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第四話「友と力」
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司隊本部。サヤは、ブッダリアの整備を行うハクシと会話していた。どうやらナオトのことのようだった。
サヤ「ナオトは日中活動として、神仏第二塾に入校した。でも、入校初日から、クラスメイトに虐められたみたい。」
ハクシ「そうか。あいつらは神としてまだ未熟だからな。だから、人間と変わらない要素ももっている。だから、多少の偏見も持つことになるだろう。」
サヤ「そうね。ナオトも馴染んでくれるといいんだけど。こればかりは大変よね…」
ハクシ「ま、あいつなら出来るだろう。なんせ、釈迦如来の孫なんだから。何でもこなしていけりゃ、どうってことも無いだろうな。」
ーーー翌日。神仏第一塾に通うナオト。しかし、ナオトは教室に入っていくが、レンやコウからの冷遇の目線が。
恐る恐る席につくナオト。ナオトはたった一人っきり。なかなか友達が出来ず、ただただ馴染めずにいた。
ナオト「ふぅ…。」
ふとため息をつくナオト。そこへやってきたのは、カノンだった。
カノン「大丈夫?仏くん。」
ナオト「あぁ…。まぁ。」
カノン「やっぱり、この塾はいまいち慣れないわよね。私も、ずっと1人きりだわ。」
ナオト「そう…。僕と同じだね…。今までは子供と触れ合っていたけれど、羅刹団の襲来で大きく変わってしまったから。」
どうやら、カノンもナオトと同じく、塾で馴染むのが難しいそうだ。そこで、カノンは、ある事を提案する。
カノン「そうだ。いい事思いついたわ。仏くん。私、仏くんがこの神仏第一塾でも、司隊本部でも馴染んでいけるようになってほしいの。だから、二人で困難を乗り越えながら、頑張っていく。これはどうかな?」
ナオト「うん。いいね。」
カノン「よし。決まり。」
そして、神仏第一塾で、ナオトとカノンは一緒に過ごすようになった。空き時間、塾で一緒に勉強したり、お昼を食べたりなど、共に過ごす日々が多くなった。ナオトは今一度、カノンの優しさに気づいていく。
しかし、こんな事も。
レン「なんや、ナオト。カノンと付き合っとるんか!」
コウ「憎いね、憎いねぇ!ヒュー、ヒュー!」
レンとコウに弄られるナオト。しかし、そこはもちろん、
カノン「ちょっと。私たち恋人でもないわ。やめてあげて。」
レン「悪いね悪いね」
レン、コウ「ごめん遊ばせ~!」
ナオトは、カノンと一緒にいるところを、レンとコウに邪魔される。しかし、そこは受け流し、追い払ってあげるカノンだった。
そして、下校時間。夕日の中、ナオトはカノンとともに帰り道をともにした。
ナオト「ありがとう。カノン。僕、君と一緒にいると、何だか楽しいよ。」
カノン「そう思ってくれると、嬉しいわ。私、仏くんがあの塾に馴染んでくれたら、本当に嬉しいもの。」
ナオト「そうだね。それに、僕、強くなりたいよ。厭魔を倒す事ももちろんだけど、自分自身を磨きたいんだ。」
カノン「ええ。そうだ。明日は休みだし、私と一緒に遊ばない?私と一緒にいることで、仏くんも心を開いてくれたら嬉しいんだけど。」
ナオト「いいよ。よろしくね。」
カノン「ありがとう。女の子の望みを聞いてくれるのは、嬉しいわ。 」
そして、明日、ナオトは、カノンと二人で遊びに行く事に。彼は、それが待ち遠しくて仕方がなかった。翌日。ナオトは路線バスで、カノンが待つ公園に向かう。
カノン「やっほー、仏くん。」
ナオト「おはよう。カノン。」
カノン「今日は張り切って遊んじゃいましょう!めいいっぱい楽しもう!」
ナオト「うん!」
カノン「まずはこっち!」
ギュッ、タタタタタタッ
カノンは、ナオトの手をとり、神仏郷の街を駆けていく。そして、まずは神仏郷のランドマークである大仏を参拝した。
そして、敷地内に咲いている色とりどりの花を眺めたり、敷地内の売店で団子を食べたりした。
そして、ひたすらに神仏郷の散策をし続けるナオトとカノン。ナオトは、カノンと交流して行くうちに、次第に心を開いていき、神仏第一塾でも上手くやって行こうと、努力していくのであった。カノンとの交流を楽しむ中、ナオトは改めて、カノンの優しさ、強さ、そして親切さに気づいていく。
ーーーカノンとの1日を終えた翌日。ナオトは勇気を出し、神仏第一塾に向かった。教室の中、なにやら男子がワチャワチャしていた。
男子生徒「わちゃわちゃ、わちゃわちゃ」
レン「どりゃあああーーー!」
バコッ!
