3 / 16
第二話「初陣!仏ナオト、立志の時」
しおりを挟む
ブッダリアの活躍により、巨大妖怪群第1号ダイダラボッチは倒された。ブッダリアはカノンとナオトを乗せたまま、司隊本部へと帰っていく。
ナオト「ところで、カノンさん。」
カノン「カノンでいいわ。何?」
ナオト「司隊本部ってどういう所なの?」
カノン「そう。言いたかった所だわ。知っての通り、かなり神聖で厳かなところだわ。その美しさには、あなたも圧倒されるわ。」
ナオト「へぇ~。どんなところだろう。楽しみだなぁ。」
ブッダリアは、雲を突き抜けながら、飛行していく。海を滑り込むような速さで飛んでいく、ブッダリア。そして、目の前に浮かぶ桃色の島。そう。それが、司隊本部なのだ。
カノン「見えてきた。あれが、司隊本部よ。」
ナオト「どれどれ、わぁ。」
目の前に見えてくる司隊本部。その見た目は、かなり美しく、幻想的だ。辺り一面に桜が咲き、中央には鳥居や本堂が、そして、山頂には巨大な阿弥陀如来像が鎮座している。ブッダリアが司隊本部に到着する。
カノンとともに降りるナオト。朱塗りの本堂に近づくと、そこには赤い和服を纏った女性職員が。
サヤ「カノン。ご苦労さま。その子は何?」
カノン「サヤ。彼はアミーダのパイロットになりたいらしいの。だから、司隊本部を案内してほしいの。」
サヤ「そう。いいわ。あなたが、アミーダのパイロット候補ね。私は伊邪那美サヤ。司隊の戦闘指揮官よ。どうぞよろしくね。カノン。あなたは任務が完了したから、帰っていいわ。」
ナオト「仏ナオトです。よろしくお願いします。」
サヤ「じゃあ、ナオト。ついてきて。」
サヤについていくナオト。辺り一面、金色の仏像などが並んでいる廊下を歩いていく。そして、厳かな会議室に辿り着くナオトとサヤ。そして、サヤと面談をするナオト。
サヤ「仏ナオト。あなたは、釈迦如来の孫として、神仏郷に生まれる。母親の看病代を稼ぐために、法話で働き、その後忽然と姿を現した巨大妖怪群に家族を追われ、家族の仇をとるために、アミーダのパイロットを志す。そうね?」
ナオト「はい。何としても、家族の仇を取り、仏教世界を救いたいんです。」
サヤ「そう。ならいいわ。知っての通りだけど、仏教世界を救うために、アミーダに乗るということは、かなりの覚悟が必要だわ。それだけは、頭に入れておいてほしいわ。」
ナオト「はい。」
サヤ「では、司隊の指揮をとる漣隊長の元へ案内するわ。こっちへ。」
続いて、ナオトは司隊を指揮する漣ゴウの元へ向かう。ゴウは、坊主頭に住職の服を着込み、さながら僧侶のような様相をしていた。ナオトは、ゴウに挨拶する。
ゴウ「どうぞ宜しく。私は司隊司令、漣ゴウだ。」
ナオト「仏ナオトです。よろしくお願いします。」
ゴウ「うん。サヤからお聞きしたが、君は、家族の仇をとり、仏教世界を救うために、アミーダのパイロットになりたい。そういうことらしいね?」
ナオト「もちろんです。」
ゴウ「サヤから聞いていると思うが、アミーダのパイロットになるには、特訓が必要だ。アミーダとの適合率を上げるためのね。カノンも数々の特訓を通し、成長を遂げたのちに、アミーダのパイロットになった。だから、君も、これから特訓してもらう。分かったね?」
ナオト「はい。」
ゴウ「では、特訓は明日行う。君はそれまで待機していてくれ。」
ーーー翌日。ナオトはアミーダのパイロットになる上で、アミーダとの適合率を上げるための特訓を行うことに。ゴウと二人で、道場に向かう。道着を着込み、ゴウと修行に励むナオト。
ゴウ「よし。今日から特訓開始だ。君の適正を見極める。まずは、拳づきだ。私の掛け声とともに、拳を繰り出すんだ。」
ナオト「はい。」
