ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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何が正しいのか

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 ポメリアの世話を終えて私が自室に戻ろうとしたその時、またリデムが魔王軍の進撃を察知した。急遽、当番の部隊がドゥケを先頭に出撃していく。この時私は当番じゃなかったから陣地で待つことになった。もし応援要請があれば出なきゃいけないから遊んでいていい訳じゃない。鎧をチェックし剣を改めてチェックし、いつでも出られるように準備は整えた。
 同室のアリエータとテルニナは出撃している。彼女らが無事に帰ることを願った。
 すると、私と同じようにいつでも出撃できるように準備を整えて待機してた女の子が一人、イライラした様子で爪を噛んでるのが分かった。
 どうしたんだろうと思って何となくその子の様子を見てると、一緒に待機してたソーニャが話し掛けてくる。
「今日、彼女がドゥケ様の夜伽をする筈だったんだよ。彼女も初めての夜伽で、ずっと前からすごく楽しみにしてた。今日、できなかったとしたら早くても次は一ヶ月後かな。もし私も同じように夜伽の日にこんなことになったらキレちゃうかもね」
 だって。
 私は言った。
「ごめん…私にはその気持ちは分からない…彼のことがどうしてそんなに想えるのかどうしても分からないんだ……ねえ、これって私がおかしいの? 私が普通じゃないの…? 私…ここにいていいのかな……」
 普通に考えれば私は騎士なんだから、騎士として国と民を守る為に戦えばそれでいい筈なんだ。それが私の役目だった筈だ。それなのに、ここにいるとそれだけじゃダメなの?って思ってしまう。私達の上に国王陛下のように君臨するドゥケに忠誠を誓って自分の純潔さえ捧げないとダメなのかって気にさえなってきてしまうんだ。
 そうじゃない。そんな筈ないって自分に言い聞かせてきたけど、みんながみんな、彼に心酔しきってる。ポメリアに至っては『彼の心を守って』とかまで言ってくる。そんなの口から出まかせだって思いたいのに、ポメリアの縋るような目を見てたら割り切れなくなってしまった。
「分からない…私にはもう何が正しいのか分からない……!」
 頭を振って自分の膝に置いた拳を握り締めながら私は言った。すると私は自分の体が抱き寄せられるのを感じてしまった。ハッと思って顔を上げると、ソーニャが私を抱き締めて顔を覗き込んでるのが分かった。
「前にも言ったけど、私達はあくまで自分からドゥケ様に自らを捧げてるの。だからそれを望んでない人まで強要はしないんだよ。だってそうでしょ? 青菫あおすみれに入ればドゥケ様に全てを捧げるのが義務だったら、入る前に聞かされないとおかしいじゃん。だけどそんな話されなかったでしょ?」
 ……確かに。そんな話、匂わされることもなかった。
 ソーニャは続ける。
「私達がドゥケ様を愛してるのは、理屈じゃないんだ。どうしようもなくあの方が愛おしいの。それが何故か分かってるコの方が少ないんじゃないかな。ただ、すごく感じるんだ。私達がこうして守って差し上げないとダメなんだって感じるんだよ」

 それは、ポメリアが言ってたことにも通じる言葉のような気がしたのだった。

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