男子生徒「うぐっ!」
「歓声」
コウ「勝者!孔雀レン!」
どうやら、男子たちは鳩尾パンチ対決をしていた模様だ。人間界と大差変わりない、馬鹿げた遊びをしている。女子たちはそれを引きながら見ている。
女子生徒「まったく、男子たちはいつもこうやって。」
女子生徒「こんなんじゃ下界の人間たちと変わらないわ。」
レン「俺は今まさに5連勝だ!さあ、次俺に挑もうって奴はいないのか?」
気張るレン。すると、そこへナオトが。
ナオト「僕、やっていい?」
レン「うん?何だ、新入生ちゃんか。やめとけ。俺は強いぜ。」
ナオト「まあ大丈夫。楽しそうだから。やりたいだけ。」
カノン「(頑張って。)」
上着を捨て、上半身裸になるナオト。そして、レンとの対決に挑む。
ナオト「はああーーーっ!」
ゴンッ!
レンの鳩尾に拳を入れる。しかし、レンは効かなかった模様だ。
レン「はははっ!その程度、かっ!」
ボコっ!
続けて、ナオトの鳩尾に拳を入れるレン。まるで効いたかのように疼くナオト。
ナオト「うぐう。」
コウ「どうしたどうした?これで終わりか?ナオト!」
はじめのうちはレンが有利だった。しかし、ナオトは諦めなかった。ゴウとの修行で取り入れた筋力を使い、ひたすらレンとの対決に燃えた。
バコッ!バコッ!バコッ!
そして、次の瞬間、ナオトは思いっきりレンの鳩尾に拳を入れた。そして、レンは、疼いた。
レン「ごほぉっ!」
コウ「あ、有り得ない。勝者、仏ナオト。」
「(歓声)」
そして、レンは起き上がり、ナオトに寄り、笑顔で言う。
レン「いやぁ、すげえなお前!まさか俺を倒せるとは大したもんや。お前てっきり駄目な奴だと思ってた。でも、この俺が間違ってた。改めて自己紹介する。俺は孔雀レン。孔雀明王の孫で、お前と同じくアミーダのパイロット候補生やで。ほな、よろしくな。」
ナオト「よろしく。」
コウ「ついでに俺も自己紹介するよ。烏枢沙摩(うすさま)コウ。烏枢沙摩明王の孫さ。よろしく、ナオト!」
そして、教室に入るナオト。ナオトはクラスメイトのレンとコウとすっかり仲良くなったそうだ。ナオト、レン、コウは3人で過ごしている。
コウ「やっぱり仏教世界はいいよね、ナオト!」
ナオト「うん!僕、神として生まれてきて良かったよ!」
コウ「それにさ、ナオト。大仏って好き?」
ナオト「ま、まぁ。人間界でも仏界でも存在している。いい所だよね。」
コウ「俺ね、塾のない休日は、いつも人間界や仏界の大仏や寺院を旅しているんだ。大仏のいいところは、やっぱり胎内巡りだよね!ははぁっ!」
レン「お前そう言うて、巫女さんにちょっかい出して、寺院も大仏も結構出禁喰らっとるやろ。」
コウ「う、うるさいわ!それナオトの前で言うなよ!俺はなぁ!」
レン「全く。お前も人間くさいな。少しは神としての自覚を学べ。」
コウ「わかってるっつーの。」
レンとコウの漫才を見つめるナオト。
ナオト「ははは。」
レン「あぁ…」
コウ「ごめんごめん。」
レン「すまんなぁ。はははは。」
