ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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不器用だから

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 夜明け前の魔王軍に進撃も、ドゥケの<活躍>でまた退けることができた。
 だけど、今回もまた、私達はあいつに助けられた形だった。私もまた今回だけで六体の敵を倒すことができたのに、気分は晴れなかった。
「浮かない顔ね。そんなんじゃせっかくの勝利が台無しよ?」
 鎧と剣を手入れを済ませて湯あみをして何となく庭でぼうっとしてたら、不意にそんな風に声を掛けられた。ハッと思って視線を上げるとそこにいたのはリデムだった。
『綺麗な女性ひとだな…』
 すらっとした体をしているのに出るべきところは出てて、<女性の色香>っていうのはそれこそこういうのを指すんだろうなっていうのがすごく分かる感じの女性だった。しかも大きな瞳に長い睫に艶やかな唇。女という意味でも私なんて足元にも及ばないって気がする。毅然とした美しさのライアーネ様とはまた違った美しさだ。
「あの…何か御用でしょうか…?」
 座っていたら失礼かと思って立ち上がろうとしたら、
「いいのいいの、座って。私も座るから」
 とそっと私の体に触れながらリデムが隣に座った。私も戸惑いながらまた座る。
 別に遠慮とかしてた訳じゃないけどこうやって話をするのは初めてだった。何となく話し掛けにくいって言うか。
 ゆるりとした風が流れて、いい匂いがふわっと広がるのが分かった。リデムの体から出てる匂いだった。なんかもう、ありとあらゆる点で次元が違う気がした。
 そのリデムが私を見詰めてる。気まずくて視線は合わせられないけど、この女性ひと、こんな感じだったっけ?とは思ってしまった。いつもはもっとツンとした感じだった気がするのに。
 そんなことを考えてた私に、リデムが言った。
「私が話し掛けてきたのが不思議?」
 図星を突かれて思わず彼女を見てしまった。すると美麗な顔がふふっと緩んで、またいい匂いが漂ってきた気がした。
「ドゥケがね、あなたのことを気にしてたの」
 意外な言葉に「…え?」と声まで漏れてしまう。そうしたら彼女はさらに微笑んで。
「ごめんね。ドゥケってああ見えて意外に不器用だから。精一杯女の子にウケがいいようにと思ってるみたいだけど、ちょっとずれてるでしょ? でもああいう人なの。だからちょっとだけ大目に見てあげてくれないかな」
「…そんな……よく、分かりません……」
 不器用…? あれって不器用とかそういうことなの?
 リデムに言われたことがまったくピンと来なくて、私は混乱するしかなかった。
 彼女はさらに続ける。
「私が彼に出会った時の話なんだけどね……」

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