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エピローグ
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T大農学部研究室は、塚口の服毒自殺と津山への事情徴収で、いっときは解散の憂き目に遭ったらしい。だが、
「塚口先生、遺書の中で津山先生への関与を一切書いてなかったらしい」
翌日、ホテルニューコタニで一緒に朝食をとりながら、地方紙の一面を飾ったニュースを見て、石崎はため息を着いた。
「それから、これ…夕べ遅く、届いた塚口先生からのメール」
「…ん」
向かい側の柳川は、彼が差し出した携帯電話を大事そうに受け取って、メールへ目を通す。
『柳川君の推測は間違ってはいないが、津山教授と川村会長の、五十年前からの『関係』。川村会長の当時の研究の成果…副産物とはいえ生まれた『発明』を、当時の教授たちが津山の研究成果だと勘違いして津山のものとした発表してしまったこと…が原因の一つである。川村がどうしてそこまでを知り得たのかは分からないが、修士論文に関するデータが著しく不備であったのは間違いなく、ために彼の祖父と津山の五十年前のことまで持ち出して、何とかしろと僕に迫った全ては僕の一存で、津山先生には関係ないのだ』
と、そこにはあって、
「何のために研究してるんやら」
少し眠れなかったらしく、頭が痛むのだと言う柳川は、苦笑しながら携帯を閉じた。
「お前も、それで悩んだんだろ? だからO大の院を辞めて」
「はいはい、それはもうええねん」
石崎が携帯をしまいながらいうと、彼女は背伸びをして大きく欠伸をした。
そして、
「石崎君、まだ有給は残ってるんやんな?」
いたずらっぽく笑う。
「ああ」
「そやったら、もうちょっと付き合うて?」
「いいぞ。どこへ?」
「三朝温泉。浸かって帰らんとすっきりせん」
(やれやれ)
柳川は、言うなりすぐに立ち上がってレストランを出て行く。微苦笑でもってその後を石崎が追うと、
「おお、いたいた。朝っぱらからすまんのだが」
「権藤さん」
どうやら二人を探していたらしい。これも寝不足の顔で、階段から降りてきた権藤刑事が彼らに声をかけてくる。ぬうっと彼らにジャガイモ顔を近づけたかと思うと、
「…このこと、『手柄』にするつもりはないっちゃ。そんことだけ、言うておこうと思うて」
では、と言い捨て、またあたふたと階段を上っていく。
「…つまり、あれか?」
風のように去っていった権藤に苦笑しながら、
「俺らのことは出さないし、なるだけ穏便に済ませる…ってことか」
石崎が言うと、柳川もまた
「ありがたいけど、ほんま、出世せえへんなあ、あの人」
「同感だ」
二人は顔を見合わせ、また笑う。連れ立って駅へと向かい、
(また、戻ってくる。コイツと一緒に)
ホームへと続く階段を上がりつつ、石崎はほんの少し後ろを振り返った。
…まだ耳に残る、波の音を思い出しながら。
FIN~
「塚口先生、遺書の中で津山先生への関与を一切書いてなかったらしい」
翌日、ホテルニューコタニで一緒に朝食をとりながら、地方紙の一面を飾ったニュースを見て、石崎はため息を着いた。
「それから、これ…夕べ遅く、届いた塚口先生からのメール」
「…ん」
向かい側の柳川は、彼が差し出した携帯電話を大事そうに受け取って、メールへ目を通す。
『柳川君の推測は間違ってはいないが、津山教授と川村会長の、五十年前からの『関係』。川村会長の当時の研究の成果…副産物とはいえ生まれた『発明』を、当時の教授たちが津山の研究成果だと勘違いして津山のものとした発表してしまったこと…が原因の一つである。川村がどうしてそこまでを知り得たのかは分からないが、修士論文に関するデータが著しく不備であったのは間違いなく、ために彼の祖父と津山の五十年前のことまで持ち出して、何とかしろと僕に迫った全ては僕の一存で、津山先生には関係ないのだ』
と、そこにはあって、
「何のために研究してるんやら」
少し眠れなかったらしく、頭が痛むのだと言う柳川は、苦笑しながら携帯を閉じた。
「お前も、それで悩んだんだろ? だからO大の院を辞めて」
「はいはい、それはもうええねん」
石崎が携帯をしまいながらいうと、彼女は背伸びをして大きく欠伸をした。
そして、
「石崎君、まだ有給は残ってるんやんな?」
いたずらっぽく笑う。
「ああ」
「そやったら、もうちょっと付き合うて?」
「いいぞ。どこへ?」
「三朝温泉。浸かって帰らんとすっきりせん」
(やれやれ)
柳川は、言うなりすぐに立ち上がってレストランを出て行く。微苦笑でもってその後を石崎が追うと、
「おお、いたいた。朝っぱらからすまんのだが」
「権藤さん」
どうやら二人を探していたらしい。これも寝不足の顔で、階段から降りてきた権藤刑事が彼らに声をかけてくる。ぬうっと彼らにジャガイモ顔を近づけたかと思うと、
「…このこと、『手柄』にするつもりはないっちゃ。そんことだけ、言うておこうと思うて」
では、と言い捨て、またあたふたと階段を上っていく。
「…つまり、あれか?」
風のように去っていった権藤に苦笑しながら、
「俺らのことは出さないし、なるだけ穏便に済ませる…ってことか」
石崎が言うと、柳川もまた
「ありがたいけど、ほんま、出世せえへんなあ、あの人」
「同感だ」
二人は顔を見合わせ、また笑う。連れ立って駅へと向かい、
(また、戻ってくる。コイツと一緒に)
ホームへと続く階段を上がりつつ、石崎はほんの少し後ろを振り返った。
…まだ耳に残る、波の音を思い出しながら。
FIN~
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