容姿はこの国の人とは少し違う感じだしそれならこの国の通貨を知らないのも納得がいくでしょ?」
「うん、私もその推測が妥当だと思うよ。その金持ちの男は異国から攫ってきたアヤーネを隠すように育てたんだろう。アヤーネが決死の覚悟でその男から逃げてきたんだ絶対に守ってあげなきゃ」
シャーリーのその言葉にカミラとシモンヌが力強く頷いた。
「まずはこの入団テストを合格しなきゃね。王宮の騎士団ならなにより安全だしね」
「そうですわね。そこでわたくしに名案があります。4人全員が合格を勝ち取るために、女剣士4人セット販売作戦です」
キョトンとするカミラとシャーリーにシモンヌが作戦を話す。
なにをするのも一緒に行動し4人一組と言うことを周りに印象つけること。
剣術は華やかさを演出すること。
苦しい時もそんな素振りを見せずに笑顔を見せること。
そして一試合終わるごとに必ず4人集まってお互いを励ますこと。
これをやることにより観客はこの4人は一つのチームなんだと認識するという理論だ。
誰がかけてもこのチームは成り立たない。
個々の実力はもちろんあるが、4人揃ったときに絶大な力を発揮すると思わせる作戦。
さすが、服飾業界トップに君臨する商家のお嬢様だと尊敬の目でシモンヌを見るカミラとシャーリーであった。
外はすっかり食事が終わってみんなで荷物預け場所に向かう。
外はすっかり暗くなっていて空を見上げると満天の星空が広がっていた。
初めて見るこの世界の星空に私はしばし立ち止まる。
わあーすごい! 北海道の祖父母の家で見た星空に似ているな。
今にも自分に落ちてきそうな星に思わず手をのばした。
それを見ていたシャーリーが私に声をかけた。
「アヤーネ、何しているんだい?」
「初めて見た星空に感動してるところ。ほら、手をこうして伸ばすと届きそうだよ。空はどこの世界も一緒なんだね」
何気なくそう言った途端、後ろからシモンヌが抱きしめてきた。
「アヤーネ、いざとなったら私があなたを囲いますわ」
囲う?
どういう意味だ?
囲うなんて愛人みたいじゃないか。
そう言えば、シモンヌは縁談話を回避するために入団テストを受けるって言ってたよね。
ま、まさかユリ族とか言わないよね?
まさかね…
で、でもプリンをくれたりと何だか私に優しい気がする?
はっ! プリン、食べちゃったよ。
「シモンヌ、私、あの、知らなくてプリン食べちゃって。だってプリンは私の大好物なの。だからごめんね」
遠まわしに私はユリ族じゃないと言ってみたが伝わっただろうか?
そっと首を後ろに回してシモンヌの表情を伺うと、なんと涙ぐんでいるではないか。
き、傷つけちゃった?
私がオロオロしていると、カミラが私の両手を握って言った。
「うちの父親が作るプリンは絶品なのよ。今度みんなで行きましょう。私がご馳走するわ」
「じゃあ、4人で入団テストを見事合格したらカミラのお店でお祝いをしよう」
「そうですわね。アヤーネに街を案内しますわ」
そう言ったシモンヌがにっこりと笑ったのでホッとした。
とりあえず、シモンヌにその気は無いことが伝わったようなので良しとしましょう。
荷物を取りに行って宿泊場所につくと女子寮の管理人と思わしきおばちゃんが、シャワー室は常時使用可だが大浴場があと一時間で終わると教えてくれた。
せっかくだからみんなで大浴場に行き部屋で休む事にした。
部屋は4人一部屋。左右の両壁に二台ずつベッドが配置され部屋の真ん中には丸いローテーブルと1人掛けのソファが4つ置かれていた。
なんだかペンションの部屋みたいだ。
学生の頃を思い出すなあ。
私は部屋の左手の窓際のベッドに陣取った。
今日の朝からの出来事を思い出している間に意識が沈んでいった。
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シモンヌ、カミラ、シャーリー視点
「あっと言う間に寝たわね」
アヤーネの寝顔を見下ろしながらカミラが言った。
「今日はよほど疲れたんだろう。変態親父から逃げてきてから入団テストを受けたんだ」
「それなんですけど、変態親父にしてはアヤーネを大事にしているのが見て取れますわね」
シモンヌのその言葉に納得が行かないシャーリーが口を開く。
「大事にしてる? 学園にも通わせず、家に監禁状態なのに? それにアヤーネはあきらかに同年齢の女性より小柄じゃないか? 食事が満足に与えられていなかったのかもしれない」
「そうですわね。その点ではわたくしもひどい話だと思いますわ。でも、ほらご覧なさい、このお肌に髪。とてもお手入れが行き届いていましてよ。きっと食事もキチンと与えられていたと思いますわ」
そう言ってシモンヌは寝ているアヤーネの頬を撫で髪の毛を一房手に取った。
「お化粧を落としたらますます幼く見えるわね。確かにお肌や髪は荒れてないね。お風呂に入った時に体を見たけど特に傷も無かったよね」とカミラが言った。
「ええ、わたくしもアヤーネの体を注意深く見ましたけど、傷がなくてホッといたしましたわ。体は小柄ですけど女性としての成長具合は問題ないようでしたわ。ちなみに純潔も守られているようですわ。あ、これはわたくしの服飾のプロの勘です」
「あーそれでお風呂場でアヤーネの事をギラギラした目で見てたんだ。アヤーネがちょっと怯えていたよ。多分、シモンヌの事をちょっと危ない人認定したかも」
シャーリーのその言葉にシモンヌがショックを受けたように目を見開いた。
「まあ、なんということでしょう。明日さっそく誤解を解かなくてはいけませんわね」
シモンヌがそう言うのを苦笑しながら聞いていたカミラが口を開いた。
「あのさ、これは私の推測なんだけど、アヤーネはご両親が亡くなったときにお金持ちにこの国に連れてこられたんじゃないかな。アヤーネの容姿はこの国の人とは少し違う感じだしそれならこの国の通貨を知らないのも納得がいくでしょ?」
「うん、私もその推測が妥当だと思うよ。その金持ちの男は異国から攫ってきたアヤーネを隠すように育てたんだろう。アヤーネが決死の覚悟でその男から逃げてきたんだ絶対に守ってあげなきゃ」
シャーリーのその言葉にカミラとシモンヌが力強く頷いた。
「まずはこの入団テストを合格しなきゃね。王宮の騎士団ならなにより安全だしね」
「そうですわね。そこでわたくしに名案があります。4人全員が合格を勝ち取るために、女剣士4人セット販売作戦です」
キョトンとするカミラとシャーリーにシモンヌが作戦を話す。
なにをするのも一緒に行動し4人一組と言うことを周りに印象つけること。
剣術は華やかさを演出すること。
苦しい時もそんな素振りを見せずに笑顔を見せること。
そして一試合終わるごとに必ず4人集まってお互いを励ますこと。
これをやることにより観客はこの4人は一つのチームなんだと認識するという理論だ。
誰がかけてもこのチームは成り立たない。
個々の実力はもちろんあるが、4人揃ったときに絶大な力を発揮すると思わせる作戦。
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