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第六話「神の絆」
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ノロイドケイとの闘いで、ブッダリアは敗北し、大破してしまった。隊員たちがハクシの指揮のもと、修復作業に当たっている。
隊員「オーライ!オーライ!」
ハクシ「そこ、早くしろ!」
隊員「すみません!」
大人数で大破したブッダリアを修復する中、ユイが新しい部品が届くことを報告する。
ユイ「須佐之主任。現在、肩パーツの調達が完了しました。あと3時間ほどで届きます。」
ハクシ「ならいい。それにしても、アミーダがこんな派手に大破するのは初めてだな。全体的に直るのも時間がかかりそう。」
ユイ「そうですか。それに、カンゼノンの方はどうなんですか?」
ハクシ「分からない。今回の闘いで実戦投入出来るかどうかも。なんせ起動実験すら行われていないからな。とりあえず、ブッダリアの修復作業を完了させなければ。」
ユイ「はい。」
ーーーその間、羅刹城では、厭魔がノロイドケイがナオトとブッダリアを敗ったことを知り、不敵に笑んでいた。
魔子「ノロイドケイ、司隊のアミーダを敗りました。現在、あの釈迦如来の孫は、出てきません。」
厭魔「そうか。これで、しばらく奴は出てこないな。その間にノロイドケイを好きなように暴れさせておけ。とことん暴れさせて神仏郷を滅ぼし、そのまま全ての仏界を破壊させるまでだ。」
魔子「わあい!やりましたわ!これで私たちが有利です!邪魔してくる奴は、もういませんわ!はははっ!」
厭魔「やめろ。うるさいな。全く貴様って奴は。」
魔子「は~い。すみませ~ん。」
ーーーそして、病院の病棟内。ナオトは、自身の傷を見ながら悔し涙を流した。
ナオト「くそっ。くそっ。あいつ。僕は、何をしても駄目だってのか。せっかく修行を重ねたのに…。」
修行を重ね、仲間の声援を受けながら戦い抜いたナオトだが、今回の敗北で、自身は駄目な存在だと卑下した。
ーーータタタタタッ
そんな中、ナオトの処置入院を聞いたカノンが、病院へ向かって走っていった。
カノン「はぁっ。はぁっ。仏くんが、やられたなんて。信じられないわ。はぁっ。はぁっ。はぁっ。」
息を切らしながら走っていくカノン。そして、病院の中へと入っていく。廊下を歩くカノン。ナオトの病室へと入っていく。
カノン「仏くん。」
ナオト「あっ…カノン。」
カノン「私、サヤからあなたが入院した事を聞いて。心配して来たの。だから…。」
ナオト「んっ。」
ナオトの目からは涙が流れている。その涙を見て、カノンは心配した。
カノン「そう。泣くほど辛かったのね。」
ナオト「僕は…駄目なんだね…。」
カノン「えっ…?」
カノンに対しても、否定気味な言葉を打ち出すナオト
ナオト「僕は、これだけ頑張ったのに。どうせやっていけない存在なんだ。どんなに頑張っても、神仏の力になれない。駄目な存在だ。」
カノン「仏くん。そんな事言わないで。そんな風に自分を卑下していたら、いつまで経っても仏界を救う事は出来ないわ。」
ナオト「分かってるよ。どうせ僕じゃ仏界を救えないのは分かっている。それに、塾でみんなと仲良くなって、司隊の隊員達とも仲良くなって、皆の助言を受けながら闘った。でもそんなのまやかしだよ。僕はどうせ、役立たずのろくでなしなんだ。神仏の恥なんだ。」
カノン「仏くん。あなたは…。」
ナオト「そんな、カノンには僕の何が分かるってんだよ!!!」
強く言うナオト。すると、カノンはナオトの目を見ながら、泣く素振りをした。
カノン「あなただって、乗りたくてアミーダに乗ったんでしょ…。そんな事言わないでよ。私、悲しいわ。」
ナオト「…」
涙を拭い、立ち上がるカノン。すると、カノンはナオトの胸に手を当てる。