ゴウ、ナオト「せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!」
二人で息を合わせ、拳づきを繰り出す。
ナオト「やあっ!せいっ!…はぁっ。」
汗を流すナオト。
ゴウ「どうした?置いてかれてるぞ。もっと気合いを!せいっ!やあっ!せいっ!」
ナオト「はい…やあっ!やあっ!…はぁ。」
修行の最中、へばってしまうナオト。ゴウはややきつめにいう。
ゴウ「どうした?これでは、アミーダのパイロットになれないぞ。さあ、頑張れ。」
ナオト「が、頑張ります…。」
続いて、ゴウが掌をナオトに出す。
ゴウ「さあ。私の掌に、思いっきり拳を入れてみよ。」
ナオト「はい。やあっ!」
思いっきりゴウの掌に拳をぶつけるナオト。しかし…
ゴウ「どうした?これでは小粒以下だぞ。もっと力を入れてみよ。」
ナオト「はい…やあっ!せいっ!やあっ!」
何度もゴウの掌に拳づきをするナオト。力を入れ、ゴウを唸らせていく。
続いて、ゴウは大小の壺を用意する。それを、拳でかち割るという訓練だ。
ゴウ「続いては、この壺を思いっきりかち割る訓練だ。君の拳が、どれだけの力があるのかを、見極めよう。」
小さい方の壺に拳突きするナオト。
ナオト「行きます。漣隊長。やあっ!」
コンッ!
ナオト「くっ!いったぁ!」
あまりの痛さに手を押さえるナオト。そして、ゴウは。
ゴウ「私の力を見せるぞ!うぉーっ!たあっ!!」
ガシャーーーン!!
ゴウは、ナオトの目の前で、自身の馬鹿力を利用し、大きい方の壺を拳でかち割った。
ナオト「(す、すごい!なんて馬鹿力なんだ!さすが漣隊長!理想の師匠だ!)」
一日目の訓練を終えたその夜。ナオトは、月を眺めながらゴウと話し合っていた。
ゴウ「一日目の訓練、ご苦労だった。今回の訓練は、どうだったかな?」
ナオト「はい。かなり体に応えた気がします。アミーダのパイロットを目指し、頑張っていきたいです。」
ゴウ「そうか。アミーダのパイロットになることは、己の強さを磨くことを意味する。君はいずれ、仏界を守り抜く神にならなければならないからな。なんせ、この世界を創造した、釈迦如来の孫なのだから。創造の神の孫ならば、その意思を受け継がなければならない。」
ナオト「分かっております。漣隊長。僕は、羅刹団を倒し終えたら、必ず、祖父の意思を受け継いだ神になる。そう誓います。」
ゴウ「うむ。君なら出来る。では、明日の訓練に備えて、ゆっくり休んでくれ。」
ナオト「分かりました。漣隊長。お先に失礼します。」
帰路につくナオト。そして、カノンが境内付近で待っていた。どうやら、ナオトの迎えに来ていた模様だ。
ナオト「あっ。カノン。」
カノン「仏くん。訓練、お疲れ様。迎えに来たわ。」
ナオト「悪いね。わざわざ来てもらって。」
カノン「大丈夫よ。さあ、行こう。」
船に乗り、司隊本部を離れ、神仏郷へと向かうナオトとカノン。そして、ライトアップされた仏像や、神々が行き交う繁華街を歩く。すると、ナオトは言う。
ナオト「ところで、カノン。知っての通りだけど、僕の家は、昨日現れた巨大妖怪群に壊されて。実はなくなってしまったんだ。」
カノン「わかっているわ。だから、私の家に案内する。私の家でゆっくりしていって。」
ナオトは、繁華街の一角にあるカノンの家に案内される。
ナオト「お邪魔します。」
カノンの家に上がるナオト。カノンの部屋は、全体的にピンクで統一されており、化粧鏡なお洒落な棚などで、より女の子らしい雰囲気に満ち溢れていた。
ナオト「(わぁ、お洒落。)」
カノン「ちょっとまってて。今お茶入れるから。」
