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タムテル
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そうして、ミコナとルイネとエンファが穏やかな時間を過ごしている一方で、その男の子は、公園の隅に座り込んで何かをしていました。
あの、ミコナのクラスで<宇宙人役>をすることになった男子生徒でした。
彼の名前はタムテル。勉強も運動も特に目立ったところのない、一見すればごく普通の男の子です。
その彼が、今、何をしているかと言うと、拾った小枝をアリの巣に差し込んでアリが出入りできないようにしてその様子をただ眺めていただけでした。
「……」
冷たい目で彼が見詰める先で、巣に戻ろうとするアリが戻れなくて右往左往しています。そこにさらにアリが戻ってきて、巣穴を塞いでいる小枝の周りを取り囲んだり小枝を登ったりしていました。
中には、穴を広げようとしているのか、小枝の周りの土を咥えて運び出そうとするものも。
するとタムテルは、自分の周りにある土を手で掴んで、小枝の根元に掛けたんです。アリが土を運び出そうとしているのを邪魔するかのように。
そこに、
「タムテル! 何してんの!? 土なんか触らないで!」
結構きつい感じで声が掛けられました。
「……」
名前を呼ばれた彼が振り向いた先にいたのは、声の印象そのままのきつい感じの女の人でした。タムテルの母親でした。
「もうすぐ塾の時間でしょ! 早く用意しなさい!」
母親は、やっぱりきつい口調で彼に命令します。
「……」
タムテルは黙ったまま立ち上がり、手についた土をズボンで掃おうとします。けれどそれに対しても母親は、
「やめて! 洗濯するのはママなんだからね! 汚さないで! そこで手を洗ってらっしゃい!」
公園の中の水場を指差して命令したのでした。
あの、ミコナのクラスで<宇宙人役>をすることになった男子生徒でした。
彼の名前はタムテル。勉強も運動も特に目立ったところのない、一見すればごく普通の男の子です。
その彼が、今、何をしているかと言うと、拾った小枝をアリの巣に差し込んでアリが出入りできないようにしてその様子をただ眺めていただけでした。
「……」
冷たい目で彼が見詰める先で、巣に戻ろうとするアリが戻れなくて右往左往しています。そこにさらにアリが戻ってきて、巣穴を塞いでいる小枝の周りを取り囲んだり小枝を登ったりしていました。
中には、穴を広げようとしているのか、小枝の周りの土を咥えて運び出そうとするものも。
するとタムテルは、自分の周りにある土を手で掴んで、小枝の根元に掛けたんです。アリが土を運び出そうとしているのを邪魔するかのように。
そこに、
「タムテル! 何してんの!? 土なんか触らないで!」
結構きつい感じで声が掛けられました。
「……」
名前を呼ばれた彼が振り向いた先にいたのは、声の印象そのままのきつい感じの女の人でした。タムテルの母親でした。
「もうすぐ塾の時間でしょ! 早く用意しなさい!」
母親は、やっぱりきつい口調で彼に命令します。
「……」
タムテルは黙ったまま立ち上がり、手についた土をズボンで掃おうとします。けれどそれに対しても母親は、
「やめて! 洗濯するのはママなんだからね! 汚さないで! そこで手を洗ってらっしゃい!」
公園の中の水場を指差して命令したのでした。
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