そんな、ナオト、レン、コウの3人の様子を、サキとカノンは眺めている。
サキ「本当に良かったわね。仲良くなって。」
カノン「ええ。」
サキ「月泉さん、あなたが仏くんをこの塾に馴染ませるキッカケになったみたいね。ありがとう。」
カノン「どうって事ないわ。仏くんならやっていけると思うもの。」
ーーーそして、明くる日も。ナオトは、友達となったレンとコウと3人で過ごすようになった。ナオトは、カノンと交流しつつも、レンとコウとともに遊んだり、キャンプをしたりで共に楽しんだ。ナオト、レン、コウの日常は、こうして過ぎ去っていくのだったーーー。
そして、その日の夕方。
レン「ナオト!今度うちに遊び来い!」
ナオト「うん!」
コウ「じゃあな!ナオト!これからもアミーダの仕事、頑張れよ!俺たちは仲間だ!いつでも相談乗るよ!」
ーーーそんな様子を、羅刹城で厭魔が水晶玉を通じて眺めていた。
厭魔「…。」
ーーーそして、夜。ナオトはサヤのマンションに帰ってくる。かなりうきうきしている。カノンとの交流を通し、心を開き、レンとコウと友達になり、ようやく塾に馴染んだという事を報告した。
ナオト「ただいま!サヤ!」
サヤ「おかえり。ナオト。ずいぶんと元気がいいわね。」
ナオト「僕、カノンと交流したおかげで友達ができて、塾で馴染んでいけそうなんだ!」
サヤ「ならよかった。あなたなら出来るわ。なんせ、しっかり者だもの。さっ、ご飯にしましょ。」
サヤと夕食を食べるナオト。ナオトは、塾で出来た友人、レンとコウの事をサヤに話した。
ナオト「レンは、気さくでいい感じの人で、コウは大仏と寺院が好きな観光オタクって感じだよ。」
サヤ「ならいいわね。あなたはかなり信頼されてるってことよ。まっ、友人関係は大切にね。」
ナオト「うん。分かった。」
サヤ「さあ、ご飯、冷めないうちに食べましょう。」
夕食をとるナオトとサヤ。
ーーーナオト達が団欒としている中、羅刹団は新たな計画を目論んでいた。鎮座する厭魔の前に立つ魔子。
魔子「厭魔様。巨大妖怪群第3号の放出準備が完了しました。これより、神仏郷に解き放ちます。」
厭魔「よろしい。早急にな。今、あの釈迦如来の孫とやらが、神仏の雑魚どもとくっ付き合っているらしいな。それは実に嘆かわしい。」
魔子「分かります。厭魔様。それにあの女、目障りですわっ!ふんっ!」
厭魔「まあ、邪魔者は、この我々が排除する。邪魔者を排除し、仏界を我がものとするのが、我々羅刹団の使命だからな。」
魔子「さすが厭魔様っ!かっこいいです!」
厭魔「やめろ。気持ち悪い。用が済んだなら去れ。…全く、うざったい部下を持ったものだ。」
魔子「え~、厭魔様のいじわる~♡」
ーーー翌日。羅刹団は巨大妖怪群を放った。放たれたのは、地蔵のような顔に、蜘蛛のような身体をした巨大妖怪群第3号、カチカチクモであった。カチカチクモは、足音を立てながら、神仏郷の街を進行していく。
隊員「神仏郷第五地区に巨大妖怪群出現!コードネーム、カチカチグモと確認!」
隊員「現在、巨大妖怪群による被害規模は、中!」