部屋の中で待つナオト。すると、カノンはショートパンツとタンクトップといった露出の高い部屋着に着替え、お茶を用意する。そして、今日のゴウとの特訓についてを話した。
カノン「今日は、訓練ご苦労さま。よく頑張ったそうね。」
ナオト「ありがとう。カノン。自信をつけなくちゃね。」
カノン「私も、訓練はかなり大変だったわ。アミーダのパイロットになるには、相当かかったわ。漣隊長も、かなり厳しくてね。」
ナオト「そうだよね。僕も頑張らなきゃって感じだよ。沢山訓練して、アミーダのパイロットになって、仏界を救う。そして、おじいちゃんの意思を受け継いで、救いの神になる。僕はそうしたいんだ。」
カノン「仏くん。あなたなら、出来るわ。漣隊長にも言われたみたいだけど、あなたは、この仏界を創造した、釈迦如来の孫なんだから。」
ナオト「うん。クンクン(身体の匂いを嗅ぐ)、ひどい汗だ。お風呂、借りるよ。」
カノン「いいわ。ゆっくり入ってきて。」
カノンの風呂を借りるナオト。そこで、ふと自身がアミーダのパイロットになれるかどうかを考える。
ナオト「(本当に、僕にはできるのかな?アミーダのパイロットになって、仏界を救う事が。)」
そして、就寝の時。カノンの隣で寝るナオト。すると、カノンは言う。
カノン「可愛いね。仏くんって。」
ナオト「えっ…。」
カノン「神様だけど、少しお茶目な所がある。そういうところがいい。」
次の瞬間、カノンはナオトの手の上に、自分の手を乗せる。
カノン「明日の訓練、頑張ってね。アミーダのパイロットに、なれるといいね。」
ナオト「う、うん。」
ーーー翌日。再び司隊本部にて、ナオトは前日に引き続き、アミーダのパイロットになるための訓練に励む。ゴウを師範に、前日よりかなりハードな訓練を行うのだった。
ゴウ「よく来てくれた。今回からは訓練が厳しくなる。覚悟は出来ているな?」
ナオト「はい!漣隊長!必ずや!」
ゴウ「では、前回に引き続き、アミーダのパイロットになるための訓練を開始する。決して気を抜かずに!」
ゴウの師範のもと、数々の訓練に励むナオト。ナオトは、木刀の素振り、本部敷地内の外周の長距離走、滝行など、数々の訓練を、汗水垂らしながらこなしていく。
ゴウとの訓練の日々は続き、ナオトは、アミーダのパイロットになるために、負けじと訓練に励んでいくのだった。
そして、長きに渡る猛特訓の末、ナオトは、ようやく司隊への正式入隊が決まり、アミーダのパイロットになった。喜ぶナオト。
ゴウ「おめでとう。ナオト。君は司隊への正式入隊が決まった。君を、アミーダ初ノ型ブッダリアのパイロットに任命する。」
ナオト「ありがとうございます!やったあ、これで僕も、アミーダのパイロットだ!」
本部の中に入り、ナオトはサヤと話し合った。
サヤ「よくやったわね。ナオト。これであなたもアミーダのパイロット。」
ナオト「これで、僕も仏界を守る戦士なんだ!やったぁ、羅刹団を倒せるんだ!」
サヤ「さて。まだ、ここの整備担当の須佐之ハクシにご挨拶していなかったね。先に挨拶しましょうか。」
続いて、ナオトは、白衣に身を包んだアミーダの整備を務める技術士の須佐之ハクシと名乗る青年に挨拶する。彼は、四六時中ずっと研究や整備に携わっていた。サヤがナオトを連れ、ハクシに声をかける。
サヤ「ハクシ~。ちょっといい。」
ハクシ「俺は今、整備で忙しい。なんだ?」
サヤ「あのね、今、ナオトがアミーダのパイロットに任命されたの。あんたが整備したブッダリア、漣隊長の指示の元で、実戦投入されるみたいよ。」
ハクシ「そうか。ん…お前が新しいパイロットだな。仏ナオト。俺はアミーダの整備士。須佐之ハクシだ。よろしくな。」
ナオト「よろしくお願いします。」
