仏法戦記アミーダ

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第二話「初陣!仏ナオト、立志の時」

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ブッダリアの活躍により、巨大妖怪群第1号ダイダラボッチは倒された。ブッダリアはカノンとナオトを乗せたまま、司隊本部へと帰っていく。

ナオト「ところで、カノンさん。」

カノン「カノンでいいわ。何?」

ナオト「司隊本部ってどういう所なの?」

カノン「そう。言いたかった所だわ。知っての通り、かなり神聖で厳かなところだわ。その美しさには、あなたも圧倒されるわ。」

ナオト「へぇ~。どんなところだろう。楽しみだなぁ。」


ブッダリアは、雲を突き抜けながら、飛行していく。海を滑り込むような速さで飛んでいく、ブッダリア。そして、目の前に浮かぶ桃色の島。そう。それが、司隊本部なのだ。

カノン「見えてきた。あれが、司隊本部よ。」

ナオト「どれどれ、わぁ。」

目の前に見えてくる司隊本部。その見た目は、かなり美しく、幻想的だ。辺り一面に桜が咲き、中央には鳥居や本堂が、そして、山頂には巨大な阿弥陀如来像が鎮座している。ブッダリアが司隊本部に到着する。

カノンとともに降りるナオト。朱塗りの本堂に近づくと、そこには赤い和服を纏った女性職員が。

サヤ「カノン。ご苦労さま。その子は何?」

カノン「サヤ。彼はアミーダのパイロットになりたいらしいの。だから、司隊本部を案内してほしいの。」

サヤ「そう。いいわ。あなたが、アミーダのパイロット候補ね。私は伊邪那美サヤ。司隊の戦闘指揮官よ。どうぞよろしくね。カノン。あなたは任務が完了したから、帰っていいわ。」

ナオト「仏ナオトです。よろしくお願いします。」

サヤ「じゃあ、ナオト。ついてきて。」


サヤについていくナオト。辺り一面、金色の仏像などが並んでいる廊下を歩いていく。そして、厳かな会議室に辿り着くナオトとサヤ。そして、サヤと面談をするナオト。

サヤ「仏ナオト。あなたは、釈迦如来の孫として、神仏郷に生まれる。母親の看病代を稼ぐために、法話で働き、その後忽然と姿を現した巨大妖怪群に家族を追われ、家族の仇をとるために、アミーダのパイロットを志す。そうね?」

ナオト「はい。何としても、家族の仇を取り、仏教世界を救いたいんです。」

サヤ「そう。ならいいわ。知っての通りだけど、仏教世界を救うために、アミーダに乗るということは、かなりの覚悟が必要だわ。それだけは、頭に入れておいてほしいわ。」

ナオト「はい。」

サヤ「では、司隊の指揮をとる漣隊長の元へ案内するわ。こっちへ。」


続いて、ナオトは司隊を指揮する漣ゴウの元へ向かう。ゴウは、坊主頭に住職の服を着込み、さながら僧侶のような様相をしていた。ナオトは、ゴウに挨拶する。

ゴウ「どうぞ宜しく。私は司隊司令、漣ゴウだ。」

ナオト「仏ナオトです。よろしくお願いします。」

ゴウ「うん。サヤからお聞きしたが、君は、家族の仇をとり、仏教世界を救うために、アミーダのパイロットになりたい。そういうことらしいね?」

ナオト「もちろんです。」

ゴウ「サヤから聞いていると思うが、アミーダのパイロットになるには、特訓が必要だ。アミーダとの適合率を上げるためのね。カノンも数々の特訓を通し、成長を遂げたのちに、アミーダのパイロットになった。だから、君も、これから特訓してもらう。分かったね?」

ナオト「はい。」

ゴウ「では、特訓は明日行う。君はそれまで待機していてくれ。」


ーーー翌日。ナオトはアミーダのパイロットになる上で、アミーダとの適合率を上げるための特訓を行うことに。ゴウと二人で、道場に向かう。道着を着込み、ゴウと修行に励むナオト。