隊員「現在、神仏政府から、アミーダの出撃要請が出されました!」
緊急事態、アミーダの出撃要請に伴い、ナオトは司隊本部へ召集される。そして、ハクシから今回の巨大妖怪群に関するヒントをもらう。
ハクシ「今回の巨大妖怪群カチカチグモは、知ってのとおり、クモのような敵だ。奴の放ってくる糸には要注意だ。下手すれば、アミーダの装甲を剥がすほどだ。用心して戦えよ。」
ナオト「はい。」
ハクシ「ブッダリアは整備万全だ。今回の戦闘での性能は、万全だ。」
そして、ゴウに呼ばれるナオト。
ゴウ「よし。そろそろ君の出番だ。知っているが、君は、カノンの助力で、あの塾に馴染んだそうだな?」
ナオト「はい。漣隊長。おかげで、今回の闘いも勝てそうな気がします。」
ゴウ「そうか。いざという時は、彼らの声を思い出すんだ。彼らの声を聞きつつ、本気を出すんだ。いいな?」
ナオト「はい。」
ゴウ「では、作戦開始だ。ナオト。今ブッダリアを出す。直ちに乗り込みなさい。」
ブッダリアに乗り込むナオト。ゴウの掛け声とともに、司隊本部を飛び立つ。
ゴウ「アミーダ、出陣っ!」
ナオト「阿弥陀仏っ!」
ビューーーーッ!!
ーーーブッダリアとカチカチグモとの戦闘が始まる。カチカチグモと対峙するブッダリア。すると、次の瞬間…
ズドドドドドド!
不意打ちに突進してくるカチカチグモ。ブッダリアは、それを正面からブロックする。
ナオト「くっ!ううっ!」
カチカチグモの頭部をブロックするブッダリア。すると、次の瞬間、カチカチグモは、尻からネバネバした糸を出してくる。
バアッ!!
咄嗟に交わすブッダリア。しかし、次の瞬間、ブッダリアの足に向かって、カチカチグモは糸を巻き付ける。
ジュワアアアアア…
ナオト「う、うわああああああっ!!」
カチカチグモの触手には、熱気が含まれていた。足を抑え、絶叫するナオト。
そして、カチカチグモは、ブッダリアの足に糸を巻き付けたまま、ぐるぐる振り回し、そのまま遠くの山へ投げ飛ばした。
ナオト「わあああっ!」
ズデーーーーン!!!
遠くの山へ叩きつけられるナオト。そんな中、ブッダリアのエネルギーが、残り半分を切っていた。ブッダリアの青い模様が、エネルギー消耗を示す緑に変わる。
ナオト「はぁ…はぁ…はぁ…。」
息を切らすナオト。そんな中、友の声援が、彼の脳裏を過ぎる。
カノン「仏くん!頑張って!」
レン「そうや!押すんやナオト!」
コウ「行け!馬鹿力出すんだ!」
ナオト「ありがとう!皆、頑張るよ!」
友人の声援を聞き、目をキリッとさせるナオト。そして、ブッダリアは、七色に光り輝く刀のような武器、「虹刀」を装備する。エネルギー限界が近づく中、ブッダリアは、カチカチグモに攻め込んでいく。
ナオト「はああああああっ!」
ズドドドドドド!!
山を駆け下りていくブッダリア。すると、カチカチグモは尻から糸を放ってくる。糸をすれすれに交わし、ブッダリアは、勢いよく、カチカチグモの首を虹刀で切断した。
ナオト「はあああああああっ!」
スパーーーーン!!
