ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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王都からの指令書

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 その日、王都から念話が届いた。念話が使えるリデムと他二人が受けた内容は一致し、間違いなく王都からのものだと確認された。
 念話は、どうしても受けた人間にしか分からないものなので、万が一にも思い違いなどで内容が間違って伝わったり、場合によっては悪意などで内容が捻じ曲げられたりということも有り得るので、特に重要なものの場合は最低三人が受けて内容を確認の上で伝えることになってる。
 他の魔法と違って本人に資質さえあれば魔法使いでなくても念話は使えるようになる。青菫あおすみれ騎士団に同道している本職の魔法使いは今はリデムだけなので、他の二人は騎士団員の中で念話の適性があったコが担当してる。
 ライアーネ様が皆を集めて軍議を行うことになった。普段は団長のライアーネ様と各小隊の隊長クラスだけが参加するそれに、騎士団員全員が集められた。それは何か重大なことだと誰もが緊張した。
 庭に全員が集められ、ライアーネ様が声を上げる。
「王都からの指令書だ。我々はこれより遊撃隊として、友軍が苦戦している戦場を転戦することになる!」
 その言葉に、皆がざわめいた。
「遊撃隊…?」
「転戦…?」
「え? それじゃ宿営地もテントでってこと…?」
「そんなあ…!」
 ざわざわと皆が口々に話し始める。しばらくその様子を見ていたライアーネ様だったけど、やがてきりりと引き締まった顔で再度声を上げた。
「諸君らの言いたいことは分かる。しかし諸君らも知っての通り、勇者様が次々と魔王軍に倒され、残る勇者はドゥケ様と他数名となってしまった。その為、多くの同胞が苦しい戦いを強いられている。そんな中でも我が青菫《あおすみれ》騎士団だけはドゥケ様のお力により連戦連勝なのだ。
 これは、王国の危機に際し、我らだけが楽な戦いをしている状態だと言える。苦しんでいる同胞達もいる中でこのようなことが許される筈もない。
 我らも応分の働きをしなければならないと私は思う。よって、私は喜んでこの任を拝命する。
 もし、これに異議ある者は辞退してくれても構わない。それは騎士団からの退団も意味するが、これまでより過酷な任務となることは必定。強要することはできない。退団することになっても責められることはない。年老いた親や幼い弟妹を郷里に残してきている者もいる。あえてそれらの下に帰ることも勇気だと私は思う。
 だが、それでもなお、私と共に来てくれる者は、夕食の後、再びこの場に集まってくれ」
 その言葉を残し、ライアーネ様は踵を返して宿舎へと消えた。夕食をとる為だと思う。そして皆も別れて、それぞれ夕食をとることになった。

 それから、夕食の後で再び庭に集まったのは、青菫あおすみれ騎士団員三十余名、ほぼ全員だった。辞退者は僅か三人。いずれも、老いた親や弟妹を残して来た者達だった。

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