ざまぁされたはずの悪役令嬢が戻ってきた!?  しかも、今度は復讐のため、溺愛ルートを目指すようです。 ~えっ、ちょ

夢追子(@電子コミック配信中)

文字の大きさ
47 / 79

45 高橋由里,27

しおりを挟む
      四十五

《は?》
 あまりに唐突な話題の変更に、リリィが戸惑いの声を出す。
 そして、リリィにしては珍しく他人を労わるような声音で続けた。
《……メイド仕事などするからおかしくなったんです、きっと。無理が祟ったのですわ……。》
 うんうんと頷きながら、そっと肩に手を置いてきそうな雰囲気を醸し出すリリィ。
 由里はリリィの言葉をため息で否定した。
「違うよ。……別にメイドは無理のない範囲で頑張れてるよ。」
(無理してることがあるとしたら、一番は『リリィでいること』だよ。)
 他にも無理矢理異世界に召喚されたこととか、無理があるとしたら数えられないくらいのことがあるが、全ての原因はリリィである。
 だが、由里は後に続く言葉はちゃんと心の中にしまっておいた。
 代わりに変更した話題を続けていく。
「リリィは、あの王子様のことどう思ってるのかなぁって。そういえば、そんな感じの話とかは聞いてないから。」
 要は『恋バナ』である。
 異世界に来てから心の休まる時もなく、あまりにも日々が目まぐるしく過ぎていたが、ようやくこの頃はメイド仕事にも慣れてき始めて、由里にも色々と気になることに目を向ける余裕が少しだけ出て来ていた。
 リリィは何かあるとすぐに苛烈な怒りを爆発させて復讐を口にすることが多いが、そんな復讐の話題は由里には荷が重いので、出来るだけ避けていたい。そうすると、何の話題から切り出そうかと迷った挙句、同年代くらいの女子会のごく一般的なテーマと言えばと考えて恋バナに白羽の矢を立てたのだ。
(……リリィって、まだ王子様と結婚するの諦めてないみたいだし……。)
 ちなみに、初めての悪役令嬢との恋バナの題材は、例の本『愛され女子になる方法』に取り上げられていたモノを何となく目について選んでみた。
 既に婚約を破棄されたうえ、相手にはもう別の相手がいて、それが自分の妹であるばかりか着々と準備が進んでいるというのに、リリィは一向に諦める気など見せなかった。
(……さすがに、ムリだとか思わないのかな?)
 この間の猫の一件の時も、あまり友好的ではない視線をリリィに向けていた気がする王子だが、リリィはその辺りどう思っているのだろうか?
「リリィの好きな人って、あの、この前会った王子様なんだよね?」
 別にリリィが恋バナをしたくないのなら今後はするつもりがない。ただ話のとっかかりとして話題を選んだだけだ。
 例えば由里のように失恋の痛みを味わっているというのならば、その傷に塩を塗りこむようなことはしたくない。
 そのくらいの興味で由里はリリィに尋ねた。
《もちろんですわ!》
 だが、帰って来たリリィの返答は由里の想像の斜め上辺りを漂い始めた。
《あの方は私にこそ相応しいんです!》
 それはそれは楽しそうに嬉しそうに、自信満々にノリノリでリリィが話し始める。
《……確か、追いかけるか、追いかけられたいかでしたっけ?それならば、もちろん追いかけて手に入れる方が私好みですわ。あの方を今度こそ誰にも奪われないようにしっかりと捕まえて差し上げなくては。》
 リリィの声音は恐ろしいくらいのやる気に満ちていた。
 由里は相手の王子ではないというのに、恐ろしさで心臓がぎゅっとなった。
(……すごいやる気だけど……。)
 多分、こんなにやる気いっぱいに追いかけられたら、相手は引くんじゃないかなと由里ですら確信した。物事は心のままに何でも力ずくで押していけばいいというものでもない。リリィの態度は、そんな悪い見本のようであった。
 言っても無駄かもしれないとは思いつつも、由里は一緒にこの世界に持って来たピンクの表紙の本を取出し、本の内容を読んであげることにした。いくら悪役令嬢でも、失恋の上塗りには心が痛むし、それにリリィが何かの形で暴走して由里にも被害が及ぶ可能性もあるかもしれないからである。
《あら?その本は……。》
 由里が手に取ったピンクの本を、リリィは見止めて意識を向ける。
「これは、私の世界の本なの。……何て言うのかな?好きな人に振り向いてもらう方法みたいなのがいっぱい書いてあるんだ。」
《何ですか、それは。》

 
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

修道女エンドの悪役令嬢が実は聖女だったわけですが今更助けてなんて言わないですよね

星井ゆの花(星里有乃)
恋愛
『お久しぶりですわ、バッカス王太子。ルイーゼの名は捨てて今は洗礼名のセシリアで暮らしております。そちらには聖女ミカエラさんがいるのだから、私がいなくても安心ね。ご機嫌よう……』 悪役令嬢ルイーゼは聖女ミカエラへの嫌がらせという濡れ衣を着せられて、辺境の修道院へ追放されてしまう。2年後、魔族の襲撃により王都はピンチに陥り、真の聖女はミカエラではなくルイーゼだったことが判明する。 地母神との誓いにより祖国の土地だけは踏めないルイーゼに、今更助けを求めることは不可能。さらに、ルイーゼには別の国の王子から求婚話が来ていて……? * この作品は、アルファポリスさんと小説家になろうさんに投稿しています。 * 2025年12月06日、番外編の投稿開始しました。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

役立たずと捨てられた万能建築士、隣国で「聖域」を造って無双する。今さら復興のために戻れ? ご自分たちで瓦礫でも積んでいればよろしいのでは?

しょくぱん
恋愛
「お前の魔法は石を積むだけの土木作業だ」と婚約破棄されたので、城を支えていた『構造維持結界』をすべて解除して出て行きますね。今さら「城が崩れる!」と泣きつかれても、私は隣国で氷結の皇帝陛下と「世界最高の聖域」を造っていますので、一切知りません。 王国唯一の建築魔導師アニエスは、その地味な見た目と能力を理由に、王太子シグムンドから婚約破棄と国外追放を言い渡される。 彼の隣には、派手な光魔法を使う自称聖女の姿があった。 「お前の代わりなどいくらでもいる。さっさと出て行け!」 「……分かりました。では、城にかけていた『自動修復』『耐震』『空調』の全術式を解約しますね」 アニエスが去った直後、王城は音を立てて傾き、噴水は泥水に変わり、王都のインフラは崩壊した。 一方、アニエスは隣国の荒野で、呪われた皇帝レオンハルトと出会う。彼女が何気なく造った一夜の宿は、呪いを浄化するほどの「聖域」だった。 「君は女神か? どうか私の国を救ってほしい」 「喜んで。ついでに世界一快適な住居も造っていいですか?」 隣国がアニエスの力で黄金の国へと発展する一方、瓦礫の山となった母国からは「戻ってきてくれ」と悲痛な手紙が届く。 だが、アニエスは冷ややかに言い放つ。 「お断りします。契約外ですので、ご自分で支えていればよろしいのでは?」 これは、捨てられた万能建築士が隣国で溺愛され、幸せを掴む物語。 そして、彼女を捨てた者たちが、物理的にも社会的にも「崩壊」し、最後には彼女が架ける橋の『礎石』として永遠に踏まれ続けるまでの、壮絶な因果応報の記録。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

処理中です...