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第六幕 六 「探偵さんとはぐれちゃったの?」
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六
「あれ?貴方は、確か・・・。」
背後から掛けられた声に、リンは泣き腫らした目で背後を見上げた。
「どうしたの?」
泣いているリンに気付き、慌てて駆け寄ってくるのはお仕着せを着たメイドの杏子だ。
リンは涙を手の甲で拭って、立ち上がる。
「迷子。」
素っ気なく呟くリン。
その一言で事情を察した杏子は、リンを元気付けるように笑顔を浮かべた。
「大丈夫よ。」
リンは頷き、杏子に肯定を響かせた。
「貴方、探偵さんの助手の子よね?昨夜、巧様と一緒だった。」
リンの鈴は肯定する。
「探偵さんとはぐれちゃったの?だったら、どこに行けば会えるかしら?」
リンは分からないとでも言うように、首を横に振った。
杏子は頷き、リンの顔を笑顔で覗きこむ。
「分かったわ。色々と回ってみましょう。ついてきて。」
任せてくれと言うように、ドンと胸を叩く杏子。
リンは肯定の鈴の音を響かせると、小さなトランクに手を伸ばした。
「荷物、持ちましょうか?」
使用人としての教育が行き届いているらしく、杏子は客人に申し出る。
だが、リンは首を振って否定の音色を響かせた。
「ダメ。先生の大切な物だから。」
トランクを大切そうに抱え、リンは杏子に触れさせないように必死に守ろうとする。
杏子は、彼女を宥めようと、両手を挙げて見せた。
「分かったわ。それに手は出さないわ。」
納得したようにリンが肯定の鈴を鳴らす。
それを確認して、杏子は歩き出した。
「さあ、行くわよ。ちゃんとついて来てね。」
杏子に遅れないように、リンは杏子の一歩後ろをついていく。
「さて、どこから行けばいいのかしら?探偵さんたちが会議するって言ってたけど、広間を使うには、まだ少し時間があるし、」
独り言のように呟く杏子。
リンは遠慮がちで警戒心を持った小さな声で、杏子の背中に声を掛けた。
「先生、部屋にいなかった。」
「客室にはいなかったの?」
杏子は立ち止まらずに振り返る。
リンの鈴は肯定を杏子に伝えた。
「そっかぁ。じゃあ、どこだろう?貴方、心当たりない?」
リンは首を横に振って否定を伝えた。
「困ったわね。屋敷は広いのよね。」
確かに広大だ。何せリンは迷子になったのだから。
しばらく唸った後、杏子は首だけでリンに振り返る。
「昨日、行ったところとか?今日、行ったところとかにいるかもしれないわ。どこに行ったの?」
杏子の質問に、リンは懸命に答えを出そうと考え始める。まずは、思いついた順に言葉にし始める。
「今日は、野村の部屋。」
「ああ、探偵さんだもんね。事件のこと調べてたんだ。ってことは、そこから行く?」
リンは否定を響かせる。
「あの部屋は、もう行かないと思う。」
「じゃあ、昨日は?」
またリンは沈黙して考える。
「食堂と、肖像画。それに探検して、庭と温室。」
途切れ途切れに単語を口にするリン。
杏子は拙いリンの言葉から、行き先を考える。
「食堂には、今の時間に用はないわね。とすると、まずは庭に出て温室に行った方が良さそうね。」
結論が出る。
「じゃあ、温室に行きましょう。」
リンは頷いて肯定する。
二人は揃って温室へと歩き始めた。
「あれ?貴方は、確か・・・。」
背後から掛けられた声に、リンは泣き腫らした目で背後を見上げた。
「どうしたの?」
泣いているリンに気付き、慌てて駆け寄ってくるのはお仕着せを着たメイドの杏子だ。
リンは涙を手の甲で拭って、立ち上がる。
「迷子。」
素っ気なく呟くリン。
その一言で事情を察した杏子は、リンを元気付けるように笑顔を浮かべた。
「大丈夫よ。」
リンは頷き、杏子に肯定を響かせた。
「貴方、探偵さんの助手の子よね?昨夜、巧様と一緒だった。」
リンの鈴は肯定する。
「探偵さんとはぐれちゃったの?だったら、どこに行けば会えるかしら?」
リンは分からないとでも言うように、首を横に振った。
杏子は頷き、リンの顔を笑顔で覗きこむ。
「分かったわ。色々と回ってみましょう。ついてきて。」
任せてくれと言うように、ドンと胸を叩く杏子。
リンは肯定の鈴の音を響かせると、小さなトランクに手を伸ばした。
「荷物、持ちましょうか?」
使用人としての教育が行き届いているらしく、杏子は客人に申し出る。
だが、リンは首を振って否定の音色を響かせた。
「ダメ。先生の大切な物だから。」
トランクを大切そうに抱え、リンは杏子に触れさせないように必死に守ろうとする。
杏子は、彼女を宥めようと、両手を挙げて見せた。
「分かったわ。それに手は出さないわ。」
納得したようにリンが肯定の鈴を鳴らす。
それを確認して、杏子は歩き出した。
「さあ、行くわよ。ちゃんとついて来てね。」
杏子に遅れないように、リンは杏子の一歩後ろをついていく。
「さて、どこから行けばいいのかしら?探偵さんたちが会議するって言ってたけど、広間を使うには、まだ少し時間があるし、」
独り言のように呟く杏子。
リンは遠慮がちで警戒心を持った小さな声で、杏子の背中に声を掛けた。
「先生、部屋にいなかった。」
「客室にはいなかったの?」
杏子は立ち止まらずに振り返る。
リンの鈴は肯定を杏子に伝えた。
「そっかぁ。じゃあ、どこだろう?貴方、心当たりない?」
リンは首を横に振って否定を伝えた。
「困ったわね。屋敷は広いのよね。」
確かに広大だ。何せリンは迷子になったのだから。
しばらく唸った後、杏子は首だけでリンに振り返る。
「昨日、行ったところとか?今日、行ったところとかにいるかもしれないわ。どこに行ったの?」
杏子の質問に、リンは懸命に答えを出そうと考え始める。まずは、思いついた順に言葉にし始める。
「今日は、野村の部屋。」
「ああ、探偵さんだもんね。事件のこと調べてたんだ。ってことは、そこから行く?」
リンは否定を響かせる。
「あの部屋は、もう行かないと思う。」
「じゃあ、昨日は?」
またリンは沈黙して考える。
「食堂と、肖像画。それに探検して、庭と温室。」
途切れ途切れに単語を口にするリン。
杏子は拙いリンの言葉から、行き先を考える。
「食堂には、今の時間に用はないわね。とすると、まずは庭に出て温室に行った方が良さそうね。」
結論が出る。
「じゃあ、温室に行きましょう。」
リンは頷いて肯定する。
二人は揃って温室へと歩き始めた。
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