ハクシ「まあ、知っての通りだが、俺が開発、整備したブッダリアは、お前が使うことになる。アミーダは極めて特殊だ。神の力を保有し、羅刹団の巨大妖怪群を倒すための兵器として使われる。神仏における唯一の希望なんだ。それに俺は、アミーダの開発や整備だけではなく、仏界における怪異や巨大妖怪群の特性までもを研究している。分からない事があったら何でも聞け。」
質問するナオト。
ナオト「あ、あの。巨大妖怪群は、神仏郷にだけしか現れないんですか?」
ハクシ「まあ、厭魔が仏界の神仏郷を、仏界侵略の手始めとして狙っているだけだ。それに、巨大妖怪群が神仏郷を滅ぼして、それで終わるわけではない。巨大妖怪群は時空移動する能力も兼ね備えている。極楽や天界、如来の地、そして人間界にまで被害が及ぶことになるだろう。そうなる前に、アミーダで手をうっておかなければならないという事だ。」
ナオト「分かりました。僕が必ず手を打ちます。巨大妖怪群を倒し、仏界を救います。」
サヤ「まあ、アミーダに関する説明は以上よ。とりあえず、指示があるまで待機ね。」
ーーーナオトが司隊に正式入隊してから数週間後のことだった。羅刹城で、厭魔が新たなる計画を企てていた。
厭魔「ふん。釈迦如来の孫が、私の計画を邪魔するか。邪魔な者は、必ず排除する。」
すると、厭魔の元へ、女の手下がやってくる。
魔子「厭魔様。」
厭魔の元へやってくるのは、紫のショートカットに、頭には小悪魔のような角、尻尾、上半身はスーツに、下半身はパンツとニーハイブーツといった際どい服装をした女の幹部、魔子であった。魔子は、厭魔に新たなる計画を提言する。
魔子「現状報告です。現在、部下たちが総力を上げ、巨大妖怪群第2号ヒフキボウを完成させました。」
厭魔「そうか。時間になり次第、巨大妖怪群を解き放て。仏界を我がものとするために。」
魔子「はい。厭魔様。必ずや、仏界をあなたに献上します。」
ーーーそして、羅刹団は新たなる巨大妖怪群を神仏郷に放った。それは、頭部が金色で、赤い衣をまとい、身体が硬い触手で形成され、さらには目からは火を噴く、ヒフキボウだった。ヒフキボウは、目から火を噴きながら、神仏郷の建物を、次々と焼き尽くしていく。
司隊本部。巨大妖怪群の出現に伴い、アミーダの出撃準備を急いだ。
隊員「神仏郷第一地区に、巨大妖怪群出現!目標は依然健在!」
隊員「神仏政府より、アミーダの出撃命令が出されました!これより、出撃します!」
隊員「了解!アミーダ初ノ型ブッダリアの発射準備を開始します!」
ブッダリアの発射準備を開始する隊員たち。ナオトは一人、ブッダリアに乗り込む。ブッダリアに、ナオトを乗せた搭乗カプセル、阿弥陀ノ座が挿入される。
カチャッ
隊員「阿弥陀ノ座、挿入!」
サヤ「ナオト。調子はどう?」
ナオト「順調だよ。それに、アミーダの中って、蓮の花の香りがするんだね。」
ハクシ「これは、蓮香(れんこう)だ。戦闘意欲を上げるための精神安定剤だ。それに、アミーダとお前の適合率を上げるためにも、最も重要な役割をしている。」
隊員「発射準備、第2段階!」
アミーダの発射準備を進める隊員たち。スロープを伝っていき、発射台へと辿り着くブッダリア。
隊員「発射口展開!」
ウィーーーーン…
本部敷地内の露天風呂が大きく展開されていく。発射口から、ブッダリアがゆっくりとせり上っていく。カタパルトを固定し、ブッダリアは発射準備を完了させた。
ゴウ「アミーダ、出陣っ!!」
ナオト「阿弥陀仏っ!!!」
ビューーーーーーーッ!!
ゴウの掛け声とともに、ブッダリアが司隊本部を飛び立つ。そして、神仏郷に待ち構えるヒフキボウと対峙する。来たるナオトの初陣。果たして、その勝負の行方は?