ナオト「何?」
カノン「今の仏くんは、不安な気持ちで溢れて返っているわ。だから、不要なものを取り除いてあげる。」
スッ…
ナオト「あっ…」
ナオトの胸に手を当てるカノン。すると、周囲に黄緑色の淡い光が浮かび上がってくる。カノンは、ナオトの不要な感情を浄化していくのであった。
カノン「今、あなたの中にある不要な感情を取り除いているわ。あなたが、またあの巨大妖怪群に立ち向かえるようにするために。」
ナオト「何だろう。浄化されていくような感じがする。僕の中の不要なものが。」
カノン「ねっ?これで、あなたも自身の気力を取り戻したでしょう?これで、再び、仏界を救う希望になるのよ。」
ナオト「ありがとう。カノン。すっきりしたよ。おかげで傷も癒えてきたような気がする。僕は、やっぱり、仏界を救う希望なんだね。」
立ち上がるカノン。そして、ナオトに向け、手を差し伸べる。
カノン「あなたなら、きっと出来るわ。諦めちゃ、駄目。」
カノンの説得で、仏界を救う気力を取り戻したナオトは、再びノロイドケイに立ち向かう覚悟を決めた。
ーーーその間、司隊本部では、ゴウがサヤを初めとした隊員たちを集め、アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入に関する議論を進めていた。
ゴウ「現在、ナオトは回復中との情報が入った。ブッダリアの修復作業ももうじき終わる。それで、司隊の試作機であるアミーダ弐ノ型カンゼノンを実戦投入するか否かだ。」
サヤ「そうですね。羅刹団の巨大妖怪群もかなり勢力を増してきているでしょう。以後はアミーダを連携して戦闘させるべきでしょう。」
ゴウ「ハクシ、カンゼノンの方はどうだ?」
ハクシ「順調に整備を進めております。異常の多い機体ですが、ナオトの復帰までには整備は完了するでしょう。」
ゴウ「そうか。ならば、いい。ハクシにカンゼノンの整備は任せたぞ。」
シンイチ「須佐之博士。お言葉ですが。」
ハクシ「何か?」
シンイチ「起動実験もせずに、実戦投入は、大丈夫なのですか?」
ハクシ「とにかく、ナオトだけでは現在の巨大妖怪群には勝てない。それが現状だ。だから、何としてでも、2機で連携して闘うべきだ。」
サヤ「そうね。私もそれに賛成。ナオトだけでは敵わない相手ならば、2機での戦闘を展開するべきだわ。如何しますか?漣隊長。」
ゴウ「ああ。今はナオトとカノンの神の絆の力を発揮し、現在の巨大妖怪群を倒すべきだからな。いいだろう。アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入を本作戦をもって開始する。作戦開始は今宵より。これは、神の絆だ。」
こうして、会議の結果、ノロイドケイ戦において、アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入が決定した。今宵に、作戦を開始する模様だ。
そして、夜。神仏郷の夜の街に、ノロイドケイがライトに照らされながら、浮遊している。更に、色々な時刻を指しながら、暴れていた。
ーーー夜になり、怪我から回復したナオトとカノンが司隊本部に招集される。司令室にて。ゴウとサヤが彼らに指令を与えた。
ゴウ「ナオト。カノン。よく来てくれた。今回は君たち二人で出撃してもらう。特にカノン。君はナオトの援護に当たってくれ。」
サヤ「今回、あなたたちに必要なものは、「神の絆」の力よ。あなた達は常に温情より仲良くし合っているから。今回の作戦でも、きっと上手く行くと思うの。だから、互いに協調しあって、頑張って。」
ナオト、カノン「御意。」
ゴウ「では、アミーダ2機を配備次第中だ。君たちは、パイロットスーツに着替えて、待機していてくれ。」
