ズルいチート勇者なんか好きになってあげないんだから!

せんのあすむ

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王都に

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 私達がこんな風に首尾よく撤退できたのは、リデムによる支援攻撃のおかげもあった。私達に向かおうとしてる魔族に攻撃を加えて力を削いでくれたんだ。もちろんそんなリデム達も魔族は放っておいてくれなっかったけど、守りの団員達が彼女を守り通してくれていた。
「リデム! 撤退だ! 皆を連れて転移!」
「ポメリアは!?」
「もう無理だ。リリナ達が助けられただけでも幸いだ!」
「だけど…!」
「リデム!!」
「…!?」
 ドゥケに強く諭され、リデムは唇を噛みながら転移魔法の準備を始めた。皆の体が光に包まれ始めた時、ドゥケがその光の輪の外に走り出る。アリスリスを私達の方に放り出しながら。
「ドゥケ!?」
 私は思わず叫んだけど、間に合わなかった。そんな私に彼は、ふわっと微笑みかけてくれた気がした。だけど次の瞬間には、王都の宮殿前の広場に私達は現れていた。ドゥケと、ポメリアを除いて……
「そんな…ドゥケ……!」
 結局、ドゥケとポメリアを残してきてしまったことに気付いて、みんなは悔し涙を流していた。地面に倒れ伏して大声で泣いてる者もいた。リデムも、唇から血が出るくらい噛んで、涙を流していた。
 リリナをはじめ十一人の神妖精しんようせい族の巫女を助け出せた私達だったけど、ドゥケが言ったように団員には一人も戦死者は出なかったけど、その喜びはまるでなかった。
「バカヤロウ! バカヤロウ…!」
 地面に膝をついて両の拳を叩きつけてたのは、アリスリスだった。そんな彼女に寄り添ってたのが、たぶんリリナなんだろうな。
 ポメリアとリリナを奪還した後は王都にこうして転移して体勢を整えて力を蓄えて、それから魔王に決戦を挑む手筈だったそれなのに……
 だけど、ドゥケの狙いも分かる気がする。アリスリスとリリナがいれば、魔王は倒せる。だから二人を私達と一緒に逃がしたんだろう。そして自分は、ポメリアを助ける為、そして何より、人間を裏切って魔王軍についたカッセルを倒し、大きな障害を取り除く為に残ったんだと思う。
 でも……
 でも、心が痛いよ、ドゥケ……!
 けれど、私達はそうやっていつまでも泣いていることも許されなかった。王都に戻ったということは、迅速に体勢を整え力を回復させ、魔王軍との決戦に臨む準備をしなくちゃいけない。でなければ私達はただ逃げ帰ったということになってしまう。
 とは言え、助け出した神妖精族の巫女達の消耗は激しく、とてもすぐには動ける状態になかった。だからとにかく回復に集中する。
 せっかく彼女達を助け出せたのだから、アリスリスとリリナに加え、彼女達にも戦列に加わってもらうことになったのだった。

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