ブッダリアの虹刀により、カチカチグモの首が、血しぶきを撒き散らしながら吹き飛ぶ。そして、カチカチグモは、形状を維持できなくなり、崩壊したーーー。
しばらく立ち尽くすブッダリア。神仏郷を見つめ、そのまま司隊本部へ帰っていった。
ーーーつづく
次回予告
カノンの助力で、神仏第一塾に馴染んだナオト。彼は、同時に、司隊本部の隊員とも打ち解けていくが、その先に待ち構えるものはーーー。
次回、「快楽~陵辱」
サヤ「ナオトは日中活動として、神仏第二塾に入校した。でも、入校初日から、クラスメイトに虐められたみたい。」
ハクシ「そうか。あいつらは神としてまだ未熟だからな。だから、人間と変わらない要素ももっている。だから、多少の偏見も持つことになるだろう。」
サヤ「そうね。ナオトも馴染んでくれるといいんだけど。こればかりは大変よね…」
ハクシ「ま、あいつなら出来るだろう。なんせ、釈迦如来の孫なんだから。何でもこなしていけりゃ、どうってことも無いだろうな。」
ーーー翌日。神仏第一塾に通うナオト。しかし、ナオトは教室に入っていくが、レンやコウからの冷遇の目線が。
恐る恐る席につくナオト。ナオトはたった一人っきり。なかなか友達が出来ず、ただただ馴染めずにいた。
ナオト「ふぅ…。」
ふとため息をつくナオト。そこへやってきたのは、カノンだった。
カノン「大丈夫?仏くん。」
ナオト「あぁ…。まぁ。」
カノン「やっぱり、この塾はいまいち慣れないわよね。私も、ずっと1人きりだわ。」
ナオト「そう…。僕と同じだね…。今までは子供と触れ合っていたけれど、羅刹団の襲来で大きく変わってしまったから。」
どうやら、カノンもナオトと同じく、塾で馴染むのが難しいそうだ。そこで、カノンは、ある事を提案する。
カノン「そうだ。いい事思いついたわ。仏くん。私、仏くんがこの神仏第一塾でも、司隊本部でも馴染んでいけるようになってほしいの。だから、二人で困難を乗り越えながら、頑張っていく。これはどうかな?」
ナオト「うん。いいね。」
カノン「よし。決まり。」
そして、神仏第一塾で、ナオトとカノンは一緒に過ごすようになった。空き時間、塾で一緒に勉強したり、お昼を食べたりなど、共に過ごす日々が多くなった。ナオトは今一度、カノンの優しさに気づいていく。
しかし、こんな事も。
レン「なんや、ナオト。カノンと付き合っとるんか!」
コウ「憎いね、憎いねぇ!ヒュー、ヒュー!」
レンとコウに弄られるナオト。しかし、そこはもちろん、
カノン「ちょっと。私たち恋人でもないわ。やめてあげて。」
レン「悪いね悪いね」
レン、コウ「ごめん遊ばせ~!」
ナオトは、カノンと一緒にいるところを、レンとコウに邪魔される。しかし、そこは受け流し、追い払ってあげるカノンだった。
そして、下校時間。夕日の中、ナオトはカノンとともに帰り道をともにした。
ナオト「ありがとう。カノン。僕、君と一緒にいると、何だか楽しいよ。」
カノン「そう思ってくれると、嬉しいわ。私、仏くんがあの塾に馴染んでくれたら、本当に嬉しいもの。」
ナオト「そうだね。それに、僕、強くなりたいよ。厭魔を倒す事ももちろんだけど、自分自身を磨きたいんだ。」
カノン「ええ。そうだ。明日は休みだし、私と一緒に遊ばない?私と一緒にいることで、仏くんも心を開いてくれたら嬉しいんだけど。」
ナオト「いいよ。よろしくね。」
カノン「ありがとう。女の子の望みを聞いてくれるのは、嬉しいわ。 」
そして、明日、ナオトは、カノンと二人で遊びに行く事に。彼は、それが待ち遠しくて仕方がなかった。翌日。ナオトは路線バスで、カノンが待つ公園に向かう。
カノン「やっほー、仏くん。」
ナオト「おはよう。カノン。」
カノン「今日は張り切って遊んじゃいましょう!めいいっぱい楽しもう!」
ナオト「うん!」
カノン「まずはこっち!」
ギュッ、タタタタタタッ
カノンは、ナオトの手をとり、神仏郷の街を駆けていく。そして、まずは神仏郷のランドマークである大仏を参拝した。
そして、敷地内に咲いている色とりどりの花を眺めたり、敷地内の売店で団子を食べたりした。
そして、ひたすらに神仏郷の散策をし続けるナオトとカノン。ナオトは、カノンと交流して行くうちに、次第に心を開いていき、神仏第一塾でも上手くやって行こうと、努力していくのであった。カノンとの交流を楽しむ中、ナオトは改めて、カノンの優しさ、強さ、そして親切さに気づいていく。
ーーーカノンとの1日を終えた翌日。ナオトは勇気を出し、神仏第一塾に向かった。教室の中、なにやら男子がワチャワチャしていた。
男子生徒「わちゃわちゃ、わちゃわちゃ」
レン「どりゃあああーーー!」
バコッ!