ーーーアミーダ2機が配備される中、ナオトとカノンはパイロットスーツに着替える。カノンは、初回の出撃とは異なり、緑のパイロットスーツであった。
ナオト「へぇ。カノンのパイロットスーツは緑なんだね。似合っているよ。何か、カノンの慈悲をイメージしたカラーだと思うよ。何だか、カノンの優しさを思い浮かべる。いい色だよ。」
カノン「そう。あなたにそう言われると嬉しいわ。それに、あなたの青も似合っているわ。」
ナオト「ありがとう。カノン。なんだか君と一緒なら、この苦難も乗り越えられる気がしてきたよ。」
カノン「そうね。漣隊長からも言われたけど、必ずあなたを援護するわ。心配しないで。頑張りましょう。仏くん。」
ナオト「分かった。頑張ろう。」
握手を交わすナオトとカノン。二人で協力し合い、ノロイドケイに立ち向かう覚悟を決めた。
そして、ついに来たる闘いの時。ナオトはブッダリアに、カノンはカンゼノンにそれぞれ乗り込む。
アキト「ブッダリア、及びカンゼノンに阿弥陀ノ座、挿入!」
ユイ「射出口展開!アミーダ2機の発射準備を開始します!」
シンイチ「了解!発射準備開始!」
ウイーーーン
アミーダ2機の発射準備を開始する。サヤが外部から声援を送った。
サヤ「さて。本作戦、みっちり頑張ってもらうわ。カノンはナオトを援護して。神の絆の力を、発揮するのよ。」
ナオト、カノン「了解!」
シンイチ「アミーダ2機の発射準備完了!」
アキト「アミーダ2機ともにシステム異常なし!行けます!」
ゴウ「ああ。アミーダ、出陣っ!!」
ナオト、カノン「阿弥陀仏っ!!」
ゴウの掛け声とともに、ナオトのブッダリア、カノンのカンゼノンのアミーダ2機が、司隊本部を飛び立つ。そして、2機で揃い、ノロイドケイと対峙する。
カノン「仏くん。深呼吸よ。」
ナオト「分かっている。」
すると、ノロイドケイの時刻が9時を指し、光の粒子を放ってくる。ブッダリアとカンゼノンはくるくる後回しながら、それを交わしていく。
カンゼノンは、ブッダリアを守るように、ノロイドケイに攻め込んだ。
ひたすらノロイドケイが攻撃し終えると、次の瞬間に、正午を指し、ブッダリアを大破に至らしめた熱線をはなってくる。
バアアアアアーーーーッ!!
ブッダリアを援護するように、カンゼノンが前に出る。カンゼノンは、屈強かつ特殊な装甲で、ノロイドケイの熱線を弾いていく。
ナオト「すごい。この熱線を受け止めるなんて。」
カノン「そうよ!カンゼノンは、極めて特殊!凄いのは、これからよ!」
ビビビビビビッ!ズバーーーーン!!
カンゼノンの装甲で、ノロイドケイの熱線が跳ね返される。よって、ノロイドケイが、熱線をじかにくらい、攻撃手段の長針、短針がへし折られる。
ナオト「やったぁ!針が折れた!もう攻撃出来ない!」
カノン「よし!この調子で攻め込みましょう!」
ナオト「合点!!」
攻撃手段を失い、やけくそになったノロイドケイは、突進してくる。その瞬間、カンゼノンは、頭部のシールドから緑色の光線を放つ武装「清浄光」を放つ。
バアアアアアーーーッ!!
倒れ込むノロイドケイ。そして、とどめを刺すブッダリアとカンゼノン。2機は合体技を繰り出した。ブッダリアは掌から、カンゼノンは頭部から、それぞれ光線を発した。2機が力を合わせた青緑色に光り輝く光線。その光線が、ノロイドケイを勢いよく貫いていく。よって、ノロイドケイは、形状を維持出来ずに、崩壊した。
ユイ「目標、殲滅!」
シンイチ、アキト「やったーーーっ!」
サヤ「やりましたね!漣隊長!」
ゴウ「ああ。これが、神の絆だな。」
歓声を上げる司隊本部。そして、ナオトとカノンも勝利に喜んだ。
カノン「やったぁ!勝ったわ!」
ナオト「ああ!君のおかげだ!ありがとう!カノン!」
カノン「どうってことないわ!ただ勝てば、それでいいもの!」
ナオト「今日という日ほど嬉しい日は他にないぜ!さあ、勝利の握手だ!」
パンッ!
