仏法戦記アミーダ

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第五話「快楽〜陵辱」

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巨大妖怪群カチカチグモとの闘いを終えたナオトは、1人で神仏郷の商店街に買い物に出かけていた。サヤからお使いを頼まれているそうだ。

ナオト「えーっと、サヤはこれが欲しいのか。」

すると、後ろからレンとコウが声を掛けてくる。

レン「おお、ナオト!」

コウ「ちょうど良かった!レンの家に寄っていかないか?」

ナオト「うん。」


ーーーそして、ナオトはコウとともに、レンの家に寄ることに。すると、レンは言う。

レン母「お友達かしら?ゆっくりしてってね。」

レン「母ちゃん、ありがとな。お前、昨日アミーダに乗って闘っとったやろ、見てたで。」

コウ「ま、言うのは悪いけど、お前途中でしくじっちまったな。でも、俺たちが、神の力を通じて、声援を送ったのも、気づいたか。」

ナオト「ま、まぁ。レンやコウ、そしてカノンの声援のおかげで、今回の巨大妖怪群を倒す事が出来たから。これからも、頑張って行こうと思う。」

レン「そっか。まあ、とにかく、戦いにおいては、何よりも最初は負けてみせるっちゅうのが当たり前やしの。」

コウ「それにナオト。お前のアミーダに乗って闘っている姿が羨ましいよ。聞きそびれたが、何でお前はアミーダに乗ろうと思ったんだ?」

ナオト「それは、あまり言いたくないけれど、羅刹団が仏界侵攻を決意し、手始めに巨大妖怪群を神仏郷に送り込んだ際に、僕の家族が巨大妖怪群に殺されたんだ。それで、家族の仇をとるために、僕はアミーダに乗った。」

レン「家族を失うのは辛いやのぉ。神は不滅やし、どこかに送られている可能性も否定出来んな。で、今はどないしとるん?」

ナオト「今は、司隊の上司の伊邪那美サヤの元で厄介になっているから。なんともないよ。」

コウ「まっ。居場所を提供してもらえるだけ有り難いと思いな。その伊邪那美さんとやらには、ちゃんと恩返しするんだぞ。」

ナオト「いろいろありがとう。僕、サヤを待たせてるから。そろそろ行くよ。」

レン「お、そうか。すまんな。わざわざ付き合わせてもうて。」

コウ「じゃあ、今度また遊ぼうぜ。」


ーーーナオトは、サヤのマンションへ着く。そこで、サヤは聞く。

ナオト「ただいま。」

サヤ「ナオト、どこ行ってたの?ずいぶん遅かったわね。もしかして友達と遊んでたのかしら?」

ナオト「ん…うん…。」

サヤの質問にやや照れ気味に頷くナオト。そんなナオトに対し、サヤは許したかのように笑みを浮かべる。

そこで、ナオトは聞く。

ナオト「ところで、サヤ。」

サヤ「何?ナオト。」

ナオト「僕、司隊本部にも馴染んでいきたいんだ。こうして、レンやコウとも友達になれたし。ねえ、司隊本部の人たちはどうなの?」

サヤ「そりゃあ。皆、優しいわよ。戦闘を共にしていく仲間としてね。知っての通りだけど、皆、あなたを思ってくれているわ。」


ナオト「そう。ならいいな。僕、できれば、司隊本部の方たちと話してみたいよ。僕は、カノンやレンやコウとの交流を通して、闘いを共にする仲間の大切さを知ったから。今度は、司隊本部の方とも、仲良くなりたいんだ。」

サヤ「分かった。明日、連れていくわ。ここからだと船を渡ることになるから、早く起きてちょうだい。」


ーーーナオトは、神仏第一塾に続き、司隊本部にも馴染んでいきたいとのことで、サヤとともに、司隊本部へ向かった。神仏郷の港から、司隊本部行きの船に乗るナオトとサヤ。ナオトは、船から遠ざかっていく街を眺める。

すると、船の中からサヤは言う。

サヤ「ナオト。あなたは神として社交的ね。」 

振り返るナオト

ナオト「ん?」

サヤ「あなたは、神仏郷の神々から信頼されている。そして、アミーダのパイロットとしても信頼されている。おじいちゃんも、上層部から、きっとあなたを認めているわ。」

ナオト「サヤ…。」

大あくびをするサヤ。

サヤ「ふわあ~~~~。やっぱ早起きしたから、めちゃくそ眠いわ…。」

ナオト「サヤ。自信を出さなきゃね。」

ボーーーー…

司隊本部へ通じる船。次第に夜が明けていく。夜明けとともに、船は、司隊本部の堤防に到着する。

石段を上がっていくナオトとサヤ。そして、境内へ入って行く。

ーーー本部の中。サヤがナオトを連れ、司隊の司令室へと入っていく。そして、大勢の隊員たちを前に、ナオトを改めて紹介するのだった。

サヤ「みんな。聞いて。彼は出撃時にしか顔を合わせる事はないと思うけど。ナオトはね、皆と仲良くなって、司隊本部へ馴染んでいきたいみたいなの。さあ、ナオト。自己紹介して。」