つづく
次回予告
初陣。ナオトはゴウとの修行を通し、アミーダのパイロットとなった。しかし、蘇るは禍々しき記憶。恐怖の記憶を追憶する中、彼の祖父の釈迦如来がナオトに問いかける。
次回、「祖父の記憶」
ナオト「ところで、カノンさん。」
カノン「カノンでいいわ。何?」
ナオト「司隊本部ってどういう所なの?」
カノン「そう。言いたかった所だわ。知っての通り、かなり神聖で厳かなところだわ。その美しさには、あなたも圧倒されるわ。」
ナオト「へぇ~。どんなところだろう。楽しみだなぁ。」
ブッダリアは、雲を突き抜けながら、飛行していく。海を滑り込むような速さで飛んでいく、ブッダリア。そして、目の前に浮かぶ桃色の島。そう。それが、司隊本部なのだ。
カノン「見えてきた。あれが、司隊本部よ。」
ナオト「どれどれ、わぁ。」
目の前に見えてくる司隊本部。その見た目は、かなり美しく、幻想的だ。辺り一面に桜が咲き、中央には鳥居や本堂が、そして、山頂には巨大な阿弥陀如来像が鎮座している。ブッダリアが司隊本部に到着する。
カノンとともに降りるナオト。朱塗りの本堂に近づくと、そこには赤い和服を纏った女性職員が。
サヤ「カノン。ご苦労さま。その子は何?」
カノン「サヤ。彼はアミーダのパイロットになりたいらしいの。だから、司隊本部を案内してほしいの。」
サヤ「そう。いいわ。あなたが、アミーダのパイロット候補ね。私は伊邪那美サヤ。司隊の戦闘指揮官よ。どうぞよろしくね。カノン。あなたは任務が完了したから、帰っていいわ。」
ナオト「仏ナオトです。よろしくお願いします。」
サヤ「じゃあ、ナオト。ついてきて。」
サヤについていくナオト。辺り一面、金色の仏像などが並んでいる廊下を歩いていく。そして、厳かな会議室に辿り着くナオトとサヤ。そして、サヤと面談をするナオト。
サヤ「仏ナオト。あなたは、釈迦如来の孫として、神仏郷に生まれる。母親の看病代を稼ぐために、法話で働き、その後忽然と姿を現した巨大妖怪群に家族を追われ、家族の仇をとるために、アミーダのパイロットを志す。そうね?」
ナオト「はい。何としても、家族の仇を取り、仏教世界を救いたいんです。」
サヤ「そう。ならいいわ。知っての通りだけど、仏教世界を救うために、アミーダに乗るということは、かなりの覚悟が必要だわ。それだけは、頭に入れておいてほしいわ。」
ナオト「はい。」
サヤ「では、司隊の指揮をとる漣隊長の元へ案内するわ。こっちへ。」
続いて、ナオトは司隊を指揮する漣ゴウの元へ向かう。ゴウは、坊主頭に住職の服を着込み、さながら僧侶のような様相をしていた。ナオトは、ゴウに挨拶する。
ゴウ「どうぞ宜しく。私は司隊司令、漣ゴウだ。」
ナオト「仏ナオトです。よろしくお願いします。」
ゴウ「うん。サヤからお聞きしたが、君は、家族の仇をとり、仏教世界を救うために、アミーダのパイロットになりたい。そういうことらしいね?」
ナオト「もちろんです。」
ゴウ「サヤから聞いていると思うが、アミーダのパイロットになるには、特訓が必要だ。アミーダとの適合率を上げるためのね。カノンも数々の特訓を通し、成長を遂げたのちに、アミーダのパイロットになった。だから、君も、これから特訓してもらう。分かったね?」
ナオト「はい。」
ゴウ「では、特訓は明日行う。君はそれまで待機していてくれ。」
ーーー翌日。ナオトはアミーダのパイロットになる上で、アミーダとの適合率を上げるための特訓を行うことに。ゴウと二人で、道場に向かう。道着を着込み、ゴウと修行に励むナオト。
ゴウ「よし。今日から特訓開始だ。君の適正を見極める。まずは、拳づきだ。私の掛け声とともに、拳を繰り出すんだ。」
ナオト「はい。」
ゴウ、ナオト「せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!」