ブッダリアとカンゼノンは、勝利の握手を交わした。そして、任務を終えた事を報告し、2機は司隊本部へと帰っていく。
そして、帰宅の時間。ナオト、カノン、サヤは神仏郷行きの船に乗る。サヤは、二人の勇姿を褒めた。
サヤ「ご苦労さま。よくやったわ。二人とも、頑張ったわ。」
ナオト「ありがとう。サヤ。」
サヤ「まあ、巨大妖怪群はこれからも増えていくし、強くなるだろうと思うけど、気を抜かずに頑張っていくのよ。」
ナオト「うん。頑張るよ。必ず、カノンと協力して、厭魔を倒すように頑張らないと。なっ。カノン。」
カノン「そうね。仏くん。私は必ず、ふ、ふわあ~~~~。」
大きなあくびをするカノン。それをじっと見つめるナオト。すると…
カノン「やっ!何見てんのよっ!(バシッ)」
ナオト「あはっ。ごめんごめん。」
サヤ「そう。疲れてるのね。今夜はゆっくり休みなさい。」
船が神仏郷に到着する。ナオトとサヤは、マンションへ、カノンは自身の家へ帰り、就寝に就いた。また、新たな戦いへ足を踏み入れる前に、休養をとるのであった。
ーーーその間、羅刹城では。厭魔が部下の不甲斐なさに憤っていた。
厭魔「ったく!貴様らァ!何故雑魚ごときにやられる巨大妖怪群しか造らんのだ!」
厭魔は部下に向かって、指から光線を放った。
羅刹兵「うわあああああっ!お許しください!厭魔様ぁ!」
厭魔「全く。これではいつまで経っても、仏界を手中に収めることは出来んぞ。はぁ。仕方がない。貴様らの巨大妖怪群では役に立たんからな。私が行ってこよう。まずは、仏ナオトと奴のアミーダを始末し、そこから私の力で神仏郷を滅ぼすのだ。」
何かを心に決めた厭魔。
羅刹兵「厭魔様っ?本気ですか?」
厭魔「何を言っている。私は貴様らや貴様らの作る巨大妖怪群とは桁違いだ。私はなんせ、強大な霊力をもっているのだぞ。それに、私が本気を出せば、アミーダなど造作もない。そもそも妖怪の帝王であるこの私に手出しを出せるものは、誰もおらんぞ。まあ、いい。私は行ってくる。魔子から基礎を学べ。いいな?」
こうして厭魔は、部下の役に立たない巨大妖怪群に代わり、自身が代わりに神仏郷へ出て、手始めにナオトを倒し、直に神仏郷を滅ぼそうと、企てるのであった。
ーーーつづく
次回予告
部下の巨大妖怪群の不甲斐なさに苛立った厭魔は、自ら神仏郷へ赴くことを決意。そして、因縁の相手である仏ナオトに、勝負を突きつけるのであった。
次回、「因縁」
隊員「オーライ!オーライ!」
ハクシ「そこ、早くしろ!」
隊員「すみません!」
大人数で大破したブッダリアを修復する中、ユイが新しい部品が届くことを報告する。
ユイ「須佐之主任。現在、肩パーツの調達が完了しました。あと3時間ほどで届きます。」
ハクシ「ならいい。それにしても、アミーダがこんな派手に大破するのは初めてだな。全体的に直るのも時間がかかりそう。」
ユイ「そうですか。それに、カンゼノンの方はどうなんですか?」
ハクシ「分からない。今回の闘いで実戦投入出来るかどうかも。なんせ起動実験すら行われていないからな。とりあえず、ブッダリアの修復作業を完了させなければ。」
ユイ「はい。」
ーーーその間、羅刹城では、厭魔がノロイドケイがナオトとブッダリアを敗ったことを知り、不敵に笑んでいた。
魔子「ノロイドケイ、司隊のアミーダを敗りました。現在、あの釈迦如来の孫は、出てきません。」
厭魔「そうか。これで、しばらく奴は出てこないな。その間にノロイドケイを好きなように暴れさせておけ。とことん暴れさせて神仏郷を滅ぼし、そのまま全ての仏界を破壊させるまでだ。」
魔子「わあい!やりましたわ!これで私たちが有利です!邪魔してくる奴は、もういませんわ!はははっ!」
厭魔「やめろ。うるさいな。全く貴様って奴は。」
魔子「は~い。すみませ~ん。」
ーーーそして、病院の病棟内。ナオトは、自身の傷を見ながら悔し涙を流した。
ナオト「くそっ。くそっ。あいつ。僕は、何をしても駄目だってのか。せっかく修行を重ねたのに…。」
