ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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死なないで

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『やめて…!!』
 地上に向かってブレスを吐こうとしてると感じた私は、思わずそう叫ぼうとした。
 もちろん私がそんなこと懇願したってドラゴンが聞き入れる筈がないのは分かってる。だけど叫ばずにはいられなかった。仲間がドラゴンのブレスで焼き尽くされるなんて、想像するのもたまらなかったから。
 でもその時、私の目は意外なものを捉えていた。
「ドゥケ…!」
 ポメリアがそう叫んだ。確かに彼だった。彼が、ドラゴンの頭のすぐ脇に突然姿を現したんだ。
 そうか、リデムの転移魔法…!
 転移魔法は、<自分がかつていったのことのある場所>、<具体的な位置を念話とかで教わった場所>に転移できるというものだけど、自分の視界の範囲内なら別に空中にだって自分や他人を転移させられるものだった。だからドゥケをドラゴンの頭のところに転移させたんだとピンときた。
「ふんっ!!」
 たぶん、転移してもらう前に溜めに溜めておいた力をすべて切っ先に込めて、彼は剣をドラゴンの真っ赤な目玉に突き立てたのだった。
 するとそれは、ぞぶりとドラゴンの目玉を貫いた。頑丈な瞼を閉じる前に。
 グゥアアアアアアガアーッッ!!
 爆音みたいなドラゴンの悲鳴が、口から奔り、その衝撃で私は意識が遠くなっていく。たぶんポメリアもそうだったと思う。
 意識が遠のく寸前、私の視界の隅でドゥケが地上に落ちていくのが見えたのだった。
『ドゥケ…死なないで……』



 どれくらい時間が経ったんだろう。体中が痛いし顔が酷く冷たくて私はハッと意識を取り戻してた。すると痛いくらいに冷たい風が顔に叩きつけてくる。空を飛んでるんだ。見れば私とポメリアはまだドラゴンに掴まれたまま、空を飛んでた。
 ポメリアは…ポメリアは大丈夫なの……!?
 と思ったけど、触れ合ったところから彼女の脈が感じられるし体は温かい。まだ大丈夫みたいだ。私もドラゴンに握られたままだからか体は痛いし咆哮をもろに耳にしたからか耳もまだあまり聞こえない感じだけど、それ以外は骨が折れてたり怪我をしたところもなさそうだった。
『ドゥケは大丈夫だったのかな……』
 彼のことも心配だったものの、今は無事を信じるしかない。あのくらいじゃ死なないって。
 それにしても、このドラゴンはどこに向かってるんだろう……
 なんて考えてたら、ドラゴンが急に体を捻って方向転換した。体に緊張が走ったのが分かる。
『な…なに? 何なの…!?』
 焦った私の目に、もう一つの巨大な影が…!
『う…嘘……またドラゴン…!?』
 そう。ドラゴンだった。私とポメリアを掴んだドラゴンの前に立ち塞がるみたいにして、また別のドラゴンが現れたんだ。

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