ゴウ「よし。今日から特訓開始だ。君の適正を見極める。まずは、拳づきだ。私の掛け声とともに、拳を繰り出すんだ。」

ナオト「はい。」

ゴウ、ナオト「せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!」

二人で息を合わせ、拳づきを繰り出す。

ナオト「やあっ!せいっ!…はぁっ。」

汗を流すナオト。

ゴウ「どうした?置いてかれてるぞ。もっと気合いを!せいっ!やあっ!せいっ!」

ナオト「はい…やあっ!やあっ!…はぁ。」

修行の最中、へばってしまうナオト。ゴウはややきつめにいう。

ゴウ「どうした?これでは、アミーダのパイロットになれないぞ。さあ、頑張れ。」

ナオト「が、頑張ります…。」


続いて、ゴウが掌をナオトに出す。

ゴウ「さあ。私の掌に、思いっきり拳を入れてみよ。」

ナオト「はい。やあっ!」

思いっきりゴウの掌に拳をぶつけるナオト。しかし…

ゴウ「どうした?これでは小粒以下だぞ。もっと力を入れてみよ。」

ナオト「はい…やあっ!せいっ!やあっ!」

何度もゴウの掌に拳づきをするナオト。力を入れ、ゴウを唸らせていく。

続いて、ゴウは大小の壺を用意する。それを、拳でかち割るという訓練だ。

ゴウ「続いては、この壺を思いっきりかち割る訓練だ。君の拳が、どれだけの力があるのかを、見極めよう。」


小さい方の壺に拳突きするナオト。

ナオト「行きます。漣隊長。やあっ!」

コンッ!

ナオト「くっ!いったぁ!」

あまりの痛さに手を押さえるナオト。そして、ゴウは。

ゴウ「私の力を見せるぞ!うぉーっ!たあっ!!」

ガシャーーーン!!

ゴウは、ナオトの目の前で、自身の馬鹿力を利用し、大きい方の壺を拳でかち割った。

ナオト「(す、すごい!なんて馬鹿力なんだ!さすが漣隊長!理想の師匠だ!)」


一日目の訓練を終えたその夜。ナオトは、月を眺めながらゴウと話し合っていた。

ゴウ「一日目の訓練、ご苦労だった。今回の訓練は、どうだったかな?」

ナオト「はい。かなり体に応えた気がします。アミーダのパイロットを目指し、頑張っていきたいです。」

ゴウ「そうか。アミーダのパイロットになることは、己の強さを磨くことを意味する。君はいずれ、仏界を守り抜く神にならなければならないからな。なんせ、この世界を創造した、釈迦如来の孫なのだから。創造の神の孫ならば、その意思を受け継がなければならない。」

ナオト「分かっております。漣隊長。僕は、羅刹団を倒し終えたら、必ず、祖父の意思を受け継いだ神になる。そう誓います。」

ゴウ「うむ。君なら出来る。では、明日の訓練に備えて、ゆっくり休んでくれ。」

ナオト「分かりました。漣隊長。お先に失礼します。」


帰路につくナオト。そして、カノンが境内付近で待っていた。どうやら、ナオトの迎えに来ていた模様だ。


ナオト「あっ。カノン。」

カノン「仏くん。訓練、お疲れ様。迎えに来たわ。」

ナオト「悪いね。わざわざ来てもらって。」

カノン「大丈夫よ。さあ、行こう。」


船に乗り、司隊本部を離れ、神仏郷へと向かうナオトとカノン。そして、ライトアップされた仏像や、神々が行き交う繁華街を歩く。すると、ナオトは言う。


ナオト「ところで、カノン。知っての通りだけど、僕の家は、昨日現れた巨大妖怪群に壊されて。実はなくなってしまったんだ。」

カノン「わかっているわ。だから、私の家に案内する。私の家でゆっくりしていって。」

ナオトは、繁華街の一角にあるカノンの家に案内される。

ナオト「お邪魔します。」

カノンの家に上がるナオト。カノンの部屋は、全体的にピンクで統一されており、化粧鏡なお洒落な棚などで、より女の子らしい雰囲気に満ち溢れていた。

ナオト「(わぁ、お洒落。)」

カノン「ちょっとまってて。今お茶入れるから。」

部屋の中で待つナオト。すると、カノンはショートパンツとタンクトップといった露出の高い部屋着に着替え、お茶を用意する。そして、今日のゴウとの特訓についてを話した。

カノン「今日は、訓練ご苦労さま。よく頑張ったそうね。」

ナオト「ありがとう。カノン。自信をつけなくちゃね。」

カノン「私も、訓練はかなり大変だったわ。アミーダのパイロットになるには、相当かかったわ。漣隊長も、かなり厳しくてね。」

ナオト「そうだよね。僕も頑張らなきゃって感じだよ。沢山訓練して、アミーダのパイロットになって、仏界を救う。そして、おじいちゃんの意思を受け継いで、救いの神になる。僕はそうしたいんだ。」

