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第二幕
思いがけないところで顔を合わすことも
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いきなり話しかけてきた小学校四年生か五年生ぐらいの女の子に、
『そのマネージャーかもしれない人がちゃんとしてないって話』
とか言われて、俺は唖然としてた。ただ、女の子の言うことももっともかもしれない。なんかこれまでそんなに気にせずに何となくでやってきたけど、スタイリストさんなのかマネージャーさんなのかよく分からないっていうのは、本当なら仕事としてはよくないことなんだろう。
それにしたって、どうしてそんなことを……?
戸惑う俺に女の子はさらに言うんだ。
「私、涼くんのファンだから、そういうのちゃんとしてほしいと思う。でないと涼くんが可哀想」
真面目な顔で、真っ直ぐに俺を見上げて。だから俺も、片膝を着いて視線を合わせて、
「ありがとう。心配してくれたんだね。だけど今のところは何か困ったことなかったから大丈夫だよ。でも、これからも大丈夫なように、ちゃんとするようにお願いしてみるね」
そう丁寧に応えさせてもらった。すると女の子は、
「本当? じゃあいい。涼くん、応援してる。頑張って」
嬉しそうに。そこに、
「タマキ、いくよ」
声が掛けられて、
「はい!」
女の子が応えて、
「じゃあね。お仕事頑張って、涼くん」
言いながら、お母さんらしき女の人のところへ速足で歩いていった。それからさらに、女の子とお母さんらしき女の人は、がっちりとした体形の男の人と合流して。そして女の子が何かを話し掛けて、男の人が俺の方を向いて、会釈して。
俺も思わず会釈したら、
『あれ……? あの人、どこかで……?』
って思ってしまって。それから、すっと体の向きを変えて歩き出したその時の姿に、
『あ…! あの時の警官……!』
頭によみがえってくる、制服姿。俺が自転車のライトを点け忘れてたのを注意してくれた警官の人だって思った。人当たりが良くて、うっかり点け忘れてただけの俺を注意するだけで済ませてくれたあの。
そう言えば、小学生の娘さんがいて、その子が俺のファンだって言ってたな。ということが、あの『タマキ』って呼ばれてた子がそうなのか。
こうやって思いがけないところで顔を合わすこともあるんだから、やっぱり、普段から自分の行いには気を付けてないとって感じた。特に俺の場合、人気商売なわけで、そういう普段の行いが今の時代、すぐに拡散されることになるからな。
で、その後、
「ねえねえ、涼くんのこと、ネットで流れてるよ!」
家に帰って芙美の家で夕食にしてそれから自宅で風呂に入ってたら、いきなり風呂のドアを開けながら芙美が飛び込んできたんだ。
『そのマネージャーかもしれない人がちゃんとしてないって話』
とか言われて、俺は唖然としてた。ただ、女の子の言うことももっともかもしれない。なんかこれまでそんなに気にせずに何となくでやってきたけど、スタイリストさんなのかマネージャーさんなのかよく分からないっていうのは、本当なら仕事としてはよくないことなんだろう。
それにしたって、どうしてそんなことを……?
戸惑う俺に女の子はさらに言うんだ。
「私、涼くんのファンだから、そういうのちゃんとしてほしいと思う。でないと涼くんが可哀想」
真面目な顔で、真っ直ぐに俺を見上げて。だから俺も、片膝を着いて視線を合わせて、
「ありがとう。心配してくれたんだね。だけど今のところは何か困ったことなかったから大丈夫だよ。でも、これからも大丈夫なように、ちゃんとするようにお願いしてみるね」
そう丁寧に応えさせてもらった。すると女の子は、
「本当? じゃあいい。涼くん、応援してる。頑張って」
嬉しそうに。そこに、
「タマキ、いくよ」
声が掛けられて、
「はい!」
女の子が応えて、
「じゃあね。お仕事頑張って、涼くん」
言いながら、お母さんらしき女の人のところへ速足で歩いていった。それからさらに、女の子とお母さんらしき女の人は、がっちりとした体形の男の人と合流して。そして女の子が何かを話し掛けて、男の人が俺の方を向いて、会釈して。
俺も思わず会釈したら、
『あれ……? あの人、どこかで……?』
って思ってしまって。それから、すっと体の向きを変えて歩き出したその時の姿に、
『あ…! あの時の警官……!』
頭によみがえってくる、制服姿。俺が自転車のライトを点け忘れてたのを注意してくれた警官の人だって思った。人当たりが良くて、うっかり点け忘れてただけの俺を注意するだけで済ませてくれたあの。
そう言えば、小学生の娘さんがいて、その子が俺のファンだって言ってたな。ということが、あの『タマキ』って呼ばれてた子がそうなのか。
こうやって思いがけないところで顔を合わすこともあるんだから、やっぱり、普段から自分の行いには気を付けてないとって感じた。特に俺の場合、人気商売なわけで、そういう普段の行いが今の時代、すぐに拡散されることになるからな。
で、その後、
「ねえねえ、涼くんのこと、ネットで流れてるよ!」
家に帰って芙美の家で夕食にしてそれから自宅で風呂に入ってたら、いきなり風呂のドアを開けながら芙美が飛び込んできたんだ。
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