男子生徒「うぐっ!」
「歓声」
コウ「勝者!孔雀レン!」
どうやら、男子たちは鳩尾パンチ対決をしていた模様だ。人間界と大差変わりない、馬鹿げた遊びをしている。女子たちはそれを引きながら見ている。
女子生徒「まったく、男子たちはいつもこうやって。」
女子生徒「こんなんじゃ下界の人間たちと変わらないわ。」
レン「俺は今まさに5連勝だ!さあ、次俺に挑もうって奴はいないのか?」
気張るレン。すると、そこへナオトが。
ナオト「僕、やっていい?」
レン「うん?何だ、新入生ちゃんか。やめとけ。俺は強いぜ。」
ナオト「まあ大丈夫。楽しそうだから。やりたいだけ。」
カノン「(頑張って。)」
上着を捨て、上半身裸になるナオト。そして、レンとの対決に挑む。
ナオト「はああーーーっ!」
ゴンッ!
レンの鳩尾に拳を入れる。しかし、レンは効かなかった模様だ。
レン「はははっ!その程度、かっ!」
ボコっ!
続けて、ナオトの鳩尾に拳を入れるレン。まるで効いたかのように疼くナオト。
ナオト「うぐう。」
コウ「どうしたどうした?これで終わりか?ナオト!」
はじめのうちはレンが有利だった。しかし、ナオトは諦めなかった。ゴウとの修行で取り入れた筋力を使い、ひたすらレンとの対決に燃えた。
バコッ!バコッ!バコッ!
そして、次の瞬間、ナオトは思いっきりレンの鳩尾に拳を入れた。そして、レンは、疼いた。
レン「ごほぉっ!」
コウ「あ、有り得ない。勝者、仏ナオト。」
「(歓声)」
そして、レンは起き上がり、ナオトに寄り、笑顔で言う。
レン「いやぁ、すげえなお前!まさか俺を倒せるとは大したもんや。お前てっきり駄目な奴だと思ってた。でも、この俺が間違ってた。改めて自己紹介する。俺は孔雀レン。孔雀明王の孫で、お前と同じくアミーダのパイロット候補生やで。ほな、よろしくな。」
ナオト「よろしく。」
コウ「ついでに俺も自己紹介するよ。烏枢沙摩(うすさま)コウ。烏枢沙摩明王の孫さ。よろしく、ナオト!」
そして、教室に入るナオト。ナオトはクラスメイトのレンとコウとすっかり仲良くなったそうだ。ナオト、レン、コウは3人で過ごしている。
コウ「やっぱり仏教世界はいいよね、ナオト!」
ナオト「うん!僕、神として生まれてきて良かったよ!」
コウ「それにさ、ナオト。大仏って好き?」
ナオト「ま、まぁ。人間界でも仏界でも存在している。いい所だよね。」
コウ「俺ね、塾のない休日は、いつも人間界や仏界の大仏や寺院を旅しているんだ。大仏のいいところは、やっぱり胎内巡りだよね!ははぁっ!」
レン「お前そう言うて、巫女さんにちょっかい出して、寺院も大仏も結構出禁喰らっとるやろ。」
コウ「う、うるさいわ!それナオトの前で言うなよ!俺はなぁ!」
レン「全く。お前も人間くさいな。少しは神としての自覚を学べ。」
コウ「わかってるっつーの。」
レンとコウの漫才を見つめるナオト。
ナオト「ははは。」
レン「あぁ…」
コウ「ごめんごめん。」
レン「すまんなぁ。はははは。」
そんな、ナオト、レン、コウの3人の様子を、サキとカノンは眺めている。
サキ「本当に良かったわね。仲良くなって。」
カノン「ええ。」
サキ「月泉さん、あなたが仏くんをこの塾に馴染ませるキッカケになったみたいね。ありがとう。」
