49 / 105
まさかこの子も
しおりを挟む
「うわあああああっ!」
そんな風に叫びながら剣で切りかかってきたのを、私は桶で弾いてた。もろに受け止めたらさすがにダメだから、逸らす感じで。
すると女の子は、バランスを崩しながらも目だけはこっちを睨みつけて、
「魔族め! 魔族めーっ!!」
ってまた切りかかってくる。
たぶん、十二歳くらいかなって感じのその女の子は、体に対しては大きすぎな鎧を身に付けて、自分の身長の半分よりずっと大きい剣を振り回してた。
私は小屋の扉と桶でそれをしのぎつつ、チャンスを窺う。力強いけど剣筋はでたらめで、すごくムダが多い。こんなことしてたらすぐに力が尽きる筈。
だけど、その女の子は何度も何度も大きすぎる剣に逆に振り回されながらも切りつけてきた。
『この力…しかもこの鎧、まさかこの子も<勇者>なの…!?』
そんな考えが頭をよぎる。いや、たぶん、その通りだ。でもまさか、こんな女の子まで勇者だなんて……
普通の子供なら有り得ないくらいの攻撃を繰り出してたけど、小屋の扉も桶もボロボロだけど、さすがに女の子の動きが鈍くなってきて、私はチャンスと思って、剣を握ったその子の腕を掴んで引っ張り上げた。
地面にしっかりと踏ん張れなくなったその子はバランスを崩して私の体に飛び込むみたいに倒れ込んでくる。
「放せ! 放せーっ!!」
相当疲れてるようにも見えるのにそれでもすごい力で暴れる女の子を、私はギュッと抱き締めた。
「大丈夫! 大丈夫だから! 私達は魔族じゃないから!!」
抱き締めながらそう叫ぶ。
すると女の子はやっと「え?」って顔をして、私を改めて見た。
「大丈夫だよ。私は青菫騎士団のシェリスタ。こっちはヒーラーのポメリア。私達も仲間とはぐれたの」
たぶん、仲間とはぐれた勇者なんだろうなと思ってそう言うと、女の子は少しの間私を見詰めて、それからつぶらな瞳にぶわって感じで涙が溢れてきて、
「ああ…ああああああ~~~~っ!」
って泣き出した。
私は結局裸のままでその子を抱き締めて、
「怖かったんだね。もう大丈夫だよ」
と体を撫でてあげた。
と、そこに、
「何事ですか!?」
って声を上げながらカッセルが。
「あ、あ、失礼しました!!」
私が裸なのに気付いて家の陰に隠れてしまう。私も女の子を抱いたまま、小屋へと引っ込んだ。
「大丈夫ですから、この子も勇者みたいです。はぐれたみたいです」
小屋の中からカッセルに声を掛ける。
「あ、そうですか。良かった。それじゃ僕はもう少し村の探索をしてきます」
と言って走っていく気配が届いた。
「…私達と一緒に湯あみしてさっぱりしよ…?」
それから私は、自分の腕の中で泣きじゃくる、泥まみれ埃まみれの女の子に優しく話し掛けたのだった。
そんな風に叫びながら剣で切りかかってきたのを、私は桶で弾いてた。もろに受け止めたらさすがにダメだから、逸らす感じで。
すると女の子は、バランスを崩しながらも目だけはこっちを睨みつけて、
「魔族め! 魔族めーっ!!」
ってまた切りかかってくる。
たぶん、十二歳くらいかなって感じのその女の子は、体に対しては大きすぎな鎧を身に付けて、自分の身長の半分よりずっと大きい剣を振り回してた。
私は小屋の扉と桶でそれをしのぎつつ、チャンスを窺う。力強いけど剣筋はでたらめで、すごくムダが多い。こんなことしてたらすぐに力が尽きる筈。
だけど、その女の子は何度も何度も大きすぎる剣に逆に振り回されながらも切りつけてきた。
『この力…しかもこの鎧、まさかこの子も<勇者>なの…!?』
そんな考えが頭をよぎる。いや、たぶん、その通りだ。でもまさか、こんな女の子まで勇者だなんて……
普通の子供なら有り得ないくらいの攻撃を繰り出してたけど、小屋の扉も桶もボロボロだけど、さすがに女の子の動きが鈍くなってきて、私はチャンスと思って、剣を握ったその子の腕を掴んで引っ張り上げた。
地面にしっかりと踏ん張れなくなったその子はバランスを崩して私の体に飛び込むみたいに倒れ込んでくる。
「放せ! 放せーっ!!」
相当疲れてるようにも見えるのにそれでもすごい力で暴れる女の子を、私はギュッと抱き締めた。
「大丈夫! 大丈夫だから! 私達は魔族じゃないから!!」
抱き締めながらそう叫ぶ。
すると女の子はやっと「え?」って顔をして、私を改めて見た。
「大丈夫だよ。私は青菫騎士団のシェリスタ。こっちはヒーラーのポメリア。私達も仲間とはぐれたの」
たぶん、仲間とはぐれた勇者なんだろうなと思ってそう言うと、女の子は少しの間私を見詰めて、それからつぶらな瞳にぶわって感じで涙が溢れてきて、
「ああ…ああああああ~~~~っ!」
って泣き出した。
私は結局裸のままでその子を抱き締めて、