修行を重ね、仲間の声援を受けながら戦い抜いたナオトだが、今回の敗北で、自身は駄目な存在だと卑下した。
ーーータタタタタッ
そんな中、ナオトの処置入院を聞いたカノンが、病院へ向かって走っていった。
カノン「はぁっ。はぁっ。仏くんが、やられたなんて。信じられないわ。はぁっ。はぁっ。はぁっ。」
息を切らしながら走っていくカノン。そして、病院の中へと入っていく。廊下を歩くカノン。ナオトの病室へと入っていく。
カノン「仏くん。」
ナオト「あっ…カノン。」
カノン「私、サヤからあなたが入院した事を聞いて。心配して来たの。だから…。」
ナオト「んっ。」
ナオトの目からは涙が流れている。その涙を見て、カノンは心配した。
カノン「そう。泣くほど辛かったのね。」
ナオト「僕は…駄目なんだね…。」
カノン「えっ…?」
カノンに対しても、否定気味な言葉を打ち出すナオト
ナオト「僕は、これだけ頑張ったのに。どうせやっていけない存在なんだ。どんなに頑張っても、神仏の力になれない。駄目な存在だ。」
カノン「仏くん。そんな事言わないで。そんな風に自分を卑下していたら、いつまで経っても仏界を救う事は出来ないわ。」
ナオト「分かってるよ。どうせ僕じゃ仏界を救えないのは分かっている。それに、塾でみんなと仲良くなって、司隊の隊員達とも仲良くなって、皆の助言を受けながら闘った。でもそんなのまやかしだよ。僕はどうせ、役立たずのろくでなしなんだ。神仏の恥なんだ。」
カノン「仏くん。あなたは…。」
ナオト「そんな、カノンには僕の何が分かるってんだよ!!!」
強く言うナオト。すると、カノンはナオトの目を見ながら、泣く素振りをした。
カノン「あなただって、乗りたくてアミーダに乗ったんでしょ…。そんな事言わないでよ。私、悲しいわ。」
ナオト「…」
涙を拭い、立ち上がるカノン。すると、カノンはナオトの胸に手を当てる。
ナオト「何?」
カノン「今の仏くんは、不安な気持ちで溢れて返っているわ。だから、不要なものを取り除いてあげる。」
スッ…
ナオト「あっ…」
ナオトの胸に手を当てるカノン。すると、周囲に黄緑色の淡い光が浮かび上がってくる。カノンは、ナオトの不要な感情を浄化していくのであった。
カノン「今、あなたの中にある不要な感情を取り除いているわ。あなたが、またあの巨大妖怪群に立ち向かえるようにするために。」
ナオト「何だろう。浄化されていくような感じがする。僕の中の不要なものが。」
カノン「ねっ?これで、あなたも自身の気力を取り戻したでしょう?これで、再び、仏界を救う希望になるのよ。」
ナオト「ありがとう。カノン。すっきりしたよ。おかげで傷も癒えてきたような気がする。僕は、やっぱり、仏界を救う希望なんだね。」
立ち上がるカノン。そして、ナオトに向け、手を差し伸べる。
カノン「あなたなら、きっと出来るわ。諦めちゃ、駄目。」
カノンの説得で、仏界を救う気力を取り戻したナオトは、再びノロイドケイに立ち向かう覚悟を決めた。
ーーーその間、司隊本部では、ゴウがサヤを初めとした隊員たちを集め、アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入に関する議論を進めていた。
ゴウ「現在、ナオトは回復中との情報が入った。ブッダリアの修復作業ももうじき終わる。それで、司隊の試作機であるアミーダ弐ノ型カンゼノンを実戦投入するか否かだ。」
サヤ「そうですね。羅刹団の巨大妖怪群もかなり勢力を増してきているでしょう。以後はアミーダを連携して戦闘させるべきでしょう。」
ゴウ「ハクシ、カンゼノンの方はどうだ?」
ハクシ「順調に整備を進めております。異常の多い機体ですが、ナオトの復帰までには整備は完了するでしょう。」
ゴウ「そうか。ならば、いい。ハクシにカンゼノンの整備は任せたぞ。」
シンイチ「須佐之博士。お言葉ですが。」
ハクシ「何か?」
シンイチ「起動実験もせずに、実戦投入は、大丈夫なのですか?」
ハクシ「とにかく、ナオトだけでは現在の巨大妖怪群には勝てない。それが現状だ。だから、何としてでも、2機で連携して闘うべきだ。」
サヤ「そうね。私もそれに賛成。ナオトだけでは敵わない相手ならば、2機での戦闘を展開するべきだわ。如何しますか?漣隊長。」
ゴウ「ああ。今はナオトとカノンの神の絆の力を発揮し、現在の巨大妖怪群を倒すべきだからな。いいだろう。アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入を本作戦をもって開始する。作戦開始は今宵より。これは、神の絆だ。」
こうして、会議の結果、ノロイドケイ戦において、アミーダ弐ノ型カンゼノンの実戦投入が決定した。今宵に、作戦を開始する模様だ。
そして、夜。神仏郷の夜の街に、ノロイドケイがライトに照らされながら、浮遊している。更に、色々な時刻を指しながら、暴れていた。
ーーー夜になり、怪我から回復したナオトとカノンが司隊本部に招集される。司令室にて。ゴウとサヤが彼らに指令を与えた。
ゴウ「ナオト。カノン。よく来てくれた。今回は君たち二人で出撃してもらう。特にカノン。君はナオトの援護に当たってくれ。」
サヤ「今回、あなたたちに必要なものは、「神の絆」の力よ。あなた達は常に温情より仲良くし合っているから。今回の作戦でも、きっと上手く行くと思うの。だから、互いに協調しあって、頑張って。」
ナオト、カノン「御意。」
ゴウ「では、アミーダ2機を配備次第中だ。君たちは、パイロットスーツに着替えて、待機していてくれ。」
ーーーアミーダ2機が配備される中、ナオトとカノンはパイロットスーツに着替える。カノンは、初回の出撃とは異なり、緑のパイロットスーツであった。
ナオト「へぇ。カノンのパイロットスーツは緑なんだね。似合っているよ。何か、カノンの慈悲をイメージしたカラーだと思うよ。何だか、カノンの優しさを思い浮かべる。いい色だよ。」
カノン「そう。あなたにそう言われると嬉しいわ。それに、あなたの青も似合っているわ。」
ナオト「ありがとう。カノン。なんだか君と一緒なら、この苦難も乗り越えられる気がしてきたよ。」
カノン「そうね。漣隊長からも言われたけど、必ずあなたを援護するわ。心配しないで。頑張りましょう。仏くん。」
ナオト「分かった。頑張ろう。」
握手を交わすナオトとカノン。二人で協力し合い、ノロイドケイに立ち向かう覚悟を決めた。
そして、ついに来たる闘いの時。ナオトはブッダリアに、カノンはカンゼノンにそれぞれ乗り込む。
アキト「ブッダリア、及びカンゼノンに阿弥陀ノ座、挿入!」
ユイ「射出口展開!アミーダ2機の発射準備を開始します!」
シンイチ「了解!発射準備開始!」
ウイーーーン
アミーダ2機の発射準備を開始する。サヤが外部から声援を送った。
サヤ「さて。本作戦、みっちり頑張ってもらうわ。カノンはナオトを援護して。神の絆の力を、発揮するのよ。」
ナオト、カノン「了解!」
シンイチ「アミーダ2機の発射準備完了!」
アキト「アミーダ2機ともにシステム異常なし!行けます!」
ゴウ「ああ。アミーダ、出陣っ!!」
ナオト、カノン「阿弥陀仏っ!!」
ゴウの掛け声とともに、ナオトのブッダリア、カノンのカンゼノンのアミーダ2機が、司隊本部を飛び立つ。そして、2機で揃い、ノロイドケイと対峙する。
カノン「仏くん。深呼吸よ。」
ナオト「分かっている。」
すると、ノロイドケイの時刻が9時を指し、光の粒子を放ってくる。ブッダリアとカンゼノンはくるくる後回しながら、それを交わしていく。
カンゼノンは、ブッダリアを守るように、ノロイドケイに攻め込んだ。
ひたすらノロイドケイが攻撃し終えると、次の瞬間に、正午を指し、ブッダリアを大破に至らしめた熱線をはなってくる。
バアアアアアーーーーッ!!
ブッダリアを援護するように、カンゼノンが前に出る。カンゼノンは、屈強かつ特殊な装甲で、ノロイドケイの熱線を弾いていく。
ナオト「すごい。この熱線を受け止めるなんて。」
カノン「そうよ!カンゼノンは、極めて特殊!凄いのは、これからよ!」
ビビビビビビッ!ズバーーーーン!!