カノン「仏くん。あなたなら、出来るわ。漣隊長にも言われたみたいだけど、あなたは、この仏界を創造した、釈迦如来の孫なんだから。」


ナオト「うん。クンクン(身体の匂いを嗅ぐ)、ひどい汗だ。お風呂、借りるよ。」

カノン「いいわ。ゆっくり入ってきて。」

カノンの風呂を借りるナオト。そこで、ふと自身がアミーダのパイロットになれるかどうかを考える。

ナオト「(本当に、僕にはできるのかな?アミーダのパイロットになって、仏界を救う事が。)」

そして、就寝の時。カノンの隣で寝るナオト。すると、カノンは言う。

カノン「可愛いね。仏くんって。」

ナオト「えっ…。」

カノン「神様だけど、少しお茶目な所がある。そういうところがいい。」

次の瞬間、カノンはナオトの手の上に、自分の手を乗せる。

カノン「明日の訓練、頑張ってね。アミーダのパイロットに、なれるといいね。」

ナオト「う、うん。」


ーーー翌日。再び司隊本部にて、ナオトは前日に引き続き、アミーダのパイロットになるための訓練に励む。ゴウを師範に、前日よりかなりハードな訓練を行うのだった。

ゴウ「よく来てくれた。今回からは訓練が厳しくなる。覚悟は出来ているな?」

ナオト「はい!漣隊長!必ずや!」

ゴウ「では、前回に引き続き、アミーダのパイロットになるための訓練を開始する。決して気を抜かずに!」

ゴウの師範のもと、数々の訓練に励むナオト。ナオトは、木刀の素振り、本部敷地内の外周の長距離走、滝行など、数々の訓練を、汗水垂らしながらこなしていく。

ゴウとの訓練の日々は続き、ナオトは、アミーダのパイロットになるために、負けじと訓練に励んでいくのだった。

そして、長きに渡る猛特訓の末、ナオトは、ようやく司隊への正式入隊が決まり、アミーダのパイロットになった。喜ぶナオト。


ゴウ「おめでとう。ナオト。君は司隊への正式入隊が決まった。君を、アミーダ初ノ型ブッダリアのパイロットに任命する。」

ナオト「ありがとうございます!やったあ、これで僕も、アミーダのパイロットだ!」


本部の中に入り、ナオトはサヤと話し合った。

サヤ「よくやったわね。ナオト。これであなたもアミーダのパイロット。」

ナオト「これで、僕も仏界を守る戦士なんだ!やったぁ、羅刹団を倒せるんだ!」   


サヤ「さて。まだ、ここの整備担当の須佐之ハクシにご挨拶していなかったね。先に挨拶しましょうか。」


続いて、ナオトは、白衣に身を包んだアミーダの整備を務める技術士の須佐之ハクシと名乗る青年に挨拶する。彼は、四六時中ずっと研究や整備に携わっていた。サヤがナオトを連れ、ハクシに声をかける。


サヤ「ハクシ~。ちょっといい。」

ハクシ「俺は今、整備で忙しい。なんだ?」

サヤ「あのね、今、ナオトがアミーダのパイロットに任命されたの。あんたが整備したブッダリア、漣隊長の指示の元で、実戦投入されるみたいよ。」

ハクシ「そうか。ん…お前が新しいパイロットだな。仏ナオト。俺はアミーダの整備士。須佐之ハクシだ。よろしくな。」

ナオト「よろしくお願いします。」

ハクシ「まあ、知っての通りだが、俺が開発、整備したブッダリアは、お前が使うことになる。アミーダは極めて特殊だ。神の力を保有し、羅刹団の巨大妖怪群を倒すための兵器として使われる。神仏における唯一の希望なんだ。それに俺は、アミーダの開発や整備だけではなく、仏界における怪異や巨大妖怪群の特性までもを研究している。分からない事があったら何でも聞け。」