「怖かったんだね。もう大丈夫だよ」
と体を撫でてあげた。
と、そこに、
「何事ですか!?」
って声を上げながらカッセルが。
「あ、あ、失礼しました!!」
私が裸なのに気付いて家の陰に隠れてしまう。私も女の子を抱いたまま、小屋へと引っ込んだ。
「大丈夫ですから、この子も勇者みたいです。はぐれたみたいです」
小屋の中からカッセルに声を掛ける。
「あ、そうですか。良かった。それじゃ僕はもう少し村の探索をしてきます」
と言って走っていく気配が届いた。
「…私達と一緒に湯あみしてさっぱりしよ…?」
それから私は、自分の腕の中で泣きじゃくる、泥まみれ埃まみれの女の子に優しく話し掛けたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
転生の水神様ーー使える魔法は水属性のみだが最強ですーー
芍薬甘草湯
ファンタジー
水道局職員が異世界に転生、水神様の加護を受けて活躍する異世界転生テンプレ的なストーリーです。
42歳のパッとしない水道局職員が死亡したのち水神様から加護を約束される。
下級貴族の三男ネロ=ヴァッサーに転生し12歳の祝福の儀で水神様に再会する。
約束通り祝福をもらったが使えるのは水属性魔法のみ。
それでもネロは水魔法を工夫しながら活躍していく。
一話当たりは短いです。
通勤通学の合間などにどうぞ。
あまり深く考えずに、気楽に読んでいただければ幸いです。
完結しました。
元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち
せいめ
恋愛
侯爵令嬢のアンネマリーは流行り病で生死を彷徨った際に、前世の記憶を思い出す。前世では地球の日本という国で、婚活に勤しむアラサー女子の杏奈であった自分を。
病から回復し、今まで家や家族の為に我慢し、貴族令嬢らしく過ごしてきたことがバカらしくなる。
また、自分を蔑ろにする婚約者の存在を疑問に感じる。
「あんな奴と結婚なんて無理だわー。」
無事に婚約を解消し、自分らしく生きていこうとしたところであったが、不慮の事故で亡くなってしまう。
そして、死んだはずのアンネマリーは、また違う人物にまた生まれ変わる。アンネマリーの記憶は殆ど無く、杏奈の記憶が強く残った状態で。
生まれ変わったのは、アンネマリーが亡くなってすぐ、アンネマリーの従姉妹のマリーベルとしてだった。
マリーベルはアンネマリーの記憶がほぼ無いので気付かないが、見た目だけでなく言動や所作がアンネマリーにとても似ていることで、かつての家族や親族、友人が興味を持つようになる。
「従姉妹だし、多少は似ていたっておかしくないじゃない。」
三度目の人生はどうなる⁈
まずはアンネマリー編から。
誤字脱字、お許しください。
素人のご都合主義の小説です。申し訳ありません。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
私が目覚めたのは断罪劇の真っ最中でした
アーエル
ファンタジー
「今北産業、説明ぷりーず」
「「「…………は?」」」
「今北産業、状況説明ぷりーず」
だれか説明してくださいな
☆他社でも公開しています
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした
暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。
役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。
だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。
倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。
やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。
一方、病の裏で糸を引いていたのは………。
“無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。
攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?
mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。
乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか?
前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる