仏法戦記アミーダ

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第六話「神の絆」

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ノロイドケイとの闘いで、ブッダリアは敗北し、大破してしまった。隊員たちがハクシの指揮のもと、修復作業に当たっている。 

隊員「オーライ!オーライ!」

ハクシ「そこ、早くしろ!」

隊員「すみません!」

大人数で大破したブッダリアを修復する中、ユイが新しい部品が届くことを報告する。

ユイ「須佐之主任。現在、肩パーツの調達が完了しました。あと3時間ほどで届きます。」

ハクシ「ならいい。それにしても、アミーダがこんな派手に大破するのは初めてだな。全体的に直るのも時間がかかりそう。」

ユイ「そうですか。それに、カンゼノンの方はどうなんですか?」

ハクシ「分からない。今回の闘いで実戦投入出来るかどうかも。なんせ起動実験すら行われていないからな。とりあえず、ブッダリアの修復作業を完了させなければ。」


ユイ「はい。」


ーーーその間、羅刹城では、厭魔がノロイドケイがナオトとブッダリアを敗ったことを知り、不敵に笑んでいた。


魔子「ノロイドケイ、司隊のアミーダを敗りました。現在、あの釈迦如来の孫は、出てきません。」

厭魔「そうか。これで、しばらく奴は出てこないな。その間にノロイドケイを好きなように暴れさせておけ。とことん暴れさせて神仏郷を滅ぼし、そのまま全ての仏界を破壊させるまでだ。」

魔子「わあい!やりましたわ!これで私たちが有利です!邪魔してくる奴は、もういませんわ!はははっ!」

厭魔「やめろ。うるさいな。全く貴様って奴は。」

魔子「は~い。すみませ~ん。」


ーーーそして、病院の病棟内。ナオトは、自身の傷を見ながら悔し涙を流した。

ナオト「くそっ。くそっ。あいつ。僕は、何をしても駄目だってのか。せっかく修行を重ねたのに…。」

修行を重ね、仲間の声援を受けながら戦い抜いたナオトだが、今回の敗北で、自身は駄目な存在だと卑下した。

ーーータタタタタッ

そんな中、ナオトの処置入院を聞いたカノンが、病院へ向かって走っていった。

カノン「はぁっ。はぁっ。仏くんが、やられたなんて。信じられないわ。はぁっ。はぁっ。はぁっ。」

息を切らしながら走っていくカノン。そして、病院の中へと入っていく。廊下を歩くカノン。ナオトの病室へと入っていく。


カノン「仏くん。」

ナオト「あっ…カノン。」

カノン「私、サヤからあなたが入院した事を聞いて。心配して来たの。だから…。」

ナオト「んっ。」

ナオトの目からは涙が流れている。その涙を見て、カノンは心配した。

カノン「そう。泣くほど辛かったのね。」

ナオト「僕は…駄目なんだね…。」

カノン「えっ…?」  

カノンに対しても、否定気味な言葉を打ち出すナオト

ナオト「僕は、これだけ頑張ったのに。どうせやっていけない存在なんだ。どんなに頑張っても、神仏の力になれない。駄目な存在だ。」

カノン「仏くん。そんな事言わないで。そんな風に自分を卑下していたら、いつまで経っても仏界を救う事は出来ないわ。」

ナオト「分かってるよ。どうせ僕じゃ仏界を救えないのは分かっている。それに、塾でみんなと仲良くなって、司隊の隊員達とも仲良くなって、皆の助言を受けながら闘った。でもそんなのまやかしだよ。僕はどうせ、役立たずのろくでなしなんだ。神仏の恥なんだ。」

カノン「仏くん。あなたは…。」

ナオト「そんな、カノンには僕の何が分かるってんだよ!!!」

強く言うナオト。すると、カノンはナオトの目を見ながら、泣く素振りをした。

カノン「あなただって、乗りたくてアミーダに乗ったんでしょ…。そんな事言わないでよ。私、悲しいわ。」

ナオト「…」

涙を拭い、立ち上がるカノン。すると、カノンはナオトの胸に手を当てる。

ナオト「何?」

カノン「今の仏くんは、不安な気持ちで溢れて返っているわ。だから、不要なものを取り除いてあげる。」

スッ…

ナオト「あっ…」

ナオトの胸に手を当てるカノン。すると、周囲に黄緑色の淡い光が浮かび上がってくる。カノンは、ナオトの不要な感情を浄化していくのであった。

カノン「今、あなたの中にある不要な感情を取り除いているわ。あなたが、またあの巨大妖怪群に立ち向かえるようにするために。」

ナオト「何だろう。浄化されていくような感じがする。僕の中の不要なものが。」

カノン「ねっ?これで、あなたも自身の気力を取り戻したでしょう?これで、再び、仏界を救う希望になるのよ。」 

ナオト「ありがとう。カノン。すっきりしたよ。おかげで傷も癒えてきたような気がする。僕は、やっぱり、仏界を救う希望なんだね。」

立ち上がるカノン。そして、ナオトに向け、手を差し伸べる。

カノン「あなたなら、きっと出来るわ。諦めちゃ、駄目。」

カノンの説得で、仏界を救う気力を取り戻したナオトは、再びノロイドケイに立ち向かう覚悟を決めた。

ーーーその間、司隊本部では、ゴウがサヤを初めとした隊員たちを集め、アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入に関する議論を進めていた。

ゴウ「現在、ナオトは回復中との情報が入った。ブッダリアの修復作業ももうじき終わる。それで、司隊の試作機であるアミーダ弐ノ型カンゼノンを実戦投入するか否かだ。」

サヤ「そうですね。羅刹団の巨大妖怪群もかなり勢力を増してきているでしょう。以後はアミーダを連携して戦闘させるべきでしょう。」

ゴウ「ハクシ、カンゼノンの方はどうだ?」

ハクシ「順調に整備を進めております。異常の多い機体ですが、ナオトの復帰までには整備は完了するでしょう。」

ゴウ「そうか。ならば、いい。ハクシにカンゼノンの整備は任せたぞ。」

シンイチ「須佐之博士。お言葉ですが。」

ハクシ「何か?」

シンイチ「起動実験もせずに、実戦投入は、大丈夫なのですか?」

ハクシ「とにかく、ナオトだけでは現在の巨大妖怪群には勝てない。それが現状だ。だから、何としてでも、2機で連携して闘うべきだ。」

サヤ「そうね。私もそれに賛成。ナオトだけでは敵わない相手ならば、2機での戦闘を展開するべきだわ。如何しますか?漣隊長。」

ゴウ「ああ。今はナオトとカノンの神の絆の力を発揮し、現在の巨大妖怪群を倒すべきだからな。いいだろう。アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入を本作戦をもって開始する。作戦開始は今宵より。これは、神の絆だ。」 


こうして、会議の結果、ノロイドケイ戦において、アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入が決定した。今宵に、作戦を開始する模様だ。




そして、夜。神仏郷の夜の街に、ノロイドケイがライトに照らされながら、浮遊している。更に、色々な時刻を指しながら、暴れていた。

ーーー夜になり、怪我から回復したナオトとカノンが司隊本部に招集される。司令室にて。ゴウとサヤが彼らに指令を与えた。

ゴウ「ナオト。カノン。よく来てくれた。今回は君たち二人で出撃してもらう。特にカノン。君はナオトの援護に当たってくれ。」

サヤ「今回、あなたたちに必要なものは、「神の絆」の力よ。あなた達は常に温情より仲良くし合っているから。今回の作戦でも、きっと上手く行くと思うの。だから、互いに協調しあって、頑張って。」

ナオト、カノン「御意。」

ゴウ「では、アミーダ2機を配備次第中だ。君たちは、パイロットスーツに着替えて、待機していてくれ。」

ーーーアミーダ2機が配備される中、ナオトとカノンはパイロットスーツに着替える。カノンは、初回の出撃とは異なり、緑のパイロットスーツであった。

ナオト「へぇ。カノンのパイロットスーツは緑なんだね。似合っているよ。何か、カノンの慈悲をイメージしたカラーだと思うよ。何だか、カノンの優しさを思い浮かべる。いい色だよ。」

カノン「そう。あなたにそう言われると嬉しいわ。それに、あなたの青も似合っているわ。」

ナオト「ありがとう。カノン。なんだか君と一緒なら、この苦難も乗り越えられる気がしてきたよ。」

カノン「そうね。漣隊長からも言われたけど、必ずあなたを援護するわ。心配しないで。頑張りましょう。仏くん。」

ナオト「分かった。頑張ろう。」

握手を交わすナオトとカノン。二人で協力し合い、ノロイドケイに立ち向かう覚悟を決めた。


そして、ついに来たる闘いの時。ナオトはブッダリアに、カノンはカンゼノンにそれぞれ乗り込む。

アキト「ブッダリア、及びカンゼノンに阿弥陀ノ座、挿入!」

ユイ「射出口展開!アミーダ2機の発射準備を開始します!」

シンイチ「了解!発射準備開始!」

ウイーーーン

アミーダ2機の発射準備を開始する。サヤが外部から声援を送った。

サヤ「さて。本作戦、みっちり頑張ってもらうわ。カノンはナオトを援護して。神の絆の力を、発揮するのよ。」

ナオト、カノン「了解!」

シンイチ「アミーダ2機の発射準備完了!」

アキト「アミーダ2機ともにシステム異常なし!行けます!」

ゴウ「ああ。アミーダ、出陣っ!!」

ナオト、カノン「阿弥陀仏っ!!」

ゴウの掛け声とともに、ナオトのブッダリア、カノンのカンゼノンのアミーダ2機が、司隊本部を飛び立つ。そして、2機で揃い、ノロイドケイと対峙する。

カノン「仏くん。深呼吸よ。」

ナオト「分かっている。」

すると、ノロイドケイの時刻が9時を指し、光の粒子を放ってくる。ブッダリアとカンゼノンはくるくる後回しながら、それを交わしていく。

カンゼノンは、ブッダリアを守るように、ノロイドケイに攻め込んだ。

ひたすらノロイドケイが攻撃し終えると、次の瞬間に、正午を指し、ブッダリアを大破に至らしめた熱線をはなってくる。

バアアアアアーーーーッ!!

ブッダリアを援護するように、カンゼノンが前に出る。カンゼノンは、屈強かつ特殊な装甲で、ノロイドケイの熱線を弾いていく。

ナオト「すごい。この熱線を受け止めるなんて。」

カノン「そうよ!カンゼノンは、極めて特殊!凄いのは、これからよ!」

ビビビビビビッ!ズバーーーーン!!

カンゼノンの装甲で、ノロイドケイの熱線が跳ね返される。よって、ノロイドケイが、熱線をじかにくらい、攻撃手段の長針、短針がへし折られる。

ナオト「やったぁ!針が折れた!もう攻撃出来ない!」

カノン「よし!この調子で攻め込みましょう!」

ナオト「合点!!」

攻撃手段を失い、やけくそになったノロイドケイは、突進してくる。その瞬間、カンゼノンは、頭部のシールドから緑色の光線を放つ武装「清浄光」を放つ。

バアアアアアーーーッ!!

倒れ込むノロイドケイ。そして、とどめを刺すブッダリアとカンゼノン。2機は合体技を繰り出した。ブッダリアは掌から、カンゼノンは頭部から、それぞれ光線を発した。2機が力を合わせた青緑色に光り輝く光線。その光線が、ノロイドケイを勢いよく貫いていく。よって、ノロイドケイは、形状を維持出来ずに、崩壊した。 


ユイ「目標、殲滅!」

シンイチ、アキト「やったーーーっ!」

サヤ「やりましたね!漣隊長!」

ゴウ「ああ。これが、神の絆だな。」


歓声を上げる司隊本部。そして、ナオトとカノンも勝利に喜んだ。

カノン「やったぁ!勝ったわ!」

ナオト「ああ!君のおかげだ!ありがとう!カノン!」

カノン「どうってことないわ!ただ勝てば、それでいいもの!」

ナオト「今日という日ほど嬉しい日は他にないぜ!さあ、勝利の握手だ!」

パンッ!

ブッダリアとカンゼノンは、勝利の握手を交わした。そして、任務を終えた事を報告し、2機は司隊本部へと帰っていく。


そして、帰宅の時間。ナオト、カノン、サヤは神仏郷行きの船に乗る。サヤは、二人の勇姿を褒めた。


サヤ「ご苦労さま。よくやったわ。二人とも、頑張ったわ。」

ナオト「ありがとう。サヤ。」

サヤ「まあ、巨大妖怪群はこれからも増えていくし、強くなるだろうと思うけど、気を抜かずに頑張っていくのよ。」

ナオト「うん。頑張るよ。必ず、カノンと協力して、厭魔を倒すように頑張らないと。なっ。カノン。」

カノン「そうね。仏くん。私は必ず、ふ、ふわあ~~~~。」 

大きなあくびをするカノン。それをじっと見つめるナオト。すると…

カノン「やっ!何見てんのよっ!(バシッ)」 

ナオト「あはっ。ごめんごめん。」

サヤ「そう。疲れてるのね。今夜はゆっくり休みなさい。」


船が神仏郷に到着する。ナオトとサヤは、マンションへ、カノンは自身の家へ帰り、就寝に就いた。また、新たな戦いへ足を踏み入れる前に、休養をとるのであった。


ーーーその間、羅刹城では。厭魔が部下の不甲斐なさに憤っていた。

厭魔「ったく!貴様らァ!何故雑魚ごときにやられる巨大妖怪群しか造らんのだ!」

厭魔は部下に向かって、指から光線を放った。

羅刹兵「うわあああああっ!お許しください!厭魔様ぁ!」

厭魔「全く。これではいつまで経っても、仏界を手中に収めることは出来んぞ。はぁ。仕方がない。貴様らの巨大妖怪群では役に立たんからな。私が行ってこよう。まずは、仏ナオトと奴のアミーダを始末し、そこから私の力で神仏郷を滅ぼすのだ。」

何かを心に決めた厭魔。

羅刹兵「厭魔様っ?本気ですか?」

厭魔「何を言っている。私は貴様らや貴様らの作る巨大妖怪群とは桁違いだ。私はなんせ、強大な霊力をもっているのだぞ。それに、私が本気を出せば、アミーダなど造作もない。そもそも妖怪の帝王であるこの私に手出しを出せるものは、誰もおらんぞ。まあ、いい。私は行ってくる。魔子から基礎を学べ。いいな?」


こうして厭魔は、部下の役に立たない巨大妖怪群に代わり、自身が代わりに神仏郷へ出て、手始めにナオトを倒し、直に神仏郷を滅ぼそうと、企てるのであった。


ーーーつづく


次回予告

部下の巨大妖怪群の不甲斐なさに苛立った厭魔は、自ら神仏郷へ赴くことを決意。そして、因縁の相手である仏ナオトに、勝負を突きつけるのであった。

次回、「因縁」
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