質問するナオト。

ナオト「あ、あの。巨大妖怪群は、神仏郷にだけしか現れないんですか?」

ハクシ「まあ、厭魔が仏界の神仏郷を、仏界侵略の手始めとして狙っているだけだ。それに、巨大妖怪群が神仏郷を滅ぼして、それで終わるわけではない。巨大妖怪群は時空移動する能力も兼ね備えている。極楽や天界、如来の地、そして人間界にまで被害が及ぶことになるだろう。そうなる前に、アミーダで手をうっておかなければならないという事だ。」

ナオト「分かりました。僕が必ず手を打ちます。巨大妖怪群を倒し、仏界を救います。」

サヤ「まあ、アミーダに関する説明は以上よ。とりあえず、指示があるまで待機ね。」


ーーーナオトが司隊に正式入隊してから数週間後のことだった。羅刹城で、厭魔が新たなる計画を企てていた。

厭魔「ふん。釈迦如来の孫が、私の計画を邪魔するか。邪魔な者は、必ず排除する。」

すると、厭魔の元へ、女の手下がやってくる。

魔子「厭魔様。」

厭魔の元へやってくるのは、紫のショートカットに、頭には小悪魔のような角、尻尾、上半身はスーツに、下半身はパンツとニーハイブーツといった際どい服装をした女の幹部、魔子であった。魔子は、厭魔に新たなる計画を提言する。

魔子「現状報告です。現在、部下たちが総力を上げ、巨大妖怪群第2号ヒフキボウを完成させました。」

厭魔「そうか。時間になり次第、巨大妖怪群を解き放て。仏界を我がものとするために。」

魔子「はい。厭魔様。必ずや、仏界をあなたに献上します。」


ーーーそして、羅刹団は新たなる巨大妖怪群を神仏郷に放った。それは、頭部が金色で、赤い衣をまとい、身体が硬い触手で形成され、さらには目からは火を噴く、ヒフキボウだった。ヒフキボウは、目から火を噴きながら、神仏郷の建物を、次々と焼き尽くしていく。



司隊本部。巨大妖怪群の出現に伴い、アミーダの出撃準備を急いだ。

隊員「神仏郷第一地区に、巨大妖怪群出現!目標は依然健在!」

隊員「神仏政府より、アミーダの出撃命令が出されました!これより、出撃します!」

隊員「了解!アミーダ初ノ型ブッダリアの発射準備を開始します!」


ブッダリアの発射準備を開始する隊員たち。ナオトは一人、ブッダリアに乗り込む。ブッダリアに、ナオトを乗せた搭乗カプセル、阿弥陀ノ座が挿入される。

カチャッ

隊員「阿弥陀ノ座、挿入!」

サヤ「ナオト。調子はどう?」 

ナオト「順調だよ。それに、アミーダの中って、蓮の花の香りがするんだね。」

ハクシ「これは、蓮香(れんこう)だ。戦闘意欲を上げるための精神安定剤だ。それに、アミーダとお前の適合率を上げるためにも、最も重要な役割をしている。」

隊員「発射準備、第2段階!」

アミーダの発射準備を進める隊員たち。スロープを伝っていき、発射台へと辿り着くブッダリア。

隊員「発射口展開!」

ウィーーーーン…

本部敷地内の露天風呂が大きく展開されていく。発射口から、ブッダリアがゆっくりとせり上っていく。カタパルトを固定し、ブッダリアは発射準備を完了させた。

ゴウ「アミーダ、出陣っ!!」

ナオト「阿弥陀仏っ!!!」

ビューーーーーーーッ!!

ゴウの掛け声とともに、ブッダリアが司隊本部を飛び立つ。そして、神仏郷に待ち構えるヒフキボウと対峙する。来たるナオトの初陣。果たして、その勝負の行方は?



つづく


次回予告

初陣。ナオトはゴウとの修行を通し、アミーダのパイロットとなった。しかし、蘇るは禍々しき記憶。恐怖の記憶を追憶する中、彼の祖父の釈迦如来がナオトに問いかける。

次回、「祖父の記憶」
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