二人で息を合わせ、拳づきを繰り出す。
ナオト「やあっ!せいっ!…はぁっ。」
汗を流すナオト。
ゴウ「どうした?置いてかれてるぞ。もっと気合いを!せいっ!やあっ!せいっ!」
ナオト「はい…やあっ!やあっ!…はぁ。」
修行の最中、へばってしまうナオト。ゴウはややきつめにいう。
ゴウ「どうした?これでは、アミーダのパイロットになれないぞ。さあ、頑張れ。」
ナオト「が、頑張ります…。」
続いて、ゴウが掌をナオトに出す。
ゴウ「さあ。私の掌に、思いっきり拳を入れてみよ。」
ナオト「はい。やあっ!」
思いっきりゴウの掌に拳をぶつけるナオト。しかし…
ゴウ「どうした?これでは小粒以下だぞ。もっと力を入れてみよ。」
ナオト「はい…やあっ!せいっ!やあっ!」
何度もゴウの掌に拳づきをするナオト。力を入れ、ゴウを唸らせていく。
続いて、ゴウは大小の壺を用意する。それを、拳でかち割るという訓練だ。
ゴウ「続いては、この壺を思いっきりかち割る訓練だ。君の拳が、どれだけの力があるのかを、見極めよう。」
小さい方の壺に拳突きするナオト。
ナオト「行きます。漣隊長。やあっ!」
コンッ!
ナオト「くっ!いったぁ!」
あまりの痛さに手を押さえるナオト。そして、ゴウは。
ゴウ「私の力を見せるぞ!うぉーっ!たあっ!!」
ガシャーーーン!!
ゴウは、ナオトの目の前で、自身の馬鹿力を利用し、大きい方の壺を拳でかち割った。
ナオト「(す、すごい!なんて馬鹿力なんだ!さすが漣隊長!理想の師匠だ!)」
一日目の訓練を終えたその夜。ナオトは、月を眺めながらゴウと話し合っていた。
ゴウ「一日目の訓練、ご苦労だった。今回の訓練は、どうだったかな?」
ナオト「はい。かなり体に応えた気がします。アミーダのパイロットを目指し、頑張っていきたいです。」
ゴウ「そうか。アミーダのパイロットになることは、己の強さを磨くことを意味する。君はいずれ、仏界を守り抜く神にならなければならないからな。なんせ、この世界を創造した、釈迦如来の孫なのだから。創造の神の孫ならば、その意思を受け継がなければならない。」
ナオト「分かっております。漣隊長。僕は、羅刹団を倒し終えたら、必ず、祖父の意思を受け継いだ神になる。そう誓います。」
ゴウ「うむ。君なら出来る。では、明日の訓練に備えて、ゆっくり休んでくれ。」
ナオト「分かりました。漣隊長。お先に失礼します。」
帰路につくナオト。そして、カノンが境内付近で待っていた。どうやら、ナオトの迎えに来ていた模様だ。
ナオト「あっ。カノン。」
カノン「仏くん。訓練、お疲れ様。迎えに来たわ。」
ナオト「悪いね。わざわざ来てもらって。」
カノン「大丈夫よ。さあ、行こう。」
船に乗り、司隊本部を離れ、神仏郷へと向かうナオトとカノン。そして、ライトアップされた仏像や、神々が行き交う繁華街を歩く。すると、ナオトは言う。
ナオト「ところで、カノン。知っての通りだけど、僕の家は、昨日現れた巨大妖怪群に壊されて。実はなくなってしまったんだ。」
カノン「わかっているわ。だから、私の家に案内する。私の家でゆっくりしていって。」
ナオトは、繁華街の一角にあるカノンの家に案内される。
ナオト「お邪魔します。」
カノンの家に上がるナオト。カノンの部屋は、全体的にピンクで統一されており、化粧鏡なお洒落な棚などで、より女の子らしい雰囲気に満ち溢れていた。
ナオト「(わぁ、お洒落。)」
カノン「ちょっとまってて。今お茶入れるから。」
部屋の中で待つナオト。すると、カノンはショートパンツとタンクトップといった露出の高い部屋着に着替え、お茶を用意する。そして、今日のゴウとの特訓についてを話した。
カノン「今日は、訓練ご苦労さま。よく頑張ったそうね。」
