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集落
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本来ならすごく追い詰められた危険な状態だった筈なのに、カッセルが加わったこともあってなんだか微妙に気楽なキャンプ生活を続けてるような気分になっていた。
ああ、よくないよくない。油断しすぎるのはよくない。もし万が一にもあのドラゴンみたいのがまた現れたら、それこそひとたまりもないはずだから。そういう意味では今も十分、危険なんだ。
それでも、倒木を乗り越える時なんかに、
「お気をつけて」
とか、手を差し出しながら優しい笑顔を向けられちゃったら、さすがにね。
『ドゥケもこんな感じだったらあんなに反発しなくて済んだのにな…』
なんて思っちゃう。
そしてカッセルと合流して十日が過ぎた頃、
「村だ…!」
森が途切れたところから少し下った辺りに、いくつかの人家が集まった集落が見えた。人がいる気配がないから住人達は避難してしまったんだろうけど、少なくともこれで王都に向かう道が見付かるに違いない。
私はホッとしてなんだか力が抜けるのを感じた。
三人で緩い坂を下って村に入ると、やはり家は傷み人が住んでる様子もなかった。それでも人の暮らしの痕跡があるというだけでも今は嬉しい。
「こっちの家は傷みも少なくて使えそうです。まだ日は高いですが、改めて移動するには少し遅いかもしれない。今日はここで休んでいきましょう。井戸はしばらく使っていないようで飲むには適さないかもしれないですが、かまども使えますから、湯を沸かせば湯あみくらいはできるでしょう」
とか、カッセルってば本当に気が利くなあ。
しかも、しばらく使ってなかった為に水が濁ってしまってた井戸からそれを汲み出して捨て、ある程度澄んだ水が出るようになるようにまでしてくれた。
ここでも<勇者>としての体の強さが役に立った。私じゃ、その作業だけで一日仕事だろうし何度も休憩を挟まないとできなかったと思う。
家の外の湯あみ用の小屋にポメリアと二人で入って、久しぶりのあったかいお湯による湯あみを楽しんだ。
「はあ~、生き返るわ~…」
なんて言葉が勝手に漏れてしまう。汗を流すだけだったのをしっかりと洗って、
「ねえポメリア、臭いとれてる?」
って体の臭いを嗅いでもらったりした。私もポメリアの匂いを嗅いであげて、
「うん、大丈夫。いい匂い」
とか言ったりして。
だけどその時、私は何とも言えないゾクッとしたしたものを感じた。
「…なにこれ…、殺気…?」
小屋の外に何かがいて、それが私達に強い殺気を向けてるのが分かった。
『まさか…、カッセル…?』
そんなことは思いたくなかったけど、今、ここには私とポメリア以外には彼しかないはず。
信じたくない気持ちもありつつ剣を構えた私は、扉を僅かに開けて外を見た。
だけどその私の目に映ったのは、剣を構えて切りかかる、<女の子>の姿なのだった。
ああ、よくないよくない。油断しすぎるのはよくない。もし万が一にもあのドラゴンみたいのがまた現れたら、それこそひとたまりもないはずだから。そういう意味では今も十分、危険なんだ。
それでも、倒木を乗り越える時なんかに、
「お気をつけて」
とか、手を差し出しながら優しい笑顔を向けられちゃったら、さすがにね。
『ドゥケもこんな感じだったらあんなに反発しなくて済んだのにな…』
なんて思っちゃう。
そしてカッセルと合流して十日が過ぎた頃、
「村だ…!」
森が途切れたところから少し下った辺りに、いくつかの人家が集まった集落が見えた。人がいる気配がないから住人達は避難してしまったんだろうけど、少なくともこれで王都に向かう道が見付かるに違いない。
私はホッとしてなんだか力が抜けるのを感じた。
三人で緩い坂を下って村に入ると、やはり家は傷み人が住んでる様子もなかった。それでも人の暮らしの痕跡があるというだけでも今は嬉しい。
「こっちの家は傷みも少なくて使えそうです。まだ日は高いですが、改めて移動するには少し遅いかもしれない。今日はここで休んでいきましょう。井戸はしばらく使っていないようで飲むには適さないかもしれないですが、かまども使えますから、湯を沸かせば湯あみくらいはできるでしょう」
とか、カッセルってば本当に気が利くなあ。
しかも、しばらく使ってなかった為に水が濁ってしまってた井戸からそれを汲み出して捨て、ある程度澄んだ水が出るようになるようにまでしてくれた。
ここでも<勇者>としての体の強さが役に立った。私じゃ、その作業だけで一日仕事だろうし何度も休憩を挟まないとできなかったと思う。
家の外の湯あみ用の小屋にポメリアと二人で入って、久しぶりのあったかいお湯による湯あみを楽しんだ。
「はあ~、生き返るわ~…」
なんて言葉が勝手に漏れてしまう。汗を流すだけだったのをしっかりと洗って、
「ねえポメリア、臭いとれてる?」
って体の臭いを嗅いでもらったりした。私もポメリアの匂いを嗅いであげて、
「うん、大丈夫。いい匂い」
とか言ったりして。
だけどその時、私は何とも言えないゾクッとしたしたものを感じた。
「…なにこれ…、殺気…?」
小屋の外に何かがいて、それが私達に強い殺気を向けてるのが分かった。
『まさか…、カッセル…?』
そんなことは思いたくなかったけど、今、ここには私とポメリア以外には彼しかないはず。
信じたくない気持ちもありつつ剣を構えた私は、扉を僅かに開けて外を見た。
だけどその私の目に映ったのは、剣を構えて切りかかる、<女の子>の姿なのだった。
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