ナオト「うん。皆さん。ご存知かと思いますが、僕はアミーダ初ノ型ブッダリアのパイロットをしております、仏ナオトと申します。今日は、皆さんとゆっくり話していきたいと思います。宜しくお願いします。」

隊員たち「よろしくお願いします。」

そこで、隊員の中でも一番偉い地位につく、巫女服姿の女性隊員の阿修羅ユイ、僧服の男性隊員の摩利シンイチと不動アキトが挨拶する。

ユイ「阿修羅ユイです。よろしくお願いします。」

シンイチ「摩利シンイチだ!よろしくなっ!」

アキト「不動アキトだ。よろしくな。」

サヤ「ナオト。この3人がね。この隊員たちの中で一番偉い存在なのよ。みんな優しいから、すぐに馴染むわ。」

唐突にナオトの肩に伸し掛るシンイチ。

シンイチ「ナオト~っ。お前、俺と趣味が合いそうだなぁ!是非とも仲良くしようぜ~!」

突っ込みを入れるユイ

ユイ「ほら、摩利さん!何してるんですか!仏さんに変なことをしないでください!」

シンイチ「なんだようるせえな。こいつ俺たちと仲良くしたいって言ってたろ。つーか、文句あんなら坊主にしてから言えよ。」

ユイ「まっ、失礼な!それだから摩利さんは神として一人前じゃないんですよ。」

シンイチ「うるせえよ、俺だって神だぜ。」

ユイ「神ならば常識くらい分かってますよ。もう。」


二人の漫才を引き目で見るナオト。すると、そこへアキトが来て言う。

アキト「まあ気にするな。こいつらいつもこうなんだ。シンイチは神の癖に問題児だからな。」

ナオト「そうですか。」

アキト「ま、何かあったら、いつでも俺たちを頼ってくれよ。出来る限り、ナオトくんの力になるよう努力するよ。」


そこで、ナオトは、司隊本部の隊員たちと馴染むために、会話をすることに。ユイ、シンイチ、アキトの3人の隊員と話す。まずは、自身の意気込みを話した。

ナオト「僕はですね。目標として、必ず獄堂厭魔を倒し、仏界を救うことを目指しているんです。」

ユイ「そうですか。それは漣隊長からもお聞きしておりますよ。ただ、厭魔は妖怪の帝王と評されていますからね。私たち神より、かなり厄介な存在です。」

シンイチ「まあなっ。俺だってこんな仕事ごめんだよ。ましてやめんどくせえしな。仏界を守るってのに。」

アキト「おいシンイチ。んな事言うんじゃねえよ。ごめんナオトくん。まあ、君の心意気はいいと思うよ。仲間の助力を借りて、仏界を救う。実にいい考えだと俺は思う。」

ナオト「ありがとうございます。でも、いくつか不安な事があるんです。今後、新手の巨大妖怪群が現れたら…。新たな強敵が現れたら…。どうしていけばいいか。」

アキト「心配する必要はない。羅刹団の巨大妖怪群に対抗するために、新しいアミーダの建立も公式に開始する予定があるからな。」

シンイチ「ま、いざとなる時ゃ俺たちを頼ればいいさ!さっきも言ったけど、俺たちゃ仲間だからな!」

ユイ「私たちは、あなたの味方ですよ。分からないことや不安な事がありましたら、いつでも相談に来てくださいね。」

ナオト「ありがとうございます!摩利さん、阿修羅さん!不動さん!」

ユイ「さて、私たちは仕事に戻りますね。少しゆっくりしていきますか?」

ナオト「はい!少しサヤと一緒にいます!」

ナオトは、司隊の隊員たちと会話が弾んでいき、次第に彼らとも打ち解けていくのであった。そして、ナオトはサヤと展望室で語り合った。


サヤ「どう?ナオト。司隊の隊員たちとは上手くいった?」

ナオト「うん、何とか大丈夫そう。みんな優しい人だった。少しムードメーカーな人もいたけど、上手く付き合っていけそうだよ。」

サヤ「そう。良かった。私も、司隊に入隊した時はかなり大変だったわ。かなり緊張したもの。ましてや、あなたの上司になるなんて、想像もつかなかったもん。」

ナオト「サヤも僕と同じだったんだね。やっぱり、司隊に馴染むには時間がかかった。それに仲間を作るのも大変だった。そうなんだね。」

サヤ「ええ。お互い、頑張っていきましょう。」


ーーーその頃、格納スペースでは、ハクシが新機体であるアミーダ弐ノ型カンぜノンの整備を行っていた。ユイも助手に、カンゼノンの整備を行っている。


カチャンカチャン

ハクシ「ふぅ。やっぱりカンゼノンの整備は大変だな。」

ユイ「そうですね。ちなみに、実戦投入はいつ頃になるのですか?」

ハクシ「まあ、それが分かればだが。とにかく、このカンゼノンは起動実験もしていない。新たな巨大妖怪群が攻めて来る前に進めておかなければならないな。」

ユイ「それで、パイロットの方は?」

ハクシ「決まっている。とりあえずはカノンってところだな。今のところは。ナオトが危機に陥った際に、援護に徹するまでだな。まあ、ユイは反対側を見てくれ。俺はコクピット内を見るから。」