ナオト「ありがとう。カノン。自信をつけなくちゃね。」
カノン「私も、訓練はかなり大変だったわ。アミーダのパイロットになるには、相当かかったわ。漣隊長も、かなり厳しくてね。」
ナオト「そうだよね。僕も頑張らなきゃって感じだよ。沢山訓練して、アミーダのパイロットになって、仏界を救う。そして、おじいちゃんの意思を受け継いで、救いの神になる。僕はそうしたいんだ。」
カノン「仏くん。あなたなら、出来るわ。漣隊長にも言われたみたいだけど、あなたは、この仏界を創造した、釈迦如来の孫なんだから。」
ナオト「うん。クンクン(身体の匂いを嗅ぐ)、ひどい汗だ。お風呂、借りるよ。」
カノン「いいわ。ゆっくり入ってきて。」
カノンの風呂を借りるナオト。そこで、ふと自身がアミーダのパイロットになれるかどうかを考える。
ナオト「(本当に、僕にはできるのかな?アミーダのパイロットになって、仏界を救う事が。)」
そして、就寝の時。カノンの隣で寝るナオト。すると、カノンは言う。
カノン「可愛いね。仏くんって。」
ナオト「えっ…。」
カノン「神様だけど、少しお茶目な所がある。そういうところがいい。」
次の瞬間、カノンはナオトの手の上に、自分の手を乗せる。
カノン「明日の訓練、頑張ってね。アミーダのパイロットに、なれるといいね。」
ナオト「う、うん。」
ーーー翌日。再び司隊本部にて、ナオトは前日に引き続き、アミーダのパイロットになるための訓練に励む。ゴウを師範に、前日よりかなりハードな訓練を行うのだった。
ゴウ「よく来てくれた。今回からは訓練が厳しくなる。覚悟は出来ているな?」
ナオト「はい!漣隊長!必ずや!」
ゴウ「では、前回に引き続き、アミーダのパイロットになるための訓練を開始する。決して気を抜かずに!」
ゴウの師範のもと、数々の訓練に励むナオト。ナオトは、木刀の素振り、本部敷地内の外周の長距離走、滝行など、数々の訓練を、汗水垂らしながらこなしていく。
ゴウとの訓練の日々は続き、ナオトは、アミーダのパイロットになるために、負けじと訓練に励んでいくのだった。
そして、長きに渡る猛特訓の末、ナオトは、ようやく司隊への正式入隊が決まり、アミーダのパイロットになった。喜ぶナオト。
ゴウ「おめでとう。ナオト。君は司隊への正式入隊が決まった。君を、アミーダ初ノ型ブッダリアのパイロットに任命する。」
ナオト「ありがとうございます!やったあ、これで僕も、アミーダのパイロットだ!」
本部の中に入り、ナオトはサヤと話し合った。
サヤ「よくやったわね。ナオト。これであなたもアミーダのパイロット。」
ナオト「これで、僕も仏界を守る戦士なんだ!やったぁ、羅刹団を倒せるんだ!」
サヤ「さて。まだ、ここの整備担当の須佐之ハクシにご挨拶していなかったね。先に挨拶しましょうか。」
続いて、ナオトは、白衣に身を包んだアミーダの整備を務める技術士の須佐之ハクシと名乗る青年に挨拶する。彼は、四六時中ずっと研究や整備に携わっていた。サヤがナオトを連れ、ハクシに声をかける。
サヤ「ハクシ~。ちょっといい。」
ハクシ「俺は今、整備で忙しい。なんだ?」
サヤ「あのね、今、ナオトがアミーダのパイロットに任命されたの。あんたが整備したブッダリア、漣隊長の指示の元で、実戦投入されるみたいよ。」
ハクシ「そうか。ん…お前が新しいパイロットだな。仏ナオト。俺はアミーダの整備士。須佐之ハクシだ。よろしくな。」
ナオト「よろしくお願いします。」
ハクシ「まあ、知っての通りだが、俺が開発、整備したブッダリアは、お前が使うことになる。アミーダは極めて特殊だ。神の力を保有し、羅刹団の巨大妖怪群を倒すための兵器として使われる。神仏における唯一の希望なんだ。それに俺は、アミーダの開発や整備だけではなく、仏界における怪異や巨大妖怪群の特性までもを研究している。分からない事があったら何でも聞け。」
