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まさかこの子も
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「うわあああああっ!」
そんな風に叫びながら剣で切りかかってきたのを、私は桶で弾いてた。もろに受け止めたらさすがにダメだから、逸らす感じで。
すると女の子は、バランスを崩しながらも目だけはこっちを睨みつけて、
「魔族め! 魔族めーっ!!」
ってまた切りかかってくる。
たぶん、十二歳くらいかなって感じのその女の子は、体に対しては大きすぎな鎧を身に付けて、自分の身長の半分よりずっと大きい剣を振り回してた。
私は小屋の扉と桶でそれをしのぎつつ、チャンスを窺う。力強いけど剣筋はでたらめで、すごくムダが多い。こんなことしてたらすぐに力が尽きる筈。
だけど、その女の子は何度も何度も大きすぎる剣に逆に振り回されながらも切りつけてきた。
『この力…しかもこの鎧、まさかこの子も<勇者>なの…!?』
そんな考えが頭をよぎる。いや、たぶん、その通りだ。でもまさか、こんな女の子まで勇者だなんて……
普通の子供なら有り得ないくらいの攻撃を繰り出してたけど、小屋の扉も桶もボロボロだけど、さすがに女の子の動きが鈍くなってきて、私はチャンスと思って、剣を握ったその子の腕を掴んで引っ張り上げた。
地面にしっかりと踏ん張れなくなったその子はバランスを崩して私の体に飛び込むみたいに倒れ込んでくる。
「放せ! 放せーっ!!」
相当疲れてるようにも見えるのにそれでもすごい力で暴れる女の子を、私はギュッと抱き締めた。
「大丈夫! 大丈夫だから! 私達は魔族じゃないから!!」
抱き締めながらそう叫ぶ。
すると女の子はやっと「え?」って顔をして、私を改めて見た。
「大丈夫だよ。私は青菫騎士団のシェリスタ。こっちはヒーラーのポメリア。私達も仲間とはぐれたの」
たぶん、仲間とはぐれた勇者なんだろうなと思ってそう言うと、女の子は少しの間私を見詰めて、それからつぶらな瞳にぶわって感じで涙が溢れてきて、
「ああ…ああああああ~~~~っ!」
って泣き出した。
私は結局裸のままでその子を抱き締めて、
「怖かったんだね。もう大丈夫だよ」
と体を撫でてあげた。
と、そこに、
「何事ですか!?」
って声を上げながらカッセルが。
「あ、あ、失礼しました!!」
私が裸なのに気付いて家の陰に隠れてしまう。私も女の子を抱いたまま、小屋へと引っ込んだ。
「大丈夫ですから、この子も勇者みたいです。はぐれたみたいです」
小屋の中からカッセルに声を掛ける。
「あ、そうですか。良かった。それじゃ僕はもう少し村の探索をしてきます」
と言って走っていく気配が届いた。
「…私達と一緒に湯あみしてさっぱりしよ…?」
それから私は、自分の腕の中で泣きじゃくる、泥まみれ埃まみれの女の子に優しく話し掛けたのだった。
そんな風に叫びながら剣で切りかかってきたのを、私は桶で弾いてた。もろに受け止めたらさすがにダメだから、逸らす感じで。
すると女の子は、バランスを崩しながらも目だけはこっちを睨みつけて、
「魔族め! 魔族めーっ!!」
ってまた切りかかってくる。
たぶん、十二歳くらいかなって感じのその女の子は、体に対しては大きすぎな鎧を身に付けて、自分の身長の半分よりずっと大きい剣を振り回してた。
私は小屋の扉と桶でそれをしのぎつつ、チャンスを窺う。力強いけど剣筋はでたらめで、すごくムダが多い。こんなことしてたらすぐに力が尽きる筈。
だけど、その女の子は何度も何度も大きすぎる剣に逆に振り回されながらも切りつけてきた。
『この力…しかもこの鎧、まさかこの子も<勇者>なの…!?』
そんな考えが頭をよぎる。いや、たぶん、その通りだ。でもまさか、こんな女の子まで勇者だなんて……
普通の子供なら有り得ないくらいの攻撃を繰り出してたけど、小屋の扉も桶もボロボロだけど、さすがに女の子の動きが鈍くなってきて、私はチャンスと思って、剣を握ったその子の腕を掴んで引っ張り上げた。
地面にしっかりと踏ん張れなくなったその子はバランスを崩して私の体に飛び込むみたいに倒れ込んでくる。
「放せ! 放せーっ!!」
相当疲れてるようにも見えるのにそれでもすごい力で暴れる女の子を、私はギュッと抱き締めた。
「大丈夫! 大丈夫だから! 私達は魔族じゃないから!!」
抱き締めながらそう叫ぶ。
すると女の子はやっと「え?」って顔をして、私を改めて見た。
「大丈夫だよ。私は青菫騎士団のシェリスタ。こっちはヒーラーのポメリア。私達も仲間とはぐれたの」
たぶん、仲間とはぐれた勇者なんだろうなと思ってそう言うと、女の子は少しの間私を見詰めて、それからつぶらな瞳にぶわって感じで涙が溢れてきて、
「ああ…ああああああ~~~~っ!」
って泣き出した。
私は結局裸のままでその子を抱き締めて、
「怖かったんだね。もう大丈夫だよ」
と体を撫でてあげた。
と、そこに、
「何事ですか!?」
って声を上げながらカッセルが。
「あ、あ、失礼しました!!」
私が裸なのに気付いて家の陰に隠れてしまう。私も女の子を抱いたまま、小屋へと引っ込んだ。
「大丈夫ですから、この子も勇者みたいです。はぐれたみたいです」
小屋の中からカッセルに声を掛ける。
「あ、そうですか。良かった。それじゃ僕はもう少し村の探索をしてきます」
と言って走っていく気配が届いた。
「…私達と一緒に湯あみしてさっぱりしよ…?」
それから私は、自分の腕の中で泣きじゃくる、泥まみれ埃まみれの女の子に優しく話し掛けたのだった。
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