カンゼノンの装甲で、ノロイドケイの熱線が跳ね返される。よって、ノロイドケイが、熱線をじかにくらい、攻撃手段の長針、短針がへし折られる。
ナオト「やったぁ!針が折れた!もう攻撃出来ない!」
カノン「よし!この調子で攻め込みましょう!」
ナオト「合点!!」
攻撃手段を失い、やけくそになったノロイドケイは、突進してくる。その瞬間、カンゼノンは、頭部のシールドから緑色の光線を放つ武装「清浄光」を放つ。
バアアアアアーーーッ!!
倒れ込むノロイドケイ。そして、とどめを刺すブッダリアとカンゼノン。2機は合体技を繰り出した。ブッダリアは掌から、カンゼノンは頭部から、それぞれ光線を発した。2機が力を合わせた青緑色に光り輝く光線。その光線が、ノロイドケイを勢いよく貫いていく。よって、ノロイドケイは、形状を維持出来ずに、崩壊した。
ユイ「目標、殲滅!」
シンイチ、アキト「やったーーーっ!」
サヤ「やりましたね!漣隊長!」
ゴウ「ああ。これが、神の絆だな。」
歓声を上げる司隊本部。そして、ナオトとカノンも勝利に喜んだ。
カノン「やったぁ!勝ったわ!」
ナオト「ああ!君のおかげだ!ありがとう!カノン!」
カノン「どうってことないわ!ただ勝てば、それでいいもの!」
ナオト「今日という日ほど嬉しい日は他にないぜ!さあ、勝利の握手だ!」
パンッ!
ブッダリアとカンゼノンは、勝利の握手を交わした。そして、任務を終えた事を報告し、2機は司隊本部へと帰っていく。
そして、帰宅の時間。ナオト、カノン、サヤは神仏郷行きの船に乗る。サヤは、二人の勇姿を褒めた。
サヤ「ご苦労さま。よくやったわ。二人とも、頑張ったわ。」
ナオト「ありがとう。サヤ。」
サヤ「まあ、巨大妖怪群はこれからも増えていくし、強くなるだろうと思うけど、気を抜かずに頑張っていくのよ。」
ナオト「うん。頑張るよ。必ず、カノンと協力して、厭魔を倒すように頑張らないと。なっ。カノン。」
カノン「そうね。仏くん。私は必ず、ふ、ふわあ~~~~。」
大きなあくびをするカノン。それをじっと見つめるナオト。すると…
カノン「やっ!何見てんのよっ!(バシッ)」
ナオト「あはっ。ごめんごめん。」
サヤ「そう。疲れてるのね。今夜はゆっくり休みなさい。」
船が神仏郷に到着する。ナオトとサヤは、マンションへ、カノンは自身の家へ帰り、就寝に就いた。また、新たな戦いへ足を踏み入れる前に、休養をとるのであった。
ーーーその間、羅刹城では。厭魔が部下の不甲斐なさに憤っていた。
厭魔「ったく!貴様らァ!何故雑魚ごときにやられる巨大妖怪群しか造らんのだ!」
厭魔は部下に向かって、指から光線を放った。
羅刹兵「うわあああああっ!お許しください!厭魔様ぁ!」
厭魔「全く。これではいつまで経っても、仏界を手中に収めることは出来んぞ。はぁ。仕方がない。貴様らの巨大妖怪群では役に立たんからな。私が行ってこよう。まずは、仏ナオトと奴のアミーダを始末し、そこから私の力で神仏郷を滅ぼすのだ。」
何かを心に決めた厭魔。
羅刹兵「厭魔様っ?本気ですか?」
厭魔「何を言っている。私は貴様らや貴様らの作る巨大妖怪群とは桁違いだ。私はなんせ、強大な霊力をもっているのだぞ。それに、私が本気を出せば、アミーダなど造作もない。そもそも妖怪の帝王であるこの私に手出しを出せるものは、誰もおらんぞ。まあ、いい。私は行ってくる。魔子から基礎を学べ。いいな?」
こうして厭魔は、部下の役に立たない巨大妖怪群に代わり、自身が代わりに神仏郷へ出て、手始めにナオトを倒し、直に神仏郷を滅ぼそうと、企てるのであった。
ーーーつづく
次回予告
部下の巨大妖怪群の不甲斐なさに苛立った厭魔は、自ら神仏郷へ赴くことを決意。そして、因縁の相手である仏ナオトに、勝負を突きつけるのであった。
次回、「因縁」
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この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
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