質問するナオト。
ナオト「あ、あの。巨大妖怪群は、神仏郷にだけしか現れないんですか?」
ハクシ「まあ、厭魔が仏界の神仏郷を、仏界侵略の手始めとして狙っているだけだ。それに、巨大妖怪群が神仏郷を滅ぼして、それで終わるわけではない。巨大妖怪群は時空移動する能力も兼ね備えている。極楽や天界、如来の地、そして人間界にまで被害が及ぶことになるだろう。そうなる前に、アミーダで手をうっておかなければならないという事だ。」
ナオト「分かりました。僕が必ず手を打ちます。巨大妖怪群を倒し、仏界を救います。」
サヤ「まあ、アミーダに関する説明は以上よ。とりあえず、指示があるまで待機ね。」
ーーーナオトが司隊に正式入隊してから数週間後のことだった。羅刹城で、厭魔が新たなる計画を企てていた。
厭魔「ふん。釈迦如来の孫が、私の計画を邪魔するか。邪魔な者は、必ず排除する。」
すると、厭魔の元へ、女の手下がやってくる。
魔子「厭魔様。」
厭魔の元へやってくるのは、紫のショートカットに、頭には小悪魔のような角、尻尾、上半身はスーツに、下半身はパンツとニーハイブーツといった際どい服装をした女の幹部、魔子であった。魔子は、厭魔に新たなる計画を提言する。
魔子「現状報告です。現在、部下たちが総力を上げ、巨大妖怪群第2号ヒフキボウを完成させました。」
厭魔「そうか。時間になり次第、巨大妖怪群を解き放て。仏界を我がものとするために。」
魔子「はい。厭魔様。必ずや、仏界をあなたに献上します。」
ーーーそして、羅刹団は新たなる巨大妖怪群を神仏郷に放った。それは、頭部が金色で、赤い衣をまとい、身体が硬い触手で形成され、さらには目からは火を噴く、ヒフキボウだった。ヒフキボウは、目から火を噴きながら、神仏郷の建物を、次々と焼き尽くしていく。
司隊本部。巨大妖怪群の出現に伴い、アミーダの出撃準備を急いだ。
隊員「神仏郷第一地区に、巨大妖怪群出現!目標は依然健在!」
隊員「神仏政府より、アミーダの出撃命令が出されました!これより、出撃します!」
隊員「了解!アミーダ初ノ型ブッダリアの発射準備を開始します!」
ブッダリアの発射準備を開始する隊員たち。ナオトは一人、ブッダリアに乗り込む。ブッダリアに、ナオトを乗せた搭乗カプセル、阿弥陀ノ座が挿入される。
カチャッ
隊員「阿弥陀ノ座、挿入!」
サヤ「ナオト。調子はどう?」
ナオト「順調だよ。それに、アミーダの中って、蓮の花の香りがするんだね。」
ハクシ「これは、蓮香(れんこう)だ。戦闘意欲を上げるための精神安定剤だ。それに、アミーダとお前の適合率を上げるためにも、最も重要な役割をしている。」
隊員「発射準備、第2段階!」
アミーダの発射準備を進める隊員たち。スロープを伝っていき、発射台へと辿り着くブッダリア。
隊員「発射口展開!」
ウィーーーーン…
本部敷地内の露天風呂が大きく展開されていく。発射口から、ブッダリアがゆっくりとせり上っていく。カタパルトを固定し、ブッダリアは発射準備を完了させた。
ゴウ「アミーダ、出陣っ!!」
ナオト「阿弥陀仏っ!!!」
ビューーーーーーーッ!!
ゴウの掛け声とともに、ブッダリアが司隊本部を飛び立つ。そして、神仏郷に待ち構えるヒフキボウと対峙する。来たるナオトの初陣。果たして、その勝負の行方は?
つづく
次回予告
初陣。ナオトはゴウとの修行を通し、アミーダのパイロットとなった。しかし、蘇るは禍々しき記憶。恐怖の記憶を追憶する中、彼の祖父の釈迦如来がナオトに問いかける。
次回、「祖父の記憶」
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