カノン「どうって事ないわ。仏くんならやっていけると思うもの。」
ーーーそして、明くる日も。ナオトは、友達となったレンとコウと3人で過ごすようになった。ナオトは、カノンと交流しつつも、レンとコウとともに遊んだり、キャンプをしたりで共に楽しんだ。ナオト、レン、コウの日常は、こうして過ぎ去っていくのだったーーー。
そして、その日の夕方。
レン「ナオト!今度うちに遊び来い!」
ナオト「うん!」
コウ「じゃあな!ナオト!これからもアミーダの仕事、頑張れよ!俺たちは仲間だ!いつでも相談乗るよ!」
ーーーそんな様子を、羅刹城で厭魔が水晶玉を通じて眺めていた。
厭魔「…。」
ーーーそして、夜。ナオトはサヤのマンションに帰ってくる。かなりうきうきしている。カノンとの交流を通し、心を開き、レンとコウと友達になり、ようやく塾に馴染んだという事を報告した。
ナオト「ただいま!サヤ!」
サヤ「おかえり。ナオト。ずいぶんと元気がいいわね。」
ナオト「僕、カノンと交流したおかげで友達ができて、塾で馴染んでいけそうなんだ!」
サヤ「ならよかった。あなたなら出来るわ。なんせ、しっかり者だもの。さっ、ご飯にしましょ。」
サヤと夕食を食べるナオト。ナオトは、塾で出来た友人、レンとコウの事をサヤに話した。
ナオト「レンは、気さくでいい感じの人で、コウは大仏と寺院が好きな観光オタクって感じだよ。」
サヤ「ならいいわね。あなたはかなり信頼されてるってことよ。まっ、友人関係は大切にね。」
ナオト「うん。分かった。」
サヤ「さあ、ご飯、冷めないうちに食べましょう。」
夕食をとるナオトとサヤ。
ーーーナオト達が団欒としている中、羅刹団は新たな計画を目論んでいた。鎮座する厭魔の前に立つ魔子。
魔子「厭魔様。巨大妖怪群第3号の放出準備が完了しました。これより、神仏郷に解き放ちます。」
厭魔「よろしい。早急にな。今、あの釈迦如来の孫とやらが、神仏の雑魚どもとくっ付き合っているらしいな。それは実に嘆かわしい。」
魔子「分かります。厭魔様。それにあの女、目障りですわっ!ふんっ!」
厭魔「まあ、邪魔者は、この我々が排除する。邪魔者を排除し、仏界を我がものとするのが、我々羅刹団の使命だからな。」
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厭魔「やめろ。気持ち悪い。用が済んだなら去れ。…全く、うざったい部下を持ったものだ。」
魔子「え~、厭魔様のいじわる~♡」
ーーー翌日。羅刹団は巨大妖怪群を放った。放たれたのは、地蔵のような顔に、蜘蛛のような身体をした巨大妖怪群第3号、カチカチクモであった。カチカチクモは、足音を立てながら、神仏郷の街を進行していく。
隊員「神仏郷第五地区に巨大妖怪群出現!コードネーム、カチカチグモと確認!」
隊員「現在、巨大妖怪群による被害規模は、中!」
隊員「現在、神仏政府から、アミーダの出撃要請が出されました!」
緊急事態、アミーダの出撃要請に伴い、ナオトは司隊本部へ召集される。そして、ハクシから今回の巨大妖怪群に関するヒントをもらう。
ハクシ「今回の巨大妖怪群カチカチグモは、知ってのとおり、クモのような敵だ。奴の放ってくる糸には要注意だ。下手すれば、アミーダの装甲を剥がすほどだ。用心して戦えよ。」