ユイ「了解です。」


ーーーそんな中。羅刹城では、厭魔が水晶玉を通じ、ナオトが司隊に馴染む様子を眺めては、嘆いていた。


厭魔「全く嘆かわしいやつだな。何を悦に浸っているんだ。まあ、いい。こんな時間など終わらせてくれる。」

魔子「本当にムカつきますわ。」

厭魔「貴様もな。魔子。苛立ちを覚えているわ。」

魔子「ガーン。」

厭魔と魔子のもとへ、羅刹兵がやってくる。

羅刹兵「厭魔さまっ。」

厭魔「何だ?」

羅刹兵「現在、新たな巨大妖怪群が完成しましたっ!これより、神仏郷に放ちます!」

厭魔「そうか。今回の奴こそは強いんだな?」

羅刹兵「はい。最新型に改良しました。仏界の制圧には適した最新兵器です!」

魔子「本当かしら?言っておくけど、次やられたら、ただではおかないわ。あんたたち。」

厭魔「時が来たならば、仏界にその巨大妖怪群を解き放て。いいな?」


羅刹兵「はい!」


ーーー羅刹団は作戦を開始した。放たれたのは、文字盤が目になった懐中時計のような姿をした巨大妖怪群第4号、ノロイドケイであった。ノロイドケイは、浮遊しながら、神仏郷の街を進んでいく。

ゴオオオオオ…

アキト「神仏郷第三地区に、巨大妖怪群出現!」

シンイチ「コードネーム、ノロイドケイ!目標は依然進行中!」

ユイ「これより、アミーダの発射準備を開始します!」


ナオトは、ブッダリアに乗り込んだ。発射準備の中、ハクシが今回の巨大妖怪群ノロイドケイと闘う上での注意点をナオトに伝えた。

ハクシ「いいか?ナオト。今回の巨大妖怪群は、かなり手強いぞ。文字盤の指した時刻によって、攻撃方法が変わる。それに、正午を指した場合は、即死級の熱線が放たれる。要注意だ。」

ナオト「はい。分かりました。」

ブッダリアの発射準備が完了する。そして、ゴウの掛け声とともに、ブッダリアは、司隊本部を飛び立った。

ゴウ「アミーダ、出陣っ!」

ナオト「阿弥陀仏っ!」


ーーーノロイドケイと対峙するブッダリア。ナオトは、ハクシのヒントを元に、ノロイドケイと闘う覚悟を決める。

ナオト「よし。絶対に負けないぞ。」

操縦玉にぐっと力を入れるナオト。ノロイドケイの先制攻撃。3時を指し、炎を放ってくる。咄嗟に交わすブッダリア。更に、6時を指すと、氷の攻撃をはなってくる。ブッダリアは、ノロイドケイの俊敏な攻撃に攻め込むことが出来ず、ひたすら交わし続けるだけだった。

そして、交わし続け、行き詰まったその瞬間、ノロイドケイの時刻が、正午を指した。

ハクシ「まずい!正午を指した!」

サヤ「ナオト!よけて!」

ナオト「…!」

周りは建物だらけで、ブッダリアの逃げ場はない。そんな中、ノロイドケイは、ブッダリアに向かって、即死級の熱線を放った。



バアアアアアアーーーーーーーッ!!!

ナオト「うううっ!うあああああああああーーーーーーっ!!!ぐああああああああああああああーーーーっ!!」


ノロイドケイより放たれる熱線に晒されるブッダリア。その苦しみはナオトにまでフィードバックされる。ナオトは、苦しみのあまり、絶叫した。


バアアアアアアーーーーーーーッ!!

ひたすらブッダリアに熱線を浴びせ続けるノロイドケイ。司隊本部は、やむを得ず、作戦を中止する決断をした。

ユイ「そんな、なんて威力なのでしょう。」

シンイチ「まさか、アミーダをここまで追い込むなんて。」

サヤ「いかがなさいますか?漣隊長。」

ゴウ「かまわん。作戦を中止せよ。パイロットを救護し、応急処置を急げ。」


作戦を中止する司隊一同。大破したブッダリアは強制回収され、修復作業を受けることに。その一方で、ナオトは、看護室で応急処置を受けた。そして、神仏病院の病棟に、搬送された。目を覚ますナオト。

ナオト「ん…ぐっ…!」

激痛のあまり、声を上げるナオト。上半身に包帯で巻かれている事に気づく。

ナオト「そうか。僕は、やられてしまったんだ。クソっ。駄目なやつなんだ。僕は。」

自身の敗北に絶望し、ナオトは悔し涙を流したーーー。


ーーーつづく


次回予告


神仏第一塾に続き、司隊本部と打ち明けたナオトだが、屈辱的な敗北に絶望する。自身を卑下する中、カノンは彼を救う。そして、ナオトとカノンの絆の力が試される時が来る。

次回、「神の絆」
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