しろいはな

伊藤 礼次郎

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たねをまく

さんの花 一学期 ①

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入学式を終え、一段落。とは行かないようで。いや、もちろん学校が始まり会う人やグループを作っていくもの…と、記憶していたはず。
「え、だよねぇー」
「そーそー」
「まじ、萎えるー」
学校は始まったし授業をしないで自己紹介、も済んだ。自分が自己紹介で何て言ったかとか覚えてないし回りが何いってたとかも覚えてない。いつの間にか回りには友達ができていて、私はぼんやりと一人だった。
昔から自分から友達を作るのはあまり得意ではない。よくあるかもしれないけど回りから声掛けてくれないかなーって思う。自分から声を掛けるシュミレーションも何回もした。しかし口が動いてくれるわけではない。うむ、当番系統で会話ができるのを待とう…。
「ねぇ、田中さん」
落書きでも…え?
「え?」
隣から女子の声が聞こえた。私は田中さんだけれど、このクラスにはもう一人男だが田中さんがいる。よく『おい、田中ー』とか『田中、ばかじゃねえ!?(笑)』とか、自分をバカにされているような気持ちになる声が飛び交っている。しかし男子に呼ばれるならともかく女子がよぶということは多分私で間違えない。
「私、入学式の時から田中さんとお話ししてみたかったんだよねー」
「え、そうなの?」
人見知りはするけど、コミュ障ではない。会話を持ちかけられれば普通に返せる。
「絵とか描くんでしょー?どんなの描くのー?」
この手の会話はあんまり得意じゃないけど…
「人間描くよ、アニメ的なやつ」
普通に趣味程度ならいいけど、私の場合これしかない。絵描き以外のなにもないから、否定なんてされたら心おれそう。
「えー、みたいー」
「い、いやぁ、下手くそだから…」
他の話題を考えてほしいものだけど、わがままを言える立場ではない。
「え、じゃあ今度さ皆で遊ぶからそのとき見せれるやつ持ってきてよー」
初めて感じる感性だけど、皆そんなに仲良くなってるの?え、私に話しかけなくてもよかったったんじゃ…。でも、適当でも友達を作る機会。断るのは得策じゃないかな。
「うん、どこ行くのー?」
「とりあえず、安上がりだしファミレス。来る?」
「うん、行くよー」
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