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第二幕
モデル仲間としてね
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こうして芙美の家でうどんを食べて風呂に入って自分の家に帰って俺の一日は終わったんだけど、
『今日は本当にごめんなさい』
千裕さんからのメッセージは、帰りの車の中から続いてて。自分の所為で遅くなってしまったんだと感じたみたいだ。
だから俺は、自分の部屋に戻った時にメッセージが入った時に、メッセージを返すんじゃなくて、普通に電話した。すると、千裕さんは慌てた感じで、
「はい! ごめんなさい、私……!」
電話がつながった瞬間にそう口走って、そんな彼女に、俺は、
「メッセージでも言ったけど、たぶんあれば千裕さんの所為じゃないよ。どっちかって言ったら監督さんの拘りの所為かな。きっとそこまで拘る必要はなかったんだ。最初の予定では。だけど俺が一発で決めちゃったもんだから欲が出たんだと思う。『自分の納得のいくものを作りたい』って。
だけどそれはきっと監督さんの自己満足で、PVに使える部分だけを撮れればよかっただけだと思うんだ。だって、本当にアクションがすごいのを撮ろうと思ったら、俺達みたいなただのモデルじゃなくて、しっかりアクションができる役者の人を使うと思うんだよ。なのにそうじゃなかったから、クオリティはきっと二の次だったんだって気がする。だから千裕さんは悪くない。俺から見てもアクションはカッコよかった。いい動きしてたって感じる。だから謝らなくていいよ」
俺がそう話してる間、千裕さんは泣いてたみたいだった。何度もしゃくりあげる様子が伝わってきた。安心して緊張が解けてしまったんだろうな。
実は、芙美からも、
「その千裕ってコ、きっとメチャクチャ自己嫌悪ってると思うから、ちゃんとフォローしたげてね。これは命令。モデル仲間なんだったら大事にしないと今後の仕事にも差し障ると思うからね」
って言われてたんだ。だからしっかりフォローしなきゃって思って。
「ありがとう……ありがとう……涼くん……」
しゃくりあげながらそう言ってる千裕さんが、スマホを持ったまま何度も頭を下げる姿が想像できた。
不器用だけどいいコだよなって俺も思った。
性格的にはあんまりモデルとかには向いてると思わないけど、やっぱり彼女も<千葉アクションスタジオ>に通って特訓して、撮影に臨んだそうだ。時間が俺とはズレてたから顔を合わすことはなかったけど。
それくらい、ちゃんと努力もしてるんだ。それが報われてほしいと俺も思うし、彼女の努力を知ってるなら、それを労いたいと思うんだ。
モデル仲間としてね。
『今日は本当にごめんなさい』
千裕さんからのメッセージは、帰りの車の中から続いてて。自分の所為で遅くなってしまったんだと感じたみたいだ。
だから俺は、自分の部屋に戻った時にメッセージが入った時に、メッセージを返すんじゃなくて、普通に電話した。すると、千裕さんは慌てた感じで、
「はい! ごめんなさい、私……!」
電話がつながった瞬間にそう口走って、そんな彼女に、俺は、
「メッセージでも言ったけど、たぶんあれば千裕さんの所為じゃないよ。どっちかって言ったら監督さんの拘りの所為かな。きっとそこまで拘る必要はなかったんだ。最初の予定では。だけど俺が一発で決めちゃったもんだから欲が出たんだと思う。『自分の納得のいくものを作りたい』って。
だけどそれはきっと監督さんの自己満足で、PVに使える部分だけを撮れればよかっただけだと思うんだ。だって、本当にアクションがすごいのを撮ろうと思ったら、俺達みたいなただのモデルじゃなくて、しっかりアクションができる役者の人を使うと思うんだよ。なのにそうじゃなかったから、クオリティはきっと二の次だったんだって気がする。だから千裕さんは悪くない。俺から見てもアクションはカッコよかった。いい動きしてたって感じる。だから謝らなくていいよ」
俺がそう話してる間、千裕さんは泣いてたみたいだった。何度もしゃくりあげる様子が伝わってきた。安心して緊張が解けてしまったんだろうな。
実は、芙美からも、
「その千裕ってコ、きっとメチャクチャ自己嫌悪ってると思うから、ちゃんとフォローしたげてね。これは命令。モデル仲間なんだったら大事にしないと今後の仕事にも差し障ると思うからね」
って言われてたんだ。だからしっかりフォローしなきゃって思って。
「ありがとう……ありがとう……涼くん……」
しゃくりあげながらそう言ってる千裕さんが、スマホを持ったまま何度も頭を下げる姿が想像できた。
不器用だけどいいコだよなって俺も思った。
性格的にはあんまりモデルとかには向いてると思わないけど、やっぱり彼女も<千葉アクションスタジオ>に通って特訓して、撮影に臨んだそうだ。時間が俺とはズレてたから顔を合わすことはなかったけど。
それくらい、ちゃんと努力もしてるんだ。それが報われてほしいと俺も思うし、彼女の努力を知ってるなら、それを労いたいと思うんだ。
モデル仲間としてね。
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