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第七幕 四 「僕個人の見解としては、捜査本部の意見に賛同できないんですよ」
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四
「で?君が掴んだ、とっておきというヤツを、そろそろ教えてくれんのか?」
痺れを切らし始めた警部が催促をする。前置きが長すぎたようだ。
霧崎も警部の申し出を受け入れるように頷く。
「分かりました。実はですね、この家では事件の直前、息子の巧さんの婚約が破談になっているんですよ。解消と言うよりは破談。詳しい話はよく分かりませんでしたが、孝造さんが相手の家と進めていた婚約で、ですが、突然、事件の直前に破談になった。何か、破壊工作でもされていたような、そんな印象を受けました。」
霧崎のもたらした新情報は素早く浸透していく。室内にはざわめきと納得、種々様々な反応が広がっていく。
自分の情報の効果を確認しながら、霧崎はなおも続ける。
「俺の情報によると、息子の巧さんというのは、父親とは似ても似つかない気弱な性格のようです。今回の婚約話も、強引に父親に進められたもので、本人の意思などはどう扱われていたのか分かりません。」
「怪しいですね。引きこもり息子の婚約破談が、事件の直前なんて。」
琉衣が誰よりも先に霧崎の言葉に同調する。
琉衣の同意に、霧崎は素直に喜んだ。
「そうだろ?難攻不落の謎の前にも、一条の光が射してきた気がするだろ?」
「はい!すごいです、さすが名探偵です!」
室内は俄に盛り上がりを見せる。琉衣の拍手が響き、霧崎の顔は自信に漲る。
警部はあまり賛成できないようで盛り上がっていなかったが、名コンビの外から新たに二人の探偵の協力者が現れる。
「あの、いいですか?」
模範になるような挙手で、二人の探偵の気を引いたのはプロファイラー竹川だ。
「僕も、少しだけ気になることがあって。皆さんにお話しした方がいいと思ったんですが、いいですか?」
名探偵に発言の許可を求める竹川。
名探偵は鷹揚に頷いた。
「何だ?竹川。事件のことだな?」
「はい。今回の秘書殺害事件についてです。」
名探偵からの許可が下りたことで、竹川は少し遠慮がちに話し始めた。竹川の遠慮が向いているのは、どうも隣の警部だ。
「実は、今回の事件、気になっていることがあって。僕個人の見解としては、捜査本部の意見に賛同できないんですよ。」
「な、何を言い出すんだ!お前は!」
慌てたように怒ったように、意表を疲れた警部が大声を上げる。竹川の発言はあまりに予定外だったようだ。
「捜査本部にも、一応報告はしたのですが。」
不安そうに言い訳するように竹川は警部の顔色を窺う。
「まあまあ、警部。今は、どんな小さな情報も無駄には出来ませんから。」
竹川サイドの助っ人として、霧崎が警部を宥める。
霧崎が出てこられては、警部にも反論することが出来ず、警部は無理矢理怒りを収めると、そっぽを向いて拗ねた。
警部の鋭利な視線が消えたことで、ようやく胸を撫で下ろし、竹川が口を開く。
「今回の事件ですが、死の押し売り師の犯行と断定するには、いくつか奇妙な点があるんです。僕が、ここにいるのもそのことが気がかりだからでもあるんです。」
「で?君が掴んだ、とっておきというヤツを、そろそろ教えてくれんのか?」
痺れを切らし始めた警部が催促をする。前置きが長すぎたようだ。
霧崎も警部の申し出を受け入れるように頷く。
「分かりました。実はですね、この家では事件の直前、息子の巧さんの婚約が破談になっているんですよ。解消と言うよりは破談。詳しい話はよく分かりませんでしたが、孝造さんが相手の家と進めていた婚約で、ですが、突然、事件の直前に破談になった。何か、破壊工作でもされていたような、そんな印象を受けました。」
霧崎のもたらした新情報は素早く浸透していく。室内にはざわめきと納得、種々様々な反応が広がっていく。
自分の情報の効果を確認しながら、霧崎はなおも続ける。
「俺の情報によると、息子の巧さんというのは、父親とは似ても似つかない気弱な性格のようです。今回の婚約話も、強引に父親に進められたもので、本人の意思などはどう扱われていたのか分かりません。」
「怪しいですね。引きこもり息子の婚約破談が、事件の直前なんて。」
琉衣が誰よりも先に霧崎の言葉に同調する。
琉衣の同意に、霧崎は素直に喜んだ。
「そうだろ?難攻不落の謎の前にも、一条の光が射してきた気がするだろ?」
「はい!すごいです、さすが名探偵です!」
室内は俄に盛り上がりを見せる。琉衣の拍手が響き、霧崎の顔は自信に漲る。
警部はあまり賛成できないようで盛り上がっていなかったが、名コンビの外から新たに二人の探偵の協力者が現れる。
「あの、いいですか?」
模範になるような挙手で、二人の探偵の気を引いたのはプロファイラー竹川だ。
「僕も、少しだけ気になることがあって。皆さんにお話しした方がいいと思ったんですが、いいですか?」
名探偵に発言の許可を求める竹川。
名探偵は鷹揚に頷いた。
「何だ?竹川。事件のことだな?」
「はい。今回の秘書殺害事件についてです。」
名探偵からの許可が下りたことで、竹川は少し遠慮がちに話し始めた。竹川の遠慮が向いているのは、どうも隣の警部だ。
「実は、今回の事件、気になっていることがあって。僕個人の見解としては、捜査本部の意見に賛同できないんですよ。」
「な、何を言い出すんだ!お前は!」
慌てたように怒ったように、意表を疲れた警部が大声を上げる。竹川の発言はあまりに予定外だったようだ。
「捜査本部にも、一応報告はしたのですが。」
不安そうに言い訳するように竹川は警部の顔色を窺う。
「まあまあ、警部。今は、どんな小さな情報も無駄には出来ませんから。」
竹川サイドの助っ人として、霧崎が警部を宥める。
霧崎が出てこられては、警部にも反論することが出来ず、警部は無理矢理怒りを収めると、そっぽを向いて拗ねた。
警部の鋭利な視線が消えたことで、ようやく胸を撫で下ろし、竹川が口を開く。
「今回の事件ですが、死の押し売り師の犯行と断定するには、いくつか奇妙な点があるんです。僕が、ここにいるのもそのことが気がかりだからでもあるんです。」
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