ナオト「はい。」
ハクシ「ブッダリアは整備万全だ。今回の戦闘での性能は、万全だ。」
そして、ゴウに呼ばれるナオト。
ゴウ「よし。そろそろ君の出番だ。知っているが、君は、カノンの助力で、あの塾に馴染んだそうだな?」
ナオト「はい。漣隊長。おかげで、今回の闘いも勝てそうな気がします。」
ゴウ「そうか。いざという時は、彼らの声を思い出すんだ。彼らの声を聞きつつ、本気を出すんだ。いいな?」
ナオト「はい。」
ゴウ「では、作戦開始だ。ナオト。今ブッダリアを出す。直ちに乗り込みなさい。」
ブッダリアに乗り込むナオト。ゴウの掛け声とともに、司隊本部を飛び立つ。
ゴウ「アミーダ、出陣っ!」
ナオト「阿弥陀仏っ!」
ビューーーーッ!!
ーーーブッダリアとカチカチグモとの戦闘が始まる。カチカチグモと対峙するブッダリア。すると、次の瞬間…
ズドドドドドド!
不意打ちに突進してくるカチカチグモ。ブッダリアは、それを正面からブロックする。
ナオト「くっ!ううっ!」
カチカチグモの頭部をブロックするブッダリア。すると、次の瞬間、カチカチグモは、尻からネバネバした糸を出してくる。
バアッ!!
咄嗟に交わすブッダリア。しかし、次の瞬間、ブッダリアの足に向かって、カチカチグモは糸を巻き付ける。
ジュワアアアアア…
ナオト「う、うわああああああっ!!」
カチカチグモの触手には、熱気が含まれていた。足を抑え、絶叫するナオト。
そして、カチカチグモは、ブッダリアの足に糸を巻き付けたまま、ぐるぐる振り回し、そのまま遠くの山へ投げ飛ばした。
ナオト「わあああっ!」
ズデーーーーン!!!
遠くの山へ叩きつけられるナオト。そんな中、ブッダリアのエネルギーが、残り半分を切っていた。ブッダリアの青い模様が、エネルギー消耗を示す緑に変わる。
ナオト「はぁ…はぁ…はぁ…。」
息を切らすナオト。そんな中、友の声援が、彼の脳裏を過ぎる。
カノン「仏くん!頑張って!」
レン「そうや!押すんやナオト!」
コウ「行け!馬鹿力出すんだ!」
ナオト「ありがとう!皆、頑張るよ!」
友人の声援を聞き、目をキリッとさせるナオト。そして、ブッダリアは、七色に光り輝く刀のような武器、「虹刀」を装備する。エネルギー限界が近づく中、ブッダリアは、カチカチグモに攻め込んでいく。
ナオト「はああああああっ!」
ズドドドドドド!!
山を駆け下りていくブッダリア。すると、カチカチグモは尻から糸を放ってくる。糸をすれすれに交わし、ブッダリアは、勢いよく、カチカチグモの首を虹刀で切断した。
ナオト「はあああああああっ!」
スパーーーーン!!
ブッダリアの虹刀により、カチカチグモの首が、血しぶきを撒き散らしながら吹き飛ぶ。そして、カチカチグモは、形状を維持できなくなり、崩壊したーーー。
しばらく立ち尽くすブッダリア。神仏郷を見つめ、そのまま司隊本部へ帰っていった。
ーーーつづく
次回予告
カノンの助力で、神仏第一塾に馴染んだナオト。彼は、同時に、司隊本部の隊員とも打ち解けていくが、その先に待ち構えるものはーーー。
次回、